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本気にさせたい恋

142 - 第142話  新たな存在と決意③

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2024年10月05日

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「てっきり何? 浮気してるとでも思った?」

「いや・・・」

「何? 人にはさんざん信じろって言っておいて、樹、私のこと信じてくれてないんだね?」

「いや・・信じてないワケじゃないんだけど・・。いざ知らないヤツの姿見ると、オレもうパニくっちゃって・・。オレいない間にもう気持ち変わったのかなって焦っちゃって・・・」


透子の前ではカッコつけたいのに。

だけどここまでなるとカッコつけられるはずがない。

もうどこまでもオレの気持ちをさらけ出してしまう。


「そんなことあるはずないでしょ。この5日間寂しくって会いたくて仕方なかったんだから」


なのに。

こんなどうしようもなく情けないオレを見たはずなのに、透子は愛想をつかさず、そんな嬉しい言葉をかけてくれる。


「あっ、うん。オレも・・・。だから、透子に早く会いたくて、めちゃ頑張って仕事早めに切り上げて帰って来た・・」

「うん。ありがと。早く帰って来てくれて嬉しい」


ホントは真っ先にその言葉を聞きたかった。

笑顔でそう言ってほしかった。


「だからオレ透子早めに帰ったら喜んでくれるかなって期待して、わざと何も言わずにビックリさせようと思って帰って来たんだけど・・・」

「そしたら知らない男がいて不機嫌になったの?」

「あぁ・・・うん。完全に誤解して勝手に嫉妬して不安になってた・・・。うわぁ~!なんだよオレ!めちゃめちゃカッコ悪いじゃん!」


恥ずかしすぎてカッコ悪すぎて、思わず頭を抱える。


何やってんだよオレ。

自分で気まずくしてどうすんだよ。


「フフッ。嫉妬してくれてありがとう。でも安心して。弟だから。私が好きなのは樹だけ」


だけど、透子はそんなオレを見てもそう言って笑顔で嬉しい言葉を返してくれる。


「うん。透子。早く会いたかった」

「私も」


よかった。

まだオレを好きでいてくれて。


「んんっっ! もうそろそろイチャついてもらうのやめてもらっていいかな? オレまだいるんだけど?」


あっ、やべっ。

存在気にしてたからこんなことになってたくせに、もう透子以外気にも留めてなかった。


「あっ!ごめん! ハルくん!」

「いや? それだけ透子ちゃんが周り見えなくなるほど好きな相手見つかったんだな~ってわかって、オレは嬉しいけど」

「ハルくん・・・」

「でもこんな透子ちゃん、初めて見た。透子ちゃん好きな人の前だとこんな風になるんだね」

「そりゃあねぇ・・?」

「昔はあんなにオレ一筋で可愛がってくれたから、なんかちょっと寂しい気もするけど(笑)」


この二人、仲いいんだな。

優しく接している透子の感じとか、二人の雰囲気とかから、透子が弟のことを大事にしているんだなと感じる。


「えっと・・・悠翔くんだっけ? オレよりもまだ若く感じるけど・・・」


オレは最初に感じて気になったことを聞いてみる。


「あぁ。うん。ハルくんとは10コ年齢離れてて、今25」

「そうなんだ。じゃあやっぱりオレより年下?」

「うん。母親、私産んだのも年齢早くて、正真正銘、血の繋がった弟」


やっぱそっか。

若く見えたのは透子と10歳も離れてるからか。

てか、そんな若いヤツと透子がどうこうとか、よく考えたらオレもわかりそうなのに。

でも透子はそれくらいオレも離れてるのに今では受け入れてくれてるだけに、もしかしたらあり得るのかもとどこかで思っていたのかも。

オレにとってはどれだけ若くてもどれだけ年齢を重ねた大人の男でも、オレ以外の男は近づいてほしくないから。

だけど家族ならもちろん別。


「だからオレ年下なんでハルでいいですよ」

「あっ、うん」


この優しい雰囲気がなんとなく透子と似ている。


「10コ年齢離れてるから昔っから可愛くて。すぐなんかあったら甘やかしちゃってたね」

「ホント透子ちゃんもういいっていうほど甘やかしてくれたから、最初はオレも透子ちゃんと離れると大変だったよ」

「うん。私も離れたくなかったな~」


そっか。

透子は弟だとそんな可愛がるんだ、甘やかすんだ。

また知らなかった透子を知る。

だけど、知りたい。

透子はどうやって可愛がって、甘やかすのか。

きっとオレにはしてもらえないその特権を。


「へぇ~透子。弟にはそんな甘やかしてたんだ?オレには全然違うじゃん」


だからついそんな風に拗ねた口調で嫌味っぽくからかってしまう。


「それは・・・ずっと年の離れた弟で昔から可愛がってたままの感覚なだけで・・・」

「でもハルは25でオレは27だし年齢もあんまり違わないよね?なら同じようにしてくれてもさ~」

「だって樹はそんな甘やかされるとか好きじゃないだろうし・・」

「でもなんか素直にそんなデレデレする姿オレには普段見せてくれないし・・・」

「いや・・・それはさぁ・・・」


わかってる。

弟だから、それだけ年が離れてるから可愛がっていたってことくらい。

だけど、きっとオレの知らない透子の素顔が当たり前だけどそこには存在していて、そんな透子をまだ知らない自分がいたことに少し寂しくなっただけ。


「オレもそんな透子見たい」


なのに、なんでまだオレはこんな我儘を言ってしまってるのだろう。


「・・・だって、樹にはドキドキして無理なんだもん・・・。実際年齢関係なくなるくらい樹は大人だし魅力的だし・・どうしても意識しちゃって恥ずかしいというかなんというか・・・」


すると、透子は急に恥ずかしがって思ってもいなかったことを言う。


「あっ・・そっか・・。いや・・うん・・それなら・・まぁ・・」


そのまさかの理由と反応で、オレもつい照れてしまう。


そっか・・そういう理由もあるのか・・。

こういうのないものねだりって言うのかな。

きっと弟だから出来ることで、逆にオレのことはちゃんと男として意識してくれてるってことだよな。

それを聞いて一気に嬉しくなるオレって単純。

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