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K
——爪剥ぎ。
それは、古代中世から伝わる歴史ある拷問の一つだ。
命を奪わずに相手に激痛を与えることができる。
イギリス自身、経験したことがないわけではない。
剥ぐ側も剥がれる側も。
だからと言って、慣れるものではない。
イギリスの背中を冷たいものが伝う。
男の手つきは慣れていた。あっという間にイギリスの腕を台に設置する。
やはり彼は軍人だったのだろう。
軍部にとって尋問、拷問など日常茶飯事である。
「本気でやるつもりか……?」
「当たり前だ」
答える間にも男は着々と準備を進める。
イギリスの強張った指を一本一本丁寧に金属の型に嵌めていく。
「じゃあ、始めよう」
「———っっ! ちょっと待ってくれ!!」
イギリスは男を静止する。
レバーを下げる手が止まった。
「なんだ。単結に言え」
「……お前の目的はなんだ」
「目的《The purpose》?」
男は息を吐く。
視線はイギリスの目に刺さったまま。
「復讐だ」
「は……?」
「お前のせいで、俺は家族や財産、全て失ったんだ」
「あと、俺はお前が国であることも知っている」
イギリスの目が完全に見開かれる。
国であることは重大機密で僅かな者しか知らないはずだ。
なぜ、こんな見ず知らずの男が……
「……お前、何者だ」
「さあな。 次第に分かるんじゃないか」
国であることを知られている。
今の状況において、イギリスは完全に劣勢であった。
半不死身であるこの人体を利用して、隙を狙い反撃したり脱走したりすることが格段に難しくなる。
八方塞がりだ。
「もう話は済んだか? いくぞ」
迷いなくレバーが振り落とされる。
その瞬間、体に電撃を落とされたような鋭い痛み。
「〜ッぐぅっっ……!!!!」
目をきつく閉じて、呻き声しか出なかった。
(今俺の爪はどうなっているんだ……!!)
本能的な恐怖で現状を確認することができない。
見たら終わる。そんな気がした。
「一気に全てやったら興が削がれるからな。 今日はここまでだ」
男は金具を外していく。
(解放された……)
その言葉に一瞬安堵する。
爪に覆われていた皮膚が晒され、空気に直接触れてズキズキと疼く。
しばらくは痛みは和らぐことはないだろう。
男はイギリスを椅子から下ろし、再び手首に鎖を付けると部屋から去っていた。
静まり返った部屋にイギリスだけが残された。
「あいつ、復讐だって言ってたな……」
正直に言ってしまえば、心当たりはある。ありすぎるぐらいだ。
過去の行いがあらゆる方面から恨みを買っているからだ。
「……このまま、ずっと、かよ」
行く末が思いやられて、イギリスは硬く目を閉じた。