辺りに鉄のような、血の匂いが立ち込めている。
木々の生い茂る森の空気は、その匂いに侵され、重たく感じる。
柔らかな土の地面に横たわっていたのは、
ナチス・ドイツであった。
突然の事だった。
ソビエトさえ、予測出来なかった。
激しい戦闘の中で、突如にしてナチスは倒れ込んだのだ。
ソビエトがダメージを与えた瞬間では無く、ソビエトの攻撃を交わした後ナチスが次の攻撃に移ろうとした、そんな戦闘の一幕。
脱力し、倒れ込んだまま動かないナチスからは血が流れていた。
思えば戦闘の最中もずっと、紅黒い鮮血は舞っていたように感じる。
失血か。
ソビエトが初めに思い付いたのは、失血によって倒れたというもの。
しかし、不可解な点があった。
「その程度だったか、ナチス?」
大量の出血。それは、人間にとっては命取りだ。
ただ、国の化身であるナチスが倒れるには、まだ足らない量だと思える。
ソビエトの記憶の中のナチスはもっと頑丈だった。何かがおかしい、そんな違和感を感じ取った。
罠か、また考えられるのは、無理矢理に現世へ返り咲いた旧国の身体に、何らかの損傷があったのか…
細めていたソビエトの瞼が、突如すっと開かれる。
ソビエトの瞳は、自身の手を眺めていた。
「ああ、そういう事。……」
そう呟いたソビエトは、ナチスと等しく、地面に倒れ込むのだった。
コメント
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え、どうなったんでしょう、!?

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どうゆう事(" _+")