死んで楽になりたかった?
──はぁ。楽になれるなんてそんなわけないじゃん。
現にあんた、何度も死に繰り返してるよね? 飛び降りてもぜんぜん逝けなくて戸惑ってるんでしょ?
イヒヒっ、当然だよね。
すでにあんたは“死んでる”んだからさ──
嘘じゃないよ。
あんたが死んで数年経ってるし、葬儀だってとっくに終えてるし。
どこの国だって命を粗末にした者には厳しいからね。
──ねぇ、自殺者の罰ってなんだか知ってる?
それは……
まぁ正確には冥界だけどね。あの世っていった方がわかりやすいかな?
──冥界に逝けないということは、うつし世で永遠に死に繰り返すということ。
しかもあんたは死んでるし誰にも気付いてもらえない。
──さてと俺はそろそろ行くね。
ん、何? 魂を狩らないのかって?
狩るわけねーだろ。
俺が狩るのは“生への執着心を持った者”の魂だけ。
最初から死にたがりの魂なんて狩る価値すらねーよ。
──俺以外にも死神はいるからさ、そいつに訴えれば連れてもらえるんじゃない?
それがいつになるのかはわからないけど。
死神は自殺者の魂を残しその場を立ち去った。
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