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愛莉闇花
19
あの日から。
ちぐさくんは少しずつ変わっていた。
「疲れた」
「手伝ってほしい」
「ちょっと不安」
今までなら飲み込んでいた言葉を、少しずつ言えるようになった。
それでも。
長い間隠していた気持ちは、簡単には消えなかった。
⸻
あっきぃ「ちぐちゃん、今日ちょっと静かじゃない?」
ちぐさくん「え?そう?」
あっきぃ「うん」
ちぐさくん「……」
まぜ太「また隠そうとした」
ちぐさくん「まぜたん……」
まぜ太「顔に出てる」
ちぐさくんは苦笑する。
「俺、そんな分かりやすい?」
ぷりっつ「分かりやすいで」
ちぐさくん「ぷりちゃんまで!?」
少しだけ。
いつもの空気が戻る。
でも。
その日の夜。
⸻
ちぐさくんは夢を見た。
誰もいない場所。
自分だけが立っている。
目の前には、たくさんの花。
白い花。
黒い花。
そして。
ひとつだけ、枯れかけた花。
「……」
近づく。
すると声が聞こえた。
『どうして隠すの?』
「……」
『どうして一人で咲こうとするの?』
ちぐさくんは答えられなかった。
だって。
本当は分かっていた。
強いふりをしていた理由。
リーダーだからじゃない。
嫌われたくなかったから。
必要とされなくなるのが怖かったから。
⸻
「俺……」
目を覚ます。
部屋は暗い。
「怖かったんだ」
初めて。
自分で認めた。
⸻
翌日。
みんなで集まっている時。
ちぐさくんが口を開いた。
ちぐさくん「みんな」
全員が振り向く。
あっきぃ「どうしたの?」
ちぐさくん「俺、話したいことがある」
その声は少し震えていた。
⸻
ちぐさくん「俺さ」
「ずっと、リーダーだからって思ってた」
「俺がしっかりしなきゃ」
「俺が笑ってれば、みんな安心するって」
「でも……」
少し間が空く。
ちぐさくん「本当は、ずっと怖かった」
静かになる。
ちぐさくん「失敗したらどうしようって」
「みんなに迷惑かけたらどうしようって」
「俺が必要なくなったらどうしようって」
言葉にすると、涙が出そうだった。
でも。
今度は隠さなかった。
⸻
あっと「ちぐ」
ちぐさくん「……」
あっと「俺、ちぐが必要なくなるなんて思ったことない」
まっすぐな声。
あっと「リーダーだからじゃない」
「ちぐだから必要なんだよ」
⸻
まぜ太「俺も」
「ちぐが完璧じゃなくても、ついていく」
「むしろ」
少し笑う。
「一人で全部やろうとする方が心配」
⸻
ぷりっつ「俺ら、ちぐに笑わせてもらってばっかじゃん」
「だから次は俺らが支える番やろ」
⸻
あっきぃ「ちぐちゃん!」
「俺たち、6人でAMPTAKじゃん!」
「一人欠けたら意味ないよ」
⸻
けちゃ「僕もそう思う」
「ちぐ」
「僕たちは、リーダーのちぐだけを見てるんじゃないよ」
「ちぐ自身を見てる」
⸻
その言葉を聞いた瞬間。
ちぐさくんの中で、何かがほどけた。
「……ありがとう」
「俺、ちゃんと頼るから」
「もう一人で頑張りすぎない」
⸻
その夜。
白い花が現れた。
でも。
もう白いだけじゃなかった。
6つの色が混ざった、小さな花。
『本当の声を聞かせた花は、もう孤独じゃない』
ちぐさくんは微笑む。
「俺は……」
「一人で咲かなくていいんだ」
風が吹く。
花は優しく揺れた。
コメント
1件
ああー……もう、これ!ちぐさくんがやっと「怖かった」って認められたの、本当に良かった……。夢の花の比喩もすごく綺麗で、特に枯れかけた花が自分自身って気づくところグッときた。あっとの「ちぐだから必要なんだよ」に全部救われた気がする。一人で咲かなくていいって思えるラスト、最高だった!