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私の
俺の大切な人
… ……………………………………………………………
一人暮らし、思っていたより過酷な日常。改めて親に感謝をする。石井さんが
家事、仕事、勉強、人間関係。 このストレス社会は、とても過酷だ。
女子大生の私は、常々思っている。
1年前の事故から、だいぶ回復した。
私はちょうど一年前、交通事故にあった。
どうやら運転手が飲酒運転をしていたらしく、その車に轢かれた。その瞬間記憶は曖昧で、何も覚えが無い。だが、それほどの重症を負ったにも関わらず幸いにも命は助かった。その後の生活にも、あまり支障はなかった。
その後ある程度回復した私は、親に迷惑をかけるわけにもいかないと言う思考が頭によぎり、無理くり一人暮らしに戻り、今に至る。
「はぁぁぁぁ〜!!!片付けおわっ…たぁぁ〜!!! 」
小さなアパートの2階に引っ越した私は、早速荷解き作業地獄に一ヶ月ほど掛かっていた。
「ふぅ〜、、これでやっと家でゆっくりできる〜、!」
ピーンポーン。
「ん、?なんだろ、、」
「は〜い」
しっかりとした顔立ち、体つきの男性が立っている。ご近所さんだろうか。
「どうしました、?」
その瞬間、私は抱き締められた。
「へッ…?」
戸惑いが隠せず、ただされるがまま立ち尽くしていると、男性が口を開いた。
「俺の愛華…。会いたかったよ。」
見ず知らずの男性に抱き締められ、しかも名前を知られていたという恐怖が湧き上がる。
「だ、れ…」
私は震えた。それに気づいた瞬間、男性は更に深く私を抱き締めた。
「大丈夫、ニコッ、もう俺が居るよ、俺がずっとそばに居るよ。」
その言葉を聞いて、吐き気がした。気持ちが悪い。今から何をされるのか考えてしまったその時、無意識にその男性を突き放し、ドアを激しく閉め、鍵を閉めた。
「誰ですか?!通報します!!」
私は恐怖と混乱で、咄嗟に口にした。 その時にはもう、男性は居なかった。
その後、私は嫌な言葉が思い浮かんだ。
「 ストーカー」
その言葉がうかんだ瞬間、鳥肌が立った。
その後、私は念のため警察に連絡することにした。
プルルル…プルルル…。
「こちら大阪府警です。」
「あの…。」
その後、私はすべてを話し、警察の人はこう言った。
「分かりました、であれば、もしまた家に来たら電話してください。」
「はい、ありがとうございます。 」
不安は募ったまま、その日は電話を切った。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
翌日
朝の9時。大学へ行く支度をしていた時、昨日のようにインターホンが鳴った。
ピーンポーン。
私は、覗き穴を見て昨日の男性ということを確認すると、すぐさま警察に連絡した。
私はその後少し怖くなり、自分の部屋の布団のなかでうずくまった。
布団に包まれるぬくもりは、何処かで覚えがあるような、安心できる暖かさがする。けれど少し、何処か寂しく感じる。よく小説などに出てくる「心にポッカリと穴が空いた」というような表現は、この事かと思うほどだった。
その日は、そのまま大学に行かないことにした。
しばらくすると、インターホンが鳴った。
警察と男性が一緒に玄関扉の前に立って、私が出るのを待っている。その様子を確認した私は、警察が居ることに安堵し扉を開けた。
「はーい…。」
何やら反省した様子で、警察の隣に立っている男性。
「この男性に聞いたところはですね、」
そのまま話を聞き続けると、男性は私の両親に頼まれて、事故にあった私の補助をしに来たのだそう。書類も持っているため、間違いはなさそうだ。
事故・事件補助手続き。
対象者、櫻井 愛華。 これは私だ。
補助者、石井 蒼真。 、。これは男性のことだろう。
その下には、詳細と、両親の印鑑が押されていた。私がじっくりと書類を見ていると、男性が口を開いた。
「……、、愛華さん、この前は急ですまなかった。」
…それなりに反省しているのだろう。「石井蒼真」という男性は深々と頭を下げ、続けた。
「…言い訳にしかならないけど……、実は、前の対象者の子がものすごく甘えん坊で…それと同じ感じで接しちゃったんだよね、」
そう言った石井さんは、嘘はついてないようだった。でも、少し悲しそうで、悔しそうな顔をしていた。
「…、あの、大丈夫?」
私は無意識に発言した。「大丈夫?」という自分の言葉に驚きつつも、石井さんと会話しようという小さい決意をした。
「…、、急だけれど…これから、よろしく、」
「えっと…は、はい…!」
「ほんとなら…住み込みで補助することが多いんだけど…嫌なら、直ぐとは言わない。」
どうやら、思っていたより善い人らしい。私のことを本気で心配してくれている。
そんな彼を見て嫌なんて言えるはずもなく、私はすぐにこう言った。
「い、いえ…!大丈夫です、補助してくれるなら助かりますし、住み込みでも、大丈夫です、、!」
「本当か…?!よかった、ニコッ」
私達がそう話しているうちに、警察の人は帰っていた。
石井さんは一度帰って荷物をまとめてから私の家に来ることになった。私的にも一つだけ部屋が残っていて、使い方に迷っていたから丁度良い。
お昼ごろになった頃、インターホンが鳴る。私の中にあった不安は減り、石井さんとの生活への緊張とワクワクが勝っていた。
ピーンポーン。
私はすぐに開けた。
「はーい、!」
「石井です、ニコ」
思ったよりも重そうな荷物を持っていて、私は咄嗟に手を貸した。石井さんは一瞬驚いた顔をしたけれど、嬉しそうにして家に上がった。
「お邪魔します、」
「えっと、一応石井さんの部屋にしようと思ってるのがここで…」
「え、部屋貸してくれるの?、」
「はい、丁度一部屋余ってたので、ニコッ」
いつの間にか、私の顔には笑顔があった。見ず知らずの人のはずなのに、何故か心地よかった。仕事柄、そういう人なのだろうか。
「じゃあ、失礼致します、!笑」
石井さんのかしこまった言い方に、思わず笑いが溢れた。
「あ、お願いなんだけど…」
「…?」
石井さんの、突然の「お願い」という言葉に少し驚きながらも、私は耳を傾けた。
「俺の部屋には、入らないでほしい。」
どういう事だろうか。分からなかったが、私は素直に受け止めた。
「分かり…、ました。」
石井さんは少し重い空気が流れたのを察知したようで、明るくこう言う。
「よし…、笑、昼、なんか食べた?」
「いや…、まだです。」
石井さんに「部屋に入らないで」と言われてから、少し警戒をしていた。だからか、「ご飯を作ろうとする」彼の姿を見て、警戒心がさらに上がった。しかし、私はただ座ったまま、彼を眺めていた。
「よし…作ってあげるよ、ニコッ」
「大学とか、色々疲れてるだろう?」
「、はい…。」
しばらくすると、テーブルに食卓が並べられた。警戒しながらも、一口食べると想像以上に美味しかった。石井さんは、私を見てにっこりと微笑んだ。でも、やはり何処か悲しそうだ。
「どうかな…?」
「ん… 、おいしいです。」
「そう、よかった、ニコッ」
本当に美味しい、しょっぱくてほんのり甘いような気がするオムライス。私の好物なのは偶然なのか両親に伝えられていたのかは知らないが、どっちにしろ、私の好きな味付けだった。
一ヶ月もすると、大学へ行く前、帰ったあとに石井さんのご飯を食べるのは日常になっていた。私も石井さんもだいぶ慣れてきて、お互い距離感も近い。
「ただいま〜、!」
そう告げると、エプロンが似合わない石井さんの姿が見える。
「お、おかえり、ニコッ」
「今日のごはんなに〜?」
「今日は何と唐揚げ〜!笑」
「え?!からあげ!やったぁ!」
こんな、家族みたいな会話を、一ヶ月前まで他人だった人としている。石井さんが馴染みやすく、とても良くしてくれるおかげか、すっかり頼りっきりだ。
「はむっ…ん…、、!!おいしい!!」
「、!よかった…!ニコッ」
「石井さん、いつもありがと!ニコッ」
「ううん、全然。」
そんな会話をするほど、石井さんは本当に私の親のような存在だった。大学の疲れで少し鬱っぽくなった時も、面倒を見てくれた。心のぽっかり空いた穴を埋めてくれるような感覚だ。いつの間にか、石井さんの抱擁にも慣れた。なんなら、暖かいからずっとしていたいとも思う。私は石井さんを信頼し切っていた。いや、過去形はおかしいか。今も信頼している。
ある夜、私はお手洗いに行きたくなって起きた。
お手洗いは、石井さんの部屋の前にある。私は何も気にせず、お手洗いに行こうとした。しかし、石井さんの部屋からどうも物音が聞こえる。
ガチャ…ガチャ、
その次には物音だけでなく、石井さんのかすれた声で
「愛華ッ…」
と言うのも聞こえてきた。その時、愛華は石井さんの部屋の前に立ち尽くした。そう言えば、石井さんは「絶対部屋に入らないでくれ」と言っていた。なぜ今まで忘れていたんだろう、何故、おかしく思わなかっただろう、不思議で仕方がない。その瞬間、背筋がゾッと凍り付く。寒気がした。この扉の奥で石井さんが「何か」をしている。ただの作業であれば、「入る」ぐらい良いだろうし、「愛華」と言う私の名前が聞こえてくるはずがない。
自分がなにをしに来たのか忘れるほど、その思考が頭を巡る。
その時、鋭い音が鳴り響いた。
ドンッ…!!
机を叩いたような音。ただ、こわい。今までの石井さんは何だったのだろう。怖い、怖い…。
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翌朝
私は、怖くて仕方が無く、石井さんと顔も合わせられなかった。
石井さんが、「おはよう」と言っても、私は素っ気なく返すことしかできなかった。
私は、嘘だと思いたくて、石井さんに聞いた。
「あの…。」
「ん…?」
「…、、昨日の夜、部屋で何してたんですか…?」
「…。、!、」
明らかに動揺している。やはり何か、私に言えない事をしているのだろうか。
「…。、今は…、言えないかな、ニコ…。」
なんで、何故そんな顔をするの。石井さんはとても悲しそうな顔をしながら、無理やり笑っている。目の下には隈も出来ている。心配の気持ちを持ちながらも、私は裏切られたような気分だった。
「…、、、」
「俺、少しお風呂入ってくるね。」
「、はい、どうぞ…」
私は、チャンスだと思った。
石井さんがお風呂に入っている間に、石井さんの部屋を少し覗こう。私の勘違いの可能性がまだある。
ガチャ…
石井さんの部屋をの扉を開けると、特におかしな物はなく思えた。
しかし、目に入ったものは衝撃的だった。
“私と石井さんの写真”
こんなもの、私は撮った覚えがない。かといって、盗撮とは思えないほど私は笑っている。写真立ての前には、2つの指輪が置いてあった。
「ど、どうい…う…」
さらに、石井さんの机に写真用ファイルがあった。少しめくると、”私に覚えがない”、石井さんと私の楽しそうな写真。遊園地、カラオケ、公園、、さまざまな場面。急な情報移入に私は脳が追い付かず、私はその場で倒れた。
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シャワーを浴びながら、愛華のことについて考える。”前の愛華に会いたい”何度考えたって、結局そうだ。
愛華に、昨日の夜の音が聞こえたのだろう。これからどうしようか…。
「愛華…。 」
とりあえず、今は早く出よう。そう思った。
風呂から出ると、いつも愛華が居るはずのリビングに愛華が居ない。
焦って、いろいろな場所を探した。洗面、キッチン、愛華の部屋…、、
「……、居ない…、、愛華ッ…」
不安に押しつぶされそうになりながらも、必死になって探す。その後、自分の部屋の扉が空いていることに気づく。
「空いて… 」
中で愛華が倒れているのを見て、俺はすぐにしゃがんで、抱きかかえ、脈を確認する。
「ッ…愛華…?!」
「…愛華!、大丈夫か!!」
「、愛華ッ…!!!」
こうなると予想したから、注告されたから。部屋に入れなかったのに。
俺は、直ぐに病院に愛華を連れて行った。
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ガララ…
病室の扉を開ける。
ベッドには、愛華が以前の輝きを失い、横たわっている。
「………。」
「愛華……。。」
手が震える。
いやだ。
死んでほしくない。
愛華ともっと話したい。
生きてほしい。
右隣には医者。
左隣には愛華の両親。
真ん中に俺。
愛華の両親は、悲しそうな顔をしながらも、事実を受け止めている。
医師は、淡々と説明する。
ただひとり、俺は…。
情けなく愛華のベッドの前で膝をついて、男としてみっともないくらい目から水が溢れ出している。
医師が発した言葉、
「愛華の命に別状は無い。」
それは、とても嬉しくて、愛華が大丈夫という事実だけで安心が襲う。
しかし、その次に発した言葉―――
「愛華さんは、事故による脳の損傷で、誰か、何かの記憶が抜け落ちている可能性がある。」
右隣に医師。
左隣に愛華の両親。
愛華の両親も、おそらく思っただろう。
“抜け落ちている愛華の記憶が、自分じゃなくあってほしい。”
そう願ったが、
愛華から抜け落ちた記憶――
それは、
石井蒼真との、
”全ての記憶”
1ヶ月後に愛華は起きた。
親族、友人、そして俺。並んだ仲で、唯一、俺に対する反応がなかった。
もう身体に力を入れるのに必死で。
涙をこらえるのに必死で。
現実から逃げたくて。
俺と、愛華の、すべての記憶、、
全ての記憶が、無い。
何も、残っていない。
もう、愛華と会わなくていいや…。
俺なんか、どうでもいいんだから。
愛華にとっては、もう他人なんだから。
もう…どうでもいいや。
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主
定期テストがありましてね…、その合間合間に気分転換的に書いてたやつなのですが…、案外いい感じだったので投稿してみます。続きも書く予定です。投稿するつもりあんまなかったんで題名とかテキトーですけどあんま気にしないでください。
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