テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
あの日から。
ちぐさくんの前に現れる白い花は、少しずつ変化していた。
最初はただ綺麗なだけだった。
でも今は違う。
見るたびに、自分の隠していた気持ちを映しているような気がした。
「……また出た」
夜の帰り道。
街灯の下に、白い花が一輪咲いている。
ちぐさくんはゆっくり近づいた。
「君は、何なの?」
問いかけても答えはない。
ただ、花びらが風に揺れる。
その瞬間。
頭の中に、知らない声が響いた。
『笑顔の裏に隠したものは、消えない』
「……」
胸が苦しくなる。
「俺は……隠してるつもりなんて」
そう言いかけて、言葉が止まった。
本当は分かっていた。
寂しかったこと。
怖かったこと。
誰かに気づいてほしかったこと。
⸻
「ちぐ」
翌日。
まぜ太が声をかける。
「なに?」
「昨日、また一人でいた?」
「え?」
「顔に出てる」
「そんなに?」
「うん」
まぜ太は真っ直ぐ見る。
「ちぐ、嘘つくの下手になった」
「えー?」
ちぐさくんは笑う。
でも。
今度は前みたいな完璧な笑顔じゃなかった。
⸻
「ちぐちゃん!」
あっきぃが近づいてくる。
「今日さ、終わったらみんなでご飯行かない?」
「いいね!」
「じゃあ決まり!」
そのやり取りを見て、ぷりっつが笑う。
「やっぱみんなでいる方がええやろ」
「ぷーのすけ、珍しくいいこと言うじゃん」
「珍しくは余計やろ」
そんな会話に、ちぐさくんも笑った。
⸻
でも。
夜になると、また花は現れた。
「……」
今回は違った。
白い花の隣に、小さな黒い花が咲いていた。
「黒……?」
触れようとすると。
『これは隠した痛み』
声が響く。
#学パロ
azunatubaki
265
#あんぷたっく
うみねこ٩( ᐛ )و
131
#あっきいまぜ太ぷりっつちぐさあっとけちゃ
愛莉闇花
19
「痛み……」
『見ないふりをした気持ち』
その言葉に、胸が締めつけられる。
「俺は……」
言葉が震える。
「俺は、弱いところなんて見せたくなかった」
誰もいない場所で、本音がこぼれる。
「みんなに必要とされたい」
「嫌われたくない」
「置いていかれたくない」
その瞬間。
後ろから声がした。
「ちぐ」
「……あっとくん?」
振り返ると、あっとが立っていた。
「聞いちゃった」
「……」
「ごめん」
「違う!」
ちぐさくんは慌てる。
「違うんだ、俺……」
「分かってる」
あっとは静かに言う。
「ちぐが頑張ってること」
「……」
「でもさ」
少しだけ笑う。
「俺ら、ちぐに完璧でいてほしいなんて思ってない」
⸻
その後。
気づけば、みんな集まっていた。
「え、みんな?」
あっきぃが笑う。
「探しに来た!」
まぜ太も頷く。
「一人で悩むと思ったから」
ぷりっつが言う。
「ほんま分かりやすいねん」
「ぷりちゃん……」
けちゃも優しく笑った。
「僕たち、ちぐが笑ってるところだけじゃなくて」
「泣きそうな顔も知りたいよ」
ちぐさくんは黙る。
そして。
小さく笑った。
「……みんな、ずるい」
「え?」
「そんなこと言われたら、隠せないじゃん」
⸻
その夜。
白い花と黒い花は、いつの間にか一つになっていた。
綺麗な色の花。
完璧じゃない。
でも。
それでも咲いていた。
ちぐさくんは思う。
隠したものが消えるんじゃない。
受け止めてもらうことで、形が変わるんだ。
コメント
3件
ぇうん、今回も最高だね、! まぜちぐのシーンが好きです…
うわぁ……第4話、すごくよかったです…! 白い花が黒い花を伴って現れて、ちぐさくんの心の奥の「隠した気持ち」が可視化されていく感じが切なかったです。みんなが探しに来てくれて「泣きそうな顔も知りたい」って言ってくれたシーン、じんわりきました。隠さなくていいって思える場所があるって、本当に大事ですよね…。最後の花たちが一つになってる描写、綺麗だなって思いました。