『もし、生まれ変われたなら────。』
それが零さんが残した最期の言葉だった。
「赤音さんが死んで、もう4年……..か。」
ココがふと、そんなことを言い出した。そういえば今日は赤音が死んで4年と2ヶ月、そしてココの姉貴の零さんが死んで丁度4年目だった。
「ココ、まだンなこと言ってんの?」
「ンなこととか言うなよ。イヌピーこそ、未だに姉さんのこと根に持ってるくせに。」
「うっせ。もう立ち直ったわ。」
零さんは赤音の友達だった。よく家に遊びに来たし、昼夜問わず赤音を連れ出すからすっげーウザい奴だなってずっと思ってた。
でも零さんは赤音のこと大事にしてたし、財力だけは一丁前だったから沢山楽しいとこ連れてってくれた。それだけじゃない。喧嘩もめっちゃ強いし、頭も良かった。俺のこともガキ扱いしなかったから、ほんの少しだけ好きだった。ほんの少しだけ尊敬してた。
赤音が死んでから、零さんは変わった。
一言もしゃべらない。少しも笑わない。何も食べない。ピクリとも動かない。ずっとベッドで寝たきりだった。赤音を誰よりも何よりも好きだったココですら2週間程度で陽の光を浴びれるようになったというのに。
そして2ヶ月後に、零さんは息を引き取った。たまたま見舞いに来てた俺の腕の中で。
「もし、生まれ変われたなら、私は彼女に好きだと伝えようと思うよ。命ある限り、ずっとね。」
𝙴𝙽𝙳
補足】
零は赤音が好きで赤音も零が好き。
▶︎昼夜問わず零に連れ出されても拒まないから
いぬぴは零に抱いた気持ちを恋だと自覚することのないまま、立ち直ったつもりでいる。
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