太陽の光で目が覚める。部屋から出て行く妹の背中が見えた。今日はみこちゃんと会う約束をしている。ベットから起き上がり、緩めの洋服に着替える。洗面所に行くと、朝から両親が口喧嘩をしていた。いつものこと。昔から育児放棄されている。今は妹と食事やらなにやらしているが、俺が今年高校卒業し、正社員として働けるようになったら、その時には高校1年生になる妹を連れて家を出るつもりだ。
「お兄ちゃん、今日もあの人?大丈夫?」
st「う~ん…まぁ、平気だよ…!」
両親の機嫌がもっと悪くならないよう、小声で会話する。妹と話すのは気が楽だ。お互いに年頃なのもあり、友達感覚で話せる。冷凍庫にあった米を電子レンジで解凍し、小さめのおにぎりを半分こする。妹はこれから中学校生活最後の部活の大会練習に行くらしい。
st「今日も頑張ってね!」
ガッツポーズをしながら言うと、妹も嬉しそうに手を振って、
「うん…!お互いにね!行ってくるね、お兄ちゃん…!」
そう言って家を出て行った。俺もそろそろ行かないとだ。財布に千円札を3 枚入れ、水筒と共にバッグに詰め込み外に出る。商店街付近に来ると、彼がいた。予定よりも10分早く来たのに、彼を待たせてしまった。その事を謝罪すると、笑顔で許してくれた。そのまま雑談をしていると、兎のぬいぐるみが目に入った。
st「!…これ、妹が欲しそうにしてたやつ!」
以前ここを通った時、珍しく妹が目を輝かせていた。今まで欲を言う事が少なく、欲しい物もろくに買ってあげられなかったため、メールで嫌がらせをしてくる先輩や態度の悪い後輩を無視してバイトを頑張ってきたんだ。
st「税込み2200円‥買える…!」
嬉しさのあまり久し振りに大きな声を出してしまった。謝ろうと振り向くと、怒った表情の彼がいた。どうしたのか聞こうと近寄ると、手を引っ張られ見知らぬ家に連れて来られた。《種村》みこちゃんの苗字があった。どうやら彼の家らしい。2階に上がり手前の部屋に入る。
st 「みこちゃん…?どうしたの?」
mk「なんで、…なんで俺じゃない”の!」
何か良くないことをしてしまっただろうか。話し合うために口を開くと肩を押され床に倒れ込んだ。俺にまたがり、両手で髪を掴まれる。
mk「ねぇ”!なんでよ…愛して”よ”ッ!」
ずっと、ずっと訴えかけられた。その日は隙を見て家から抜け出したが、会う度、隙あらば愛してるか聞いて、誰かと話すだけで嫉妬して。怖かった。前のように、上手く話せなくなった。妹が盗みを繰り返して女子少年院に入った。どうしよう…助けて、
みこちゃん
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