テラーノベル
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春。
公国の都は祝祭に包まれていた。
街路には花が飾られ、子どもたちが走り回り、 人々の笑い声が広場に満ちている。
数年前、戦火と陰謀に揺れた国とは思えないほど穏やかだった。
城の高台からその景色を見下ろし、 ダイスケは静かに息を吐く。
🩷…すごい人
隣でレンが外套を整える。
🖤お前が緊張してどうする
🩷だって見られてるし…
🖤今さらだろ
相変わらずぶっきらぼうな声。
でも、レンの手は自然にダイスケの手を取っていた。
誰にも見えない位置で、そっと。
🩷…こういうとこ、ずるい
🖤何が
🩷緊張してても落ち着く
レンは少しだけ笑った。
式典の開会の儀が始まる。
大公のレンと、隣にはダイスケ。
昔の自分なら、逃げ出していたかもしれない。
人前に出ることも声を出すことも、誰かの隣に立つことも怖かった。
けれど今は違う。
この人の隣なら、立てる。
大広場へ続く扉が開く。
歓声が響いた。
レンが一歩前へ出る。
その背中は昔より大きい。
強さだけじゃない。
守る者の背中だった。
レンが振り返る。
🖤来い
短い一言。
でも十分だった。
ダイスケは頷き、その手を取って並ぶ。
広場に歓声が広がる。
花びらが舞う。
眩しい光の中、二人は民衆の前へ進んだ。
レンが高らかに宣言する。
🖤この国を守る
🖤争いではなく、人の意思で
静まり返る広場。
そして、レンはダイスケを見る。
🖤続けろ
少し驚く。
🩷え、俺?
🖤もちろん
民衆の視線が集まる。
昔なら震えていた。
でも、ダイスケは前を見る。
胸を張る。
🩷…この国に、優しい歌が絶えないように
🩷俺も、隣で支えます
一瞬の静寂。
次の瞬間、大きな拍手が広場を包んだ。
歓声。
祝福。
涙ぐむ人々。
ダイスケは驚いてレンを見る。
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レンは少し得意げだった。
🖤言えるようになったな
🩷誰のせいだと思ってるの
🖤俺のおかげだな
🩷違うし
二人で笑う。
式典の後。
城のバルコニー。
夕陽が街を染めていた。
人々の賑わいが遠く聞こえる。
ダイスケがぽつりと呟く。
🩷俺、昔は世界が怖かった
レンは黙って聞く。
🩷でも今は…少し好き
レンが肩を抱く。
🖤少し?
🩷かなり好き
🖤だろ
ダイスケは笑った。
そして、空を見る。
歌わなくても分かる。
世界はもう、誰かに作り変えてもらうものじゃない。
二人で、生きながら作っていくものだ。
世界を救った奇跡より。
その後、誰かと生きていく日々の方が、
ずっと尊かった。
End.
コメント
4件
むるさん お疲れ様(*・ω・)*_ _)ペコリ 壮大な物語もついに完結!! やっぱり2人には隣で笑っていて欲しいね(* ˘꒳˘)⁾⁾ウンウン 2人で作る未来に幸多からんことを と、民衆に混じって拍手を送るなりよ~ (*’ω’ノノ゙☆パチパチ どんな設定でもお互いを想うめめさくは最高だ!! 素敵な作品を送り出してくれてありがとう( 〃▽〃)💕
完結お疲れ様でした! 設定も凝っていてとても好きなお話だったので終わってしまって少し寂しいですが、めめさくの2人が幸せになって良かったです😌 大公子という立場のせいか、より堅物そうなめめがさっくんを愛して守る姿がすごく好きでした💕もし番外編を書かれる予定があれば、めでたしめでたしの後の2人の日常が垣間見れたら嬉しいです🤗