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#山中柔太朗
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あの夏から、何年も経った。
一度は離れてしまった俺たちは、今度こそ同じ道を歩くことを選んだ。
……なんて、きれいな言葉でまとめてみたけれど。
実際のところ。
💛「……なあ、勇斗」
🩷「ん?」
💛「いつまで手、つないでるの?」
🩷「え、だめ?」
💛「だめとは言ってないけど……ここ、駅」
帰り際、待ち合わせで合流して、ずっと勇斗は手を握り続けている。
🩷「うん。駅だね」
💛「人いるじゃん」
🩷「いるね」
💛「……っ、もういい!」
そう言いながらも、仁人は手を離さなかった。
勇斗はそんな仁人の横顔を見て、こっそり笑う。
昔は、手をつなぐことすらできなかった。
触れたら気持ちがバレる気がして。
好きだと言ったら、今の関係が壊れる気がして。
それなのに今は。
🩷「仁人、手あったかいね」
💛「うるさい!」
🩷「かわいい」
💛「…は!?外で言わないで!!」
🩷「じゃあ、二人きりのときならいい?」
💛「そういう問題じゃない!!」
🩷「まぁまぁ、今からみんなと会うんじゃん?」
仁人はあれからツンデレのような新たな面が見えてきた気がする。
💛「なに…、」
🩷「何も、」
――こんな調子である。
二人は、勇斗の昔からの友人たちと会うことになった。
待ち合わせ場所に着くと、柔太朗、太智、舜太の三人がすでに集まっていた。
🤍「お、来た来た」
💙「仁ちゃん久しぶりやな。 ……って、あれ?」
❤️「え、ちょっと待って」
三人の視線が、二人の手元に集まった。
正確には、仁人が勇斗のコートの袖をつかんでいる、その手元に。
💛「……なに?」
❤️「いやいやいやいや!」
🤍「もしかして、そういうこと?」
💙「え、付き合ってる?」
仁人が固まった。
勇斗はというと。
🩷「うん」
あまりにもあっさり答えた。
繋いだ手を顔の前で掲げる。
💛「ちょっ……!」
❤️「うわああああ!! マジか!!」
🤍「長かったなぁ〜」
💙「いや、うんじゃないやん! いつから!?」
🩷「最近」
💛「最近っていうか……その……」
❤️「仁人、顔真っ赤やん!!」
説明しようとしても、舜太と太智がうるさくて居酒屋の視線が集まって顔がまた赤くなる。
💛「うるさい!!」
❤️「勇斗が!? あの勇斗が!? ついに!?」
🩷「どういう意味?」
🤍「いや、だって勇斗って、昔から誰に告白されても曖昧にかわしてたじゃん」
💙「好きな人も絶対教えてくれなかったしな」
❤️「俺、一回聞いたら『秘密』って言われたんだけど!?」
🩷「ああ、言ったかも」
❤️「その秘密が仁ちゃんだったってこと!?」
勇斗は少しだけ考えてから、仁人を見た。
🩷「……まあ、そういうこと」
💛「っ……!」
だめだ。
この人、昔からそうだ。
肝心なところでは何も言わなかったくせに。
今になって、こんなところで。
平然と。
🤍「仁人、よかったね」
💛「……うん」
🤍「勇斗、昔から仁人のことだけ、ちょっと違ったもんね」
💛「え?」
🩷「……柔太朗」
🤍「なに?」
🩷「…それ以上はいいかな」
🤍「はいはい」
❤️「え、なにそれ!? もっと聞きたいんやけど!!」
💙「てか、二人とも何年越しだよ。遠回りしすぎだろ」
その言葉に、仁人は思わず笑ってしまった。
本当に、その通りだった。
もっと早く言えていたら。
もっと素直になれていたら。
そんなことを考えた夜も、何度もあった。
でも。
💛「……うん。ほんと、遠回りした」
勇斗が隣で、そっと仁人の手を握った。
🩷「でも、今は隣にいるから」
🩷「今回収中」
その一言で、仁人は何も言えなくなった。
❤️「はいはいはいはい!!」
舜太が手を遮る。
💙「お前ら、そういうの人前でやるなって!」
🤍「……いや、今のはちょっとよかった」
💛「柔太朗まで何言ってんの!?」
全員が笑った。
昔と同じように。
けれど、ひとつだけ違うことがある。
今度は、隣にいる理由を隠さなくていい。
帰り道。
みんなと別れたあと、仁人はまだ少しだけ頬を赤くしていた。
💛「……あいつら、絶対あとでいじってくる」
🩷「だろうね」
💛「勇斗のせいだからな」
🩷「俺?」
💛「なんであんな普通に言うんだよ……」
🩷「だって、付き合ってるし」
💛「っ……!」
勇斗が足を止めた。
🩷「……仁人」
💛「な、なに」
🩷「俺、ずっとこういうふうに言いたかったんだよ」
💛「……え?」
🩷「仁人は俺の恋人だって。ちゃんと、みんなに言いたかった」
仁人は目を伏せた。
昔は、誰にも言えなかった。
好きだという気持ちも。
離れたくないという願いも。
言ったら相手を困らせると思っていた。
でも、勇斗は今、まっすぐに言ってくれる。
🩷「……嫌だった?」
💛「……嫌なわけ、ないじゃん」
小さな声で答える。
💛「……俺だって、言いたかった」
勇斗が目を見開いた。
そして、ゆっくり笑った。
🩷「そっか」
💛「……うん」
🩷「じゃあ、これからはいっぱい言うね」
💛「何を」
🩷「仁人が好きって」
💛「……っ、ばか!」
仁人は勇斗の腕を軽く叩いた。
それでも、つないだ手は離さなかった。
🩷「仁人」
💛「……なに」
🩷「好きだよ」
💛「……知ってる」
🩷「仁人は?」
💛「…………」
🩷「ねえ」
💛「……好きだよ」
🩷「うん」
💛「……ずっと、好きだよ」
その言葉を聞いた瞬間、勇斗は仁人の手をぎゅっと握った。
🩷 「……俺も」
今度は、どちらも目をそらさなかった。
あの夏に言えなかった言葉を。
今は何度だって、伝えられる。
___その夜。
❤️《てか、二人っていつから付き合ってんの?》
💙《それ俺も気になる》
🤍《たぶん、俺たちが思ってるよりずっと前から》
💛《もうその話やめろ!!!》
🩷《俺はもっと話したいけど》
💛《勇斗!!!!》
❤️《はい、ごちそうさまでしたーーー!!》
❤️《てか今度みんなで行く旅行の話しようや!》
スマホを伏せた仁人は、隣で笑っている勇斗を睨んだ。
💛「……お前、ほんと性格悪い」
🩷「仁人にだけだよ」
💛「それ、全然うれしくない」
🩷「ほんと?」
💛「……ほんと」
💛「キスしたら許してあげる」
🩷「甘々仁人だ、」
そう言って、仁人は勇斗の肩に頭を預けた。
ほんの少しだけ。
勇斗は何も言わず、その頭に自分の頬を寄せた。
もう、離れなくていい。
そう思える夜だった。
コメント
7件
はじめまして 「再会」からこちらにきました 「再会」で号泣して、このお話を一気読みして大号泣しすぎてもはや目が開きません… 激しいトーンの文章じゃないのに、すごく感情を揺さぶられて、情景が浮かんで、映画でも見てるようでした… とても素敵でした! 「再会」の続きも楽しみにしてます!
番外編ネ申

早速の番外編、ありがとうございます!! こんなに早く読めるなんて本当に嬉しいです!! 他の方もおっしゃっていますが、本編の2人を知っているからこそ、大人になった2人がココロにしみます…。 大人になって堂々としている余裕のある勇斗が、カッコよすぎます!!