テラーノベル
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仁人side💛
ドアが、静かに閉まる。
柔太朗が出ていって、残ったのは勇斗と自分だけ。
さっきの会話、全部、聞かれてた。
依存してることも、怖いって思ってることも…
頭の中が真っ白になる。
仁「……なんで、いんだよ」
かすれた声が落ちる。
視線が上げられない。
仁「聞いてたんだろ」
返事はない。
でも分かる。
すぐ近くにいる。
逃げたいのに、足が動かない。
仁「最っ悪」
吐き捨てた瞬間、身体がぐらっと揺れた。
踏ん張れない。
そのまま崩れ落ちて、床に手をつく。
仁「……っ」
座り込んだまま、視界が滲む。
涙が、勝手に落ちていく。
仁「見んなよ……」
絞り出すような声。
情けなくて、苦しくて、どうしようもなくて…
すると次の瞬間、ぐっと強く引き寄せられた。
仁「……っ!?」
気づけば、勇斗の腕の中。
逃げ場なんて、どこにもない。
勇「……ごめん」
低くて、近い声。
仁「……は?」
思ってもみなかった言葉に、思わず顔を上げる。
仁「なんで、お前が謝んだよ」
震える声。
勇「……気づけなかった」
小さく息を吐く気配。
勇「仁人がそんなこと考えてるって、全然分かってなかった」
腕の力が少しだけ強くなる。
勇「勝手にイラついて、勝手に怒って」
苦く吐き出すように。
勇「……ごめん」
仁「……っ」
言葉が出ない。
責められると思ってた。
引かれると思ってた。
なのに、違う。
それが、余計に苦しい。
しばらくして、腕の力がゆっくり緩む。
抱きしめていた腕が離れて、顔を覗き込まれる。
近い距離。
勇「あぁ…もう…」
少し困ったように笑う声。
勇「そんな泣いてさ」
指先が頬に触れる。
伝った涙を、丁寧に拭われる。
勇「せっかくの可愛い顔、台無しじゃん」
軽い言い方なのに、触れ方はやけに優しい。
ハンカチで目元をそっと押さえられる 。
逃げられない距離で、見つめられている。
仁「なんっでっ…」
声がかすれる。
仁「なんでそんな優しくすんだよ……」
視線が揺れる。
仁「さっきの、聞いてたんだろ……」
怖い。
仁「引かねぇのかよ……」
勇「引くわけねぇだろ」
即答だった。
その一言で、もう止められない。
仁「無理…なんだよ」
ぽつりと落ちる。
仁「俺、思ってたより……勇斗に依存してて」
息が浅くなる。
仁「いないと、おかしくなるし…」
仁「近くにいるだけで、欲しくなるし…」
視線が揺れる。
仁「逆に、匂いがないだけで、不安になって……」
言葉が溢れていく。
仁「このままいったら、俺……どんどん欲深くなる」
手を強く握る。
仁「もっと欲しくなって、もっと近くにってなって……」
仁「絶対、止まんなくなる」
苦しくて、笑う。
仁「それでさ……」
声が落ちる。
仁「ヒートのときとか……」
息が詰まる。
仁「欲まみれの自分、全部見せることになる……」
一瞬、言葉を飲み込む。
でも、逃げられない。
仁「……汚いだろ、そんなの」
小さく、でもはっきりと。
喉が震える。
仁「見せたくない」
仁「それでも欲しくなる自分も嫌だし、止められないのも嫌だし」
仁「……嫌われたくない」
ぽろっと涙が落ちる。
そのあと、勇斗はしばらく何も言わない。
沈黙。
その時間が、やけに長く感じる。
ああ、やっぱり、そうだよな。
こんなの聞いて、平気なわけない。
気持ち悪いって思われても仕方ない。
仁「やっぱ…無理っ…だよなっ」
自嘲みたいに、笑う。
仁「今の、全部…引いたろ」
視線を落とす。
胸が、じわじわ冷えていく。
その瞬間、肩に置かれていた手に、少しだけ力がこもる。
勇「汚いなんて思わねぇよ」
低く、でもはっきりとした声。
仁「……は」
顔が上がる。
勇「全部、愛おしいよ」
真っ直ぐだった。
逃げ場なんてないくらい、優しい。
勇「どんな顔でも、どんな状態でも、それも全部、仁人だろ」
勇「嫌いになる理由になんねぇよ」
仁「……っ」
息が詰まる。
勇「むしろ」
少しだけ苦笑して、
勇「そんな状態でも、俺のこと求めてくれるなら……嬉しいけど」
少し照れたみたいに。
仁「……っ、ばか」
涙のまま、笑う。
張り詰めていたものが、一気にほどけていく。
仁「でも……」
声が弱くなる。
仁「そしたら、戻れなくなるじゃん」
勇「何が」
仁「勇斗から…」
顔を上げると、勇斗と目が合う。
震える声で言葉を紡ぐ。
仁「……離れらんなくなる」
少しの沈黙。
そのあと、勇斗が少しだけ笑う。
勇「いや…今さらじゃね?」
仁「……っ」
否定できない。
勇「俺は仁人から離れたくないけど?」
そのまっすぐさに、息が詰まる。
でも、不思議と怖くなかった。
仁「……選びたい」
小さく、でも確かに。
仁「ちゃんと、自分で…勇斗のこと」
息を整える。
仁「好き…なんだ」
はっきりと。
仁「恋人になりたいって、思ってる」
少し間を置いて。
仁「でも……番とかはもう少し考えさせてほしい」
正直に言う。
勇斗はゆっくり息を吐いた。
勇「それでいい」
静かに受け止める。
勇「選んで」
優しく。
勇「俺はもう、とっくに仁人のこと選んでるから」
そのまま、額が触れる。
近い距離。
でも、さっきまでとは違う。
無理やりじゃない。
ちゃんと繋がっている距離。
もう、一人で抱えなくていい。
そう思えた瞬間、小さく頷くことができた。
それだけで、空気が一気に変わる。
さっきまで張り詰めていたものが、嘘みたいに緩んでいく。
ほんの一瞬の沈黙。
そのあと、
勇「はぁぁぁぁぁぁ」
大きく息を吐く音。
まるで、今までずっと息止めていたみたいな。
仁「……?」
思わず、勇斗を見る。
勇「マジで終わったかと思ったぁ……」
ぽつりと落ちたその一言に、少しだけ目を見開く。
仁「……は?」
間の抜けた声が出る。
勇「いやほんとに」
顔を上げた勇斗が、そのまま一気にまくし立てる。
勇「お前にあんなこと言われるし、避けられるし、あのαのじじいと距離近いし」
勇「マジで殴りに行くとこだったし」
仁「いやっ……は?」
思考が追いつかない。
勇「これ全部、俺の勘違いだったらどうしよとか」
勇「好きって言ってくれたのも、雰囲気だっただけで、冷静になったら違ったとか」
止まらない言葉に、開いた口が塞がらない。
勇「俺…なんかしたかな…とか…」
勇「考えれば考えるほど、なんか腹立ってくるし、でも理由分かんねぇしで」
勇「ほんと……しんどかった」
最後だけ、少しだけ落ちる声。
その瞬間、胸が、じわっと痛む。
仁「……っ」
こんな風に思わせてたのか…
仁「……ごめん」
小さく言って、でもそのまま、ふっと笑ってしまう。
自分でも分かるくらい、力が抜けている。
勇斗が、どうしようもなく愛おしい。
勇「は?」
仁「いやっ……」
少しだけ肩をすくめる。
仁「そんなに考えてたんだなって……」
さっきまでの苦しさが、少し遠くなる。
勇斗は一瞬きょとんとして、そのあと、すぐに表情が変わる。
さっきまでとは違う、真っ直ぐな表情。
勇「いや、ほんと、笑い事じゃないから」
低くて、ちゃんと届く声。
仁「……っ」
その温度に、息が詰まる。
軽く流していい話じゃないって、ちゃんと分かる。
仁「ほんと……ごめん」
今度はちゃんと、目を逸らさずにしっかり伝える。
そのあと、勇斗がふっと力を抜いたみたいに、表情を緩める。
勇「いやいや、嘘だよ」
少し笑って。
勇「仁人が俺のこと好きなら、もう全部チャラ」
あっさり言う。
でも、それが本気なのが分かる。
勇「俺もさ、色々反省するところあるし」
素直すぎるその言葉に、少し戸惑う。
でも同時に、胸の奥がじんわり温かくなる。
仁「お前さ、とことん、良い奴よな」
ぽつりと、本音がこぼれる。
勇「は?」
仁「優しいし」
少しだけ気恥ずかしくなって、視線を逸らす。
仁「俺、同じくらい優しくできるか分かんない」
不安が混ざる。
でも、さっきみたいに飲み込まずに出せた。
勇斗も、少しだけ照れたみたいに視線を逸らす。
勇「別に、優しいとかじゃねぇけど」
頭をかきながら、
勇「仁人がそう思ってくれてんなら、嬉しいわ」
また、こっちを見る。
勇「お前がさ」
少しだけ、声が柔らかくなる。
勇「喜んだり、笑ったり……そういうの増えるなら」
ほんの少し、照れたまま。
勇「それ、俺が嬉しいだけだし」
仁「……っ」
言葉に詰まる。
少しの沈黙。
さっきまでの重さは、もうない。
ただ、静かで、あったかい空気だけが残る。
その中で、勇斗がふっと笑った。
勇斗side🩷
勇「なあ」
少しだけ距離を詰めながら呼ぶ。
仁「ん?」
まだ少し赤い目のまま、こっちを見る。
その顔見ただけで、胸の奥がじんわりあったかくなる。
勇「恋人記念にさ」
軽く笑ってみせる。
勇「今日、おれんち来てよ」
仁「……まあ、いいけど」
あっさりした返事。
でも、ちゃんと断らないところが嬉しくて、
勇「やった」
思わず、素で声が弾む。
自分でも分かるくらい、浮かれている。
少し間を置いてから、
勇「……あとさ」
もう一度、距離を詰める。
勇「キスして?」
真正面から言う。
一瞬で、仁人の顔が真っ赤になる。
耳まで染まって、分かりやすすぎる。
でも、逃げない。
目、逸らしながらも、その場にちゃんといる。
口角が上がるのを必死に抑える。
そして、目を閉じてじっと待つ。
ゆっくりと、仁人の顔が近づいてくるのが分かる。
心臓の音がうるさい。
次の瞬間、ふわっと、触れた。
頬に……柔らかくて、ほんの一瞬だけのキス。
思っていた場所じゃなくて、一瞬思考止まる。
目を開けると、目の前にいる仁人は、もう限界って顔で。
耳まで真っ赤にして、完全に視線逸らしている。
やばっ……
可愛すぎて、変な声出そうになる。
勇「えぇ~」
わざと、少しだけ拗ねた声出す。
勇「口にしてくれないの?」
仁「……っ!」
びくっとして、さらに赤くなる。
その反応が面白くて、でも、それ以上に嬉しくて。
ふっと笑ってしまう。
勇「冗談(笑)」
優しく、トーンを落とす。
勇「嬉しい、ありがと」
さっき触れた場所、まだ熱が残っている気がして。
無意識に、そこに触れそうになるのを止める。
勇「幸せすぎるわぁ、まじで」
小さく息を吐く。
ほんとに、そのままの気持ち。
さっきまでの不安とか、全部どうでもよくなるくらい。
目の前にいる仁人が、ちゃんとこっちに来てくれたことが嬉しくて。
勇「大好きだよ、仁人」
ぽつりと落とす。
その言葉に、仁人の肩が少し揺れる。
仁「…ん」
さっきまであった距離は、もう、どこにもなかった。
終わりに失礼します、ちゃです!
第15話、1000いいね♡ありがとうございます😭🙏✨
嬉しすぎて滅❣️です^ ^
もう最終章ですね…ドキドキ…引き続きよろしくお願いします🙌
コメント
4件

きちんとお互いの気持ちが伝えられて良かった!!安心しました!!笑
今までの話を一気見させて頂いたのですが、あまりに癖すぎるストーリー展開で……もうほんとに大好き過ぎて滅です😭😭😭 続き楽しみにしてます❣️