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お昼休み。
教室のすみっこで、いちごはひとり
パンを食べていました。
あまいいちごジャムのパン。
パンのすみっこをちぎっては、ゆっくりたべる。
好きな味なので、味わいたいのです。
窓の外を ぼーっとながめていると、
突然、隣から声が。
「ねぇねぇ」
びくっ。
こころが はねあがって、いちごはパンをぽろっと 落としそうになりました。
振り返ると、そこには “ほのかちゃん”がたっていました。
くるくるしたロングヘアに、ふわっと光るリボン。
教室のまんなかにいるような、まぶしい子。
「一緒にたべない?ふたりで食べると、たのしいよ」
いちごは上手く言葉がでません。
口がもごもごするだけ。
とりあえず、いちごは頷きました。
ほのかちゃんはよろこび、てをひっぱってくれました。
いちごも心の中でわーいっとよろこびました。
いつもひとりだったから。
人と食べるのなんて、家族以外にはじめてだったから。
ほのかちゃんは 色んな話をしてくれました。
好きなお菓子とか、面白い先生のはなしとか、こないだお母さんに怒られたとか。
いちごは 「うん……」とか「ふふ」
とか、ちょっとしか喋れなかったけど
ほのかちゃんは楽しそうに話をしてくれた。
うれしかった。
でも、すこしだけ心の中がざわざわしました。
その日の放課後。
いつものように、図書室へ行きました。
しずかで、雪ちゃんにあえるすきなばしょ。
でもーー
だれもいなかった。
窓から光がさして、机の上に光が反射して、きらきらとひかっていた。
いちごは、好きなすみっこの席にすわりました。
いちごは考えました。
今日、どうして心がざわざわしたのか。
ほのかちゃんと話して うれしかったのに
だれかのこと わすれちゃいそうで
なにかが少しずつ変わっていく
そんな予感がして 少し怖かった。