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私には分からないわね……。
でも、彼ならきっと分かってくれるはずよ! だって、私の愛しい人なのだから。
それはまるで、この世の全てを嘲笑うような笑みを浮かべていた。
しかし、彼の笑顔にはどこか影があるように見えた。
それが気になって仕方がないのだが、やはりその理由までは分からなかった。
それでも彼は、私に向かって笑いかけてくれたのだ。
そんな彼を見ているだけで幸せだった。
だから、私は彼のことをもっと知ろうと思った。
でも、それこそが間違いだったのかもしれない。
私が真実を知った時にはもう遅くて、彼は私達の前から姿を消した。
どうしてあんなことになってしまったのかしら……? こんなことになるくらいなら、いっそ出会わない方が良かったと思うほどに、私は後悔している。
何故ならば、彼がいなくなってしまったら、 この世界の全てが終わってしまうからだ。
それはつまり、 俺の存在価値など皆無ということに他ならない。
だから俺はここに居続けなければならないのだ。
たとえどんなことがあっても……。
彼はそんなことを思いながら、今日もまた舞台に立つ。
自分が本当は何をしたいのかすらわからないまま、ただひたすらに演じ続ける。
それが彼の選んだ生き方なのだ。
誰も彼を理解しようとしないまま、時は流れた。やがて彼は、自分自身さえも忘れてしまった。
そんな彼にはもう、自分の名前すら思い出せなくなっていたのだ。
彼の中に残っていた僅かな人間性が、その名を呼ぶことを拒んだからだ。
しかし皮肉にもそれは、彼に残された最後の武器でもあった。
その名は、
『虚ろなる仮面』……。
それが、
『迷走ピエロ』の正体さ。
かつて仮面に隠されていた真実の姿とは一体なんなのか……? その答えがわかる日は来るのか……? 誰にもわからない。