テラーノベルの小説コンテスト第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで

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もしも上杉謙信が天下を取ったら

第11話 - 第11話　天下統一の兆し

2024年12月20日

#歴史

#ifストーリー

#戦国時代

伊琉夏

第十一話「天下統一の兆し」

時は進み、戦国の風がますます激しさを増していく。織田信長の勢いは止まらず、次々とその勢力を拡大していくが、その陰には激しい陰謀と裏切りが渦巻いていた。信玄の死後、武田家の命運は揺れ動き、後継が見つからぬまま衰退を始める。だが、信玄の死が新たな動きを引き起こす。その動きの先に、誰も予測しなかった衝撃的な展開が待ち受けていた。

越後の城下町、何かが動き始める。上杉謙信は一見して冷徹で無慈悲な戦国の将軍でありながら、その内には誰にも言えない秘密を抱えていた。信玄への秘めたる想い。戦の最中、謙信の心は信玄に引かれ、抱いていた感情はただの忠義ではなかった。

信玄亡き後、上杉は首から下の亡骸を越後に匿うことを決意した。武田家のために何をするべきか、悩み抜いた末の行動だった。しかし、その背後には深い感情があった。信玄への愛情、それは単なる主従の関係を超えて、謙信の心を縛りつけていたのだ。

「信玄…」

謙信は、静かに墓前にひざまずく。目の前に広がる美しい越後の風景を背に、彼はついに自らの想いを告げることを決意した。

「お前がいなくなって、初めてわかる…お前の存在が、どれだけ大きかったのか。」

言葉は次第に涙に変わり、謙信は言葉を震わせながらも続けた。

「もし、あの時お前が振り向いてくれていたなら、俺はどんなことをしてでもお前を守っただろう。」

墓前で誓いを立てる謙信。彼は、信玄が生きていたらどうだったかと考えると同時に、これまで押し殺してきた感情が溢れ出すのを感じていた。

その瞬間、風が吹き抜け、謙信の髪が揺れる。目を閉じると、まるで信玄がそこにいるかのように感じられる。

その後、謙信は越後の人々に信玄の功績を語り継ぐため、彼の墓をしっかりと守り抜くことを誓う。そしてそのためには、上杉家が天下を取るべきだという信念を改めて心に刻む。信玄の死が彼に与えた影響は計り知れない。それは、単なる国のためではなく、個人的な想いが絡み合った運命だった。

「信玄、あなたのために、俺はすべてを捧げる。」

謙信はその夜、寝室でひとり涙を流しながら、心の中で信玄に語りかけるのだった。