放課後の教室。窓から差し込む夕焼けの光がオレンジ色に広がり、湊(みなと)は机にプリントを広げて残った課題をしていた。
そして、すぐ後ろ。
湊の椅子の背に、蒼(あおい)が当たり前のように腕を回して寄りかかっている。
「重くない?」
「湊に触れてるなら全然。むしろ落ち着く」
耳元にかかる低い声に、湊の指がピタッと止まった。
蒼の声はいつも冷静なのに、距離だけは妙に近い。
いや、近いどころか――包み込まれているような感覚がある。
「ねえ、今日、ずっとそばにいていい?」
「もうそばにいるでしょ」
「足りない」
蒼は湊の肩に額を乗せ、そのまま頬をすり寄せるように体重を預けてきた。
「……猫?」
「違う。湊専用」
甘ったるい声でそんなことを言うから、湊の胸が一気に熱くなる。
「ねえ、手。ちょっと貸して」
「うん?」
言われるままに手を出すと、蒼は指を絡め取ってぎゅっと握った。
まるで逃げられないように。
「今日の湊、いつもより静かで……なんか、触れたくなる」
「触れてるじゃん」
「もっと」
蒼は湊の首の後ろに手を回し、すぐ耳の後ろに唇を寄せた。
触れない。けれど、吐息だけで背筋が震える距離。
「……あお」
「湊、かわいい。全部愛しい」
「そんなこと言っても……」
「言うよ。だって本気だもん」
指を絡めたまま、蒼は手の甲をそっと撫でる。
優しいのに、逃げられないような絡み方だった。
「ねえ、帰り……どこか寄ろうか。湊が食べたいもの、なんでも付き合う」
「なんか……甘えさせようとしすぎじゃない?」
「甘えさせたいんだよ。湊の全部、僕に預けてほしい」
言い切る声は落ち着いているくせに、内容は激重一直線だ。
「湊が誰かと話してるだけで、ちょっと苦しいんだ」
「……え?」
「だから、今日くらいは……僕だけ見てて?」
湊の胸の奥がきゅっと締めつけられる。
蒼の独占欲が、苦しいほど甘い。
「……そんな顔しないでよ」
「するよ。湊が好きだから」
夕陽が完全に沈む前、蒼は湊の指をやさしくほどき… その手の甲に、そっとキスを落とした。
「ねえ、帰ろ。手……ずっと繋いでていい?」
「……うん」
湊が答えた瞬間、蒼が心から嬉しそうに微笑んだ。
その笑顔があまりにも甘くて、胸がとろける。
はぁ〜…期末テスト…嫌だ( ߹ㅁ߹)
しかも今回範囲広いしオワタ\(^o^)/
コメント
25件

いや、最高です👍👍書き方とか表現の一つ一つが神がかってますね✨️😇✨️海月さんが書く物語全部好きです🫶🏻︎💕︎︎