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「……さて。リナ君。君はなんであの場に?」

「なんでって……。あの人は僕と僕の戦姫を狙ってたから?」

「狙われた理由は?」

「何でも僕の戦姫が天使創造計画プロジェクトエンジェルなんじゃないかって話で狙われて、それを返り討ちにした。」

「……数年前の事件の生き残り?いや、でもそんなこと……」

「なんにせよ、僕は被害者ですよ?これ以上聞かれてももう詳しい話は出てきません」

「……まぁいい。それよりも君のお友達についても聞かせてもらおう。」

「アキトのことですか?」

「彼もあのモールにいた。それも地下のサーバールームでミライソフトの連中を倒して、モニターで何かを確認していたんだ。彼は一体何者なんだ?」

「そんなこと聞かれても、僕が答えられるのは仲のいい友人ってだけですよ。」

「本当にそれだけか?あの場に一般人が来ることなどありえない話なのだぞ?」

「なら、直接本人に聞けばいいじゃないですか。少なくとも僕は、彼が僕の為に戦ってくれていたのは知ってますし、それ以上の情報は僕も知りません。」


「……という訳で君にも話を聞きたい」

「まぁ、でしょうねという感想が出ますね。」

「では、無駄を省き単刀直入に聞こう。君はあの場で何をしてた?」

「……俺は友人のリナの為にミライソフトの闇を暴こうとしてた。」

「あそこに居たのはそういう事か…」

「ちなみに俺が見てたのはモール内のバトルスポットの稼働状況の確認画面だ。あそこのパソコンはそれ以外で触ってない。」

「…他に何か掴んでることはある?」

「そのデスク周辺を調べてもらうも分かるんですが、各バトルスポットでの戦績をまとめた資料が見つかると思います。しかも、戦記に限らず所有者のデータもね。」

「個人情報を勝手に抜いていた、と?」

「恐らくそうでしょうね。戦姫のみのデータならバトルスポットのCPU調整とか言い訳できたと思いますけど、プレイヤーの情報もとなると、別の理由があったんでしょう。」

「……それが天使創造計画プロジクトエンジェル

「そこまでは俺も知らないですが、それに準ずるなにかじゃないですか?こんな恐ろしい開発もしてますし…」

そういいアキトは『S.F.C開発記録』の写真を見せる。

「これは…?」

戦姫フィールドカプセル通称『S.F.C』これがあればどこでも戦姫大戦を楽しめる代物さ。ま、欠陥品で危険しかないが上の人間はそれを知っててなお商品化しようとしてたみたい。」

「これはどういった危険が…」

「俺に聞くよりももの見た方が早いよ。気になるところだけだけど抜粋して写真あるから確認して。現物は現場にあるから近いうちにあんたの部下が持ってくると思うよ。」

アキトのその言葉を聴きながらスマホをスクロールしたりアップしたりして中身を確認する。

「………」

「どぉ?結構なこと書いてあるでしょ?俺はここまで酷い会社とは思ってなかったけど、たかだか一人の一般人に対して大人の力で拉致を試みたって時点でリナの協力はするつもりだった。」

「……一つ聞いてもいいかしら?」

「俺に答えられる範囲ならね」

「あなたのお友達。リナ君は一体何者なの?」

「何者でもないよ多分。少なくとも俺はただの友達として認識してるけどね。」

「そう…。なら、質問を変えるわ。彼の戦姫は何者なの?」

「それも俺には分かんない。なんなら、本人も分からないと思うぞ。」

「どういうこと?」

「……これを正直に話してアイツから楽しみを奪わないと誓ってくれるなら話してやる。」

「……従わなかった場合は?」

「勝てないとわかっても俺は国を敵に回してまでもアイツのために行動する。」

「……そう。まぁ、内容を聞かないことにはなんとも言えないけど」

「………。アイツの戦姫は自分で買ったわけでも他者から貰った訳でもない。偶然、本当に偶然助けた戦姫らしいんだ。」

「助けた?」

「近くの公園に捨てられていた彼女を放っておけないって理由で自分の戦姫にしたんだ。」

「…なるほどね。」

「話を聞いてる感じ、前の所有者のデータは消えていたみたいで新規での登録という形を取っているから犯罪とも言えないラインだろ?」

「まぁ、そうね…。」

「この一件ではあんた最後の触りしか見てないかもしれないが、アイツは戦姫を悪用する人間じゃない。」

「捨てられていた戦姫を拾って自分の娘として向かい入れ、会社に対して一人で立ち向かう人が悪人とは私も思えないわよ」

「……アイツ人と話すの苦手で友人も本当に少ないんだ。カレンさん、でしたっけ?貴女も出来ればリナに優しくしてやってくれないですか?」

「私情を挟める立場では無いから確約はできないけど、そうね……。私が昔から追いかけてる事件には関係してそうだから、利害関係で良ければいいわ。」

「…それでもいいですよ。それを露骨にアイツにぶつけなければ」

「どうかしらね?さっきも言った通り立場的にはそうせざるを得ないかもしれないから、確約は出来ないわ」

「なんにせよ、アイツを傷付けることはやめてやってくれ。」

「えぇ…。それは約束しましょう。会社を敵に回してまでも一人の友人を守ろうとしたあなたの頼みだからね。」

そんな言葉を交わし、カレンに見せていたスマホを手に取りアキトは部屋から出る。

そのアキトをしっかり見送り、扉がパタンとしまったのを確認したあと彼女はノートパソコンを取り出す。そして、カタカタと文字を打ち込んでいく。

打ち込んだ文字は『天使の行進 惨状

この事件がもう6年も前の話…。天使達とその所有者はある時忽然と姿を消した。それと同時にある会社も世間から消えた。絶対この二つは関係があるのに、調べようとしても検索にはヒットしない。いや、正確には私の求める”答え”は見当たらない。

何故天使達は非道な行為を繰り返したのか?何故その所有者はその行動に対し何も言わなかったのか?そんな惨状を他の会社はどう捉えていたのか?対策はしていたのか?そもそも彼女たちの戦姫としてのデータが消えてるのは何故か?浮かび上がる疑問に対し、それに対する答えは一つもない。確実に情報が闇に葬り去られている。私の知らないところで何かが動いている。それも、6年も前から今に至るまでずっと……。私は知りたい、天使創造計画とは何か?その全貌を………。


『天使の行進による戦姫プレイヤーの減少とその現状』

xxxx年○月✕日。またしても、戦姫大戦にて天使と言われる戦姫による蹂躙が行われた。被害にあった戦姫プレイヤーは、「同じ人のやることでは無い」と話し、精神面がボロボロになった自身の戦姫を大切に抱き抱えその場を後にした。また、別の戦姫プレイヤーは「こんな化け物に蹂躙され、そのうえ非道な行為を受けたので戦姫大戦からは退いて、ただただ自身の戦姫を大切にしていきます。」という声も上がっています。

今回残虐な行為をした戦姫※※※は戦姫大戦のプレイ権限を剥奪され、システム検査に掛けられるとの事です。これが”本当”の話であるならば………。

他の天使の名を受ける戦姫達も同様の処罰を与えるとの事ですが、彼女達に対してなにか対策があるのか疑問の声も出ています。

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