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2 - フロリド 1

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2023年03月17日

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君の全部を教えてよ。

フロリド   イチゴ飴

「どうして君はそんなに聞き分けがないんだい!?」

何でもない日のパーティ中、そんな怒号が庭に飛んだ。ケイトとトレイは顔を見合せ、声の主にバレないよう耳を澄ませる。

「うるさいなぁ、そんなに怒んないでよ」

「うるさいとはなんだ!僕は何時も言っているだろう?!」

「だぁから、間違ったんだって」

「これで何度目だい?!もう看過できないね!!」

どうやら、フロイドが誤って薔薇を青く塗ってしまったらしい。オクタヴィネルの寮生には多い事だ。出身が海だからか、力むと色を青くしてしまうようだ。怒鳴られているフロイドはバツの悪そうに頭を搔いている。

「今日はちょっと調子悪くて、…ってか、そんなことどうでも良くない?」

流石フロイド。物の見事にリドルの地雷を踏み抜いた。リドルが目に見えて怒りを顕にしていくのに、ケイトがすかさず仲介に入る。

「んま、まぁまぁっ!!お説教はこれくらいにして!折角の何でもない日のパーティだよ?楽しまなくちゃ!」

「そんなこと?っそんなことだと?!巫山戯ているのか?!」

「別に巫山戯てなんて…」

「いいや!!巫山戯ているね!僕の尊厳を踏み躙って!!」

「っ、そんなことしてないでしょっ…!」

「ハートの女王の法律を守れないならっ…僕の前に現れるな…!!」

「ちょっと…!!リドルくん…!!」

「なんだ?ケイトまで僕に逆らうのか?!」

怒りの矛先がケイトに向き出した時、フロイドが呟いた。

「もういい」

「…なに?」

「もういいって。もう俺、金魚ちゃんとこ来ないから。じゃあね」

「ちょっ…フロイドくん?!ね、ねぇリドルくんっ!!追い掛けなくていいの!?」

そう言って振り返り、ケイトは愕然とした。リドルはこれ以上ないって位に顔を青くし、わなわなと震えていたのだった。

「…え?」

呆気に取られたケイトの肩を、トレイが叩いていく。リドルの代わりに寮長達とパーティをしていて欲しいという。はっと我に返り、慌てて寮長の元へ走るケイトを横目に、トレイはリドルを胸に収めた。

「…リドル」

寮に帰ろうか。可哀想な程に震える身体を、トレイは優しく抱き上げた。


「おや、フロイド。早かったですね。」

「ん~」

寮に帰ると、双子の片割れ、ジェイドが迎えてくれた。当然だ、今日は2人ともモストロが非番だからだ。それもこれも、フロイドが我儘を言ったからなのだが(ジェイドは便乗形)。ジェイドは山にキノコ狩り、フロイドは何でもない日のパーティにどうしても行きたいと、2人してアズールに無理を言ったのだ。

「パーティはもう終わられたのですか?」

「んー」

生半可な答えを返す片割れに、ジェイドは違和感を抱いた。普段だったらもっと機嫌がいいはずなのに。先月は上機嫌にパーティでの出来事を語ってくれたし、その前だって。

「……リドルさんと喧嘩でもしましたか?」

「ん~…って、は?なんで?」

「おや、当たりのようですね」

そう言ってジェイドが笑うと、フロイドは豆鉄砲を食らった鳩の表情をしていた。

「なんでそう思うの?」

「だってフロイド、楽しそうじゃないんですもん」

「いや、そういう気分かもしんないじゃん」

「はい?貴方、今までリドルさんの所にいて不機嫌だったことなんてありますか?」

意味がわからない、というように訪ね返してくる片割れに、フロイドは思わず笑っていた。

「やっぱジェイドには適わねぇやぁ」

「ふふ、それは光栄です。それで、何かあったのですか?」

「ん~ん、喧嘩って程じゃない。俺が金魚ちゃんに怒られちゃっただけ」

「…嗚呼、薔薇ですか?」

「そー。どーしても力んじゃって…青くなっちゃうの」

「沢山練習したんですけどね…」

「金魚ちゃんね、もう来んなって言ったの」

訂正:“ハートの女王の法律を守れないなら”

「だからさぁ、俺もカチンときて言い返しちゃった。もう来ねぇからーって」

フロイドは長い足をふらふらさせ、伏せ目で続ける。こんなにもフロイドが落ち着いた話し方をしたことは、過去にあっただろうか。いや、ない。ジェイドは知っていた。フロイドが、リドルに恋愛的な好意を抱いていることを。それ故に、今日の出来事がどれほどショックだったかが分かる。

「ショックだったんですね」

「そんなんじゃな……ううん、結構、グサッときた」

俺、もう金魚ちゃんと遊べねぇのかな。

平静を取り繕った、それでも震えた声に、ジェイドはどうしようもなく片割れが愛しくなった。後ろからぎゅうと抱き締めて、そっと発言する。

「大丈夫ですよ。リドルさんだって、本心から言ったんじゃないと思いますよ、きっと。もう遊べないだなんて、そんなこと絶対に、ありませんから。…ちゃんと、謝りに行きましょうね」

「……ウン」

そのまま暫く、温もりを共有しあっていた。


「………何をしているんだ、お前らは」

「アズール、お帰りなさい(おかえりぃ)」

「談話室のど真ん中で…絵面、かなりやばいぞ」

「いつもの語彙はどうしたんですか」

モストロから帰還したアズールを双子が迎える。2人して休むだなんて、大変だったんですよ、と愚痴るアズールは、心底疲れきった顔をしていた。

「何かあったのですか?」

「あぁ、特に何もありませんよ。寮長会議が長引いただけです」

「へぇ、珍しいじゃん」

「はい…今日のは少しばかり意外でしたね」

「?何だったの?」

「リドルさんが体調不良で…学校を暫くおやすみするそうなんです」

「…は?」



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