テラーノベル
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「阿部ちゃん、なんで目閉じないの?」
目尻に皺を寄せて笑いながら目黒が言った。
「だって…」
俺は少しでも長く、少しでもたくさん、目黒の顔を見ていたかった。キスの間だって、一時も、見逃したくないほど。
しんと静まり返った部屋では、呼吸の音さえ響いてしまいそうで、思わず息を潜める。
何度か唇に吸い付きあった後、顔の角度を変える時のタイミングが合わなくて、鼻と鼻がぶつかった。なんとなく照れくさくなって顔を逸らして、でもまた見つめ合って、唇をくっつける。ちゅ、ちゅ、というリップ音を聞くだけで、もう痛いくらいに気持ちよくなった。
「は、ん…」
「目、閉じないの…えろ」
薄く唇に触れたまま言う目黒。
そんな俺を見てるお前だって目閉じてないだろ、と思いながら、必然的にキスしたまま見つめ合った。
絡み合う視線に意識が四散して、自分がどうやってキスしているのかもよくわからなくなってくる。
唇を甘く食んで、舌を擦り合わせて、唾液を送り合う。ただそれだけの行為がこんなに気持ちいいなんて、とても不思議だった。
「キス、気持ちいい…」
「うん、気持ちいいね。ずっとしてたくなる」
「ずっとしててよ」
首筋に添えられた手が優しくそこを撫でてくるのにも、いちいち感じて呼吸が荒くなった。
飽きないでキスを繰り返しながら、欲望に任せて繋がってしまいたい気持ちと、ずっとこのまま唇同士で愛し合いたい気持ちがせめぎ合う。
汗を浮かべるほど熱い目黒の体温を、密着した身体から感じる。お互いの間にどんどん熱気がこもっていく。
目黒の閉じた瞳の縁で長い睫毛が小さく震えた。飲みきれなかった唾液が口の端を伝っていく。粘膜の濡れた音と、衣服の擦れ合う音。
はあはあ、息継ぎもままならないほど呼吸を乱しながら、俺たちはしばらくの間、ずっとキスに夢中になった。
コメント
15件
毎回最高な作品ありがとうございます!今回なんてキスだけでなんでこんなえrくなるんですか??(ちょっと殴ってください)マジで最高です!また楽しみにしてます!!
きゃあーーーーー🤦🏻♀️🤦🏻♀️🤦🏻♀️🤦🏻♀️ ドキドキでしかないもう倒れる🖤💚🤦🏻♀️
xxxってタイトルでめっちゃキスするやんありがとう…😇と思いましたが思った以上でした💚 こんなにキスだけでドキドキする描写ができるkinoさんの表現力がすごすぎます🥺