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?「俺たちは昔、付き合ってたの。」
🌸「…え、?」
ゆぺくんとこの人が、昔付き合ってた…?
どういうこと?それは本当なのか?
問いかけるように目線をゆぺくんへと移すと、ゆぺくんは怒っているような、でもどこか呆れているような表情を浮かべた。
🌟「…そうだよ、昔はだけど。」
…あぁ、そうだったんだ、
そんなことも知らないでおれは…。
おれはどうしたら良いのか分からず、しばらく動けずにいた。
?「ふふっ、ショックでしょ?笑」
その人はおれに笑顔を向けた。
その姿に少々イラついて、気付いたら体が動いていた。
?「…危ないなあ。イライラした状態でがむしゃらに突っ走ってもダメだよ?」
分かってる、分かってるよそんなこと、
だけど…。
パチンッ
男が指で音を鳴らした。
何かの合図としてよく使われるそれは、きっと今のも何かの合図なのだろう。
そう思ったのも束の間、大きな音と強い光がフラッシュし、辺りが白い煙で覆われた。
もしかして、閃光弾でも持っていたのか…?
…いや、とにかく今は攻撃に備えよう。
おれはいつ敵が来ても対応できるように、両手で刀を持って構えた。
煙が消えるのを待っていれば、少しずつ周りが見えるようになってくる。
そしてようやく煙が消えたと思えば、目の前にいた奴らが消えていた。
だけどおれには、気配でどこにいるかがすぐに分かった。
🌸「……え、?」
後ろを振り向いてみると、ニヤリといたずらっぽく微笑むさっきの男と、地面に横たわるゆぺくんの姿があった。
?「大丈夫だよ、気絶してるだけだから、笑」
…ゆぺくんが気絶…?
そもそもそんな隙があった?
ゆぺくんは反射神経が良いし、彼の攻撃には避けられるはず。
だったらどうして…。
…あぁ、そうか、それは物理的にできなかったんだ。
おれの推測ではきっとこう。
さっきの強い光のフラッシュ。ゆぺくんの瞳は光に弱いから、あれで周りが見えなくなったんだ。
だからその隙に男がゆぺくんの背後に行き、攻撃を仕掛けた。
それが奴らの狙いだったのか?
🌸「…さいあく、」
この状況なら勝てるだろうと思ったのか、先程まで彼の前に並んでいた男たちは、余裕そうな表情でおれの方へ向かってくる。
だけど、こんなところで死んでたまるか。
?「…あれ、まだ諦めてないんだ?笑
この状況で勝てると思ってるの?」
うるさい。
おれは男たち相手に刀を振る。
だけど相手はそれを上手く交わしていくばかり。
おれが刀を振るのに精一杯なのが分かってるから、相手はおれを舐めてるんだ。
?「ほんっと惨めだね、笑」
そう言う彼はこの戦いに参戦せず、ただ横で楽しそうに眺めているだけ。
🌸「黙って。」
やっぱり落ち着いて攻撃しないとダメなんだ。
落ち着いて…。
🌸「…いける。」
大丈夫。おれならいけるはず。
今までだってそうだったのだから。
そう思えば、さっきよりは動きが良くなった気がする。
おかげでさっきまでいた敵を、おれは次々に倒していくことができた。
?「わぁ…凄いね、みんな倒しちゃうなんて驚きだよ。流石、”最強”と言われてるだけあるね。」
“最強”
その言葉は、今のおれに似合うだろうか。
ゆぺくんただ一人さえ、殺すことができていないおれに。
?「…だけど、そんな最強な君でも、俺には追いつけないでしょ?笑」
彼はそう言うと、ナイフを手にして走る。
その方向はおれにも分かった。
おれは急いで彼を追う。
だってそこにはゆぺくんがいるから。
でもやっぱり距離的に、彼の方が早く着いたみたい。
おれが彼に追いつくまでの隙に、彼はゆぺくんへナイフを向ける。
…だけど、彼の振り下ろしかけたナイフは、ゆぺくんには当たらなかった。
それはおれが、持っていた刀を彼に向けて投げ込んだから。
流石に彼も、避けずにはいられないらしい。
?「…おっと…。なんで敵であるゆぺくんを庇うかなあ。君が庇わなかったら、君の任務だって終わるはずでしょ?
…あ、もしかして俺が噂で聞いた君の任務の内容と違うとか?それなら良いんだけど。」
確かにおれが刀を彼に投げなければ、ゆぺくんを殺せたし、任務も終わる。
なのにおれはそれをしなかった。
🌸「…どうだって良いでしょ。おれは君を殺すから。」
?「別に良いよ?殺すことができればの話だけど。
それに、君がこれ以上俺に近づけば、ゆぺくんも死んじゃうけどね。元カレだろうとなんだろうと、俺は殺すから。」
それがマフィアというものだから。彼はそう付け加えた。
マフィアであるおれは、同じ立場になった時に、それができるのだろうか。
?「あそうだ、一つ忠告しておくね。」
丁度今思い出したかのように、彼はそう言った。
?「ゆぺくんと付き合うのは、やめときな。」
🌸「…どういう意味。」
そもそも付き合ってないけど。
?「ねぇ、分かるでしょ?
どうせ君も俺みたいに捨てられる。愛されないんだよ、笑」
彼の言葉の口調は明るいのに、どこか悲しげに見えた。
普通は敵に耳を貸すなんて駄目なんだろうけど、今のおれはおかしいみたい。
何を思ってか、彼の言うことは間違っていない気がした。
それは彼自身が、ゆぺくんの”元”カレだからか。
?「ふふっ、笑」
彼は嬉しそうに微笑んだ。
その笑顔には、どこか裏があるようにも見える。
?「…本当は、ゆぺくんを今すぐここで殺しちゃいたかったんだけど…特別に殺さないであげる。その方が面白そうだし?笑」
彼は意味深にニヤリと笑った。
何を企んでいるんだか。
?「それはそうと、これを渡すの忘れてた」
男は胸のポケットから何かを取り出した。
?「これは昔、ゆぺくんが俺の家に泊まった時にこっそり盗ったの。返すタイミングが無くて困ってたんだよねー。だから、代わりに渡しといて?」
男がゆぺくんから盗ったもの。
それは二つの、大きさがそれぞれ違う星型のピンだった。
大きい方は黄色、小さい方は水色。
そのピンには、どこか見覚えがあった。
?「ふふっ、見覚えあるでしょ?だってそれ、君がゆぺくんにプレゼントしたものだから。」
🌸「……あぁ、。」
そういえば昔、おれがゆぺくんにヘアピンをプレゼントしたことがあったなあ。
おれが渡した時、ゆぺくんは嬉しそうに目を輝かせていたのを思い出す。
今もおれがずっと付けている、薄いピンクの兎の形をしたピンは、お返しにってゆぺくんがくれたんだっけ。
まるでパズルのピースが埋まっていくように、だんだん昔の記憶が蘇ってくる。
?「…それじゃあ、俺はこれで。」
彼はおれにそのピンを渡すと、そそくさと帰って行った。
…いや、倒れた仲間を置いていくのはどうかと思うけど。
いつにも増して、今回長いですね笑
切る部分が無さすぎて変なところで切りました、笑
そして皆さん、「Rikka_yukiusag」さんを知っていますか?
🍫🐰のイラストを描いている方なんですけど、めっちゃ上手すぎるんですよ!!
そのイラストが上手すぎる…と私が感動していた方が、この小説のFAを描いてくださったんですよー🥹
ほんとに嬉しすぎて飛び跳ねてました笑
↑この方です🫶🏻
まだ見てない方がもしいるのであれば、絶対見た方が良いです!!
とりあえず、スクロールお疲れ様でした👍🏻