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7月1日正午、スターライトフェスが幕を開けた。ミィコはいつものように配信アプリを起動し、エントリーリストをスクロールする。画面には参加ライバーの名前が並ぶ――はずだった。
だが、彼女の目に映ったのは、開始直後から次々と姿を消していく名前の数々。
ごく自然に、当たり前のように、音もなく。
「……あれ?なんで減ってるの……?」
胸の奥に、ざらりとした違和感が広がる。喉の奥がひりつき、呼吸が浅くなる。
そこへファミリーからのDMが次々と届く。
《何かおかしい》
《裏で動いてる人がいる気がする》
《少し調べてみる》
文字の一つひとつが、不安を確信へと変えていく。
ミィコはスマホの画面を見つめたまま、小さく呟いた。
「私はただ……また歌いたかっただけなのに——」
でも、もしこれが偶然でないのなら。
誰かがこのフェスを、夢を、最初から歪めようとしているのなら——
過去の傷が疼く。中傷、通報、罵声の嵐。すべてが蘇る。
ただ歌いたい、それすら許されなかった、あの地獄のような日々。
ミィコは無意識にスマホを強く握る。
手が白くなるほど、画面を通して伝わる静かな光だけが、部屋の中で揺れていた。
ファミリーからの励ましが、また一通届いた。
《ミィコなら大丈夫だよ》
《一緒に戦おう》
その言葉に、ほんの少しだけ心がほどけた。
でも疑念は消えない。ざわめきは止まらない。
「……誰かが、私の夢を壊そうとしてる?」
その問いはやがて、静かな炎へと変わっていく。
ミィコはゆっくりと立ち上がった。
その背中に、誰にも折れない意思が宿っていた。
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