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勇斗side🩷
頬に残った、あの一瞬の感触。
まだ、熱が引かない。
さっきまでのやり取りが、何度も頭の中で繰り返される。
思わず、口元が緩む。
でも、このままじゃ顔に出すぎている。
そう思い、軽く息を吐いて気持ちを整える。
仁人は、楽屋に戻る前にメイクを直しに行った。
少し名残惜しそうにしてたのも、ちゃんと見ていた。
さっきまで、終わるかもって思っていたのに、今は、離れる気がしないって思えている。
それだけで、胸の奥がじんわり温かい。
そのまま、楽屋のドアを開ける。
一瞬、空気が変わる。
舜太と太智、それから柔太朗。
全員、さりげなくこっちを見る。
……いや、装ってるだけで、めちゃくちゃ気にしている様子なのが分かる。
舜太は分かりやすく落ち着きがなくて、
太智は興味なさそうな顔をしているけど、目だけちゃんとこっちを見ている。
柔太朗はスマホいじっているフリをしながら、ちらっと目線を寄越している。
そのぎこちなさに、少しだけ笑いそうになる。
でも同時に、ちゃんと心配してくれていたのも伝わる。
勇「……ごめん」
短く、先に言う。
勇「心配かけた」
一拍置いてから、
勇「仁人とは、ちゃんと話した」
勇「もう大丈夫」
それだけ、伝える。
余計なことは言わない。
でも、それで十分伝わると思った。
一瞬の沈黙。
そのあと、舜太がふっと、何かが解けたように笑う。
舜「よかったわぁ、ほんま」
肩の力が抜けたかのような声。
舜「そいえば、撮影、順番ちょっと変えてもろてん」
勇「え?」
舜「先に個人からにしてもらったから」
少しだけ、優しく笑って。
舜「はやちゃんもじんちゃんも、まだゆっくりしててええで」
その言葉が、優しさが、胸に沁みる。
勇「ありがとう」
自然と出た感謝。
さっきより、ちゃんとした声で。
太智はふーんって感じで、視線逸らしながら、でも、どこか安心した空気を出している。
柔太朗はスマホから顔上げて、一瞬だけ、こっちを見て、小さく笑った。
何も言わないけど、よかったねって顔をしているように見えた。
その空気が、やけにあったかい。
太智「で、仁人は?」
何気ないトーン。
でも、ちゃんと気にしてるのが分かる。
勇「あー、今メイク直してもらいに行ってる」
さっきの顔を思い出す。
泣いたあと、赤くなっていた目。
でも、そのあと見せた表情も。
自然と、口元が少し緩む。
柔太朗が、その様子見て、ほんの少しだけ目を細める。
優しい顔。
それ見て、なんか全部伝わった気がして。
軽く視線逸らしながら、ソファに、柔太朗の隣に腰を下ろす。
一瞬だけ、柔太朗と視線が合う。
言いたいこと、聞きたいことが、ある。
でも、どう切り出せば良いか、分からない。
勇「あの…さ…」
小さく声を落とす。
でも、言葉が続かない。
少し迷っていると、
柔「よっしーのこと?」
先に向こうから来た。
他の二人に聞こえないくらいのトーン。
勇「……」
一瞬だけ、言葉が止まる。
柔太朗は、こっちを見ないまま続ける。
柔「俺が気づいた」
さらっと。
柔「多分そうだろうなって思って、俺から聞いた」
そこで、少しだけ視線がこっちに向く。
柔「他の二人は、多分まだ知らない」
静かに、でもはっきり。
全部、分かって動いている。
空気も、タイミングも、距離も。
勇「すげぇな」
感心の言葉が、思わず漏れる。
柔太朗は少しだけ笑う。
でも、何も言わない。
勇「ほんと…ありがと」
今度は、ちゃんと柔太朗の方を向いて言う。
勇「今まで、仁人のこと…支えてくれて」
言葉にすると、妙に重みが出る。
でも、それくらいのことしているのは、さっきの2人のやり取りで分かっていた。
柔太朗は一瞬だけ目を細める。
柔「……いや」
小さく首振る。
柔「俺も、助かってたし」
その一言に、一瞬引っかかる。
助かってた?ってどういう意味…
考えようとした瞬間、
「山中くーん、次お願いしまーす」
スタッフの声。
柔「……あ、はい」
立ち上がる。
スマホをポケットに入れて、そのままドアに向かう。
柔「じゃ、行ってくるわ」
軽く手を上げて、そのまま、出ていく。
ドアが閉まる。
さっきの一言が、ずっと引っかかる。
でも、うまく形にならない。
視線、無意識にドアの方追ってたら、ふと、横の舜太が視界に入る。
柔太朗が出ていったドアを、じっと見ている。
その目が、少しだけ心配そうで。
違和感が、もう一つ増える。
でも今は、仁人のことで、頭いっぱいなのもあって…
その違和感は、小さく胸の奥に沈んでいった。
撮影が終わって外に出ると、もうすっかり暗くなっていた。
スタジオの光から抜けた瞬間、少しひんやりした空気に包まれる。
今日は車が二台に分かれるらしい。
「佐野さんと吉田さんはこっちの車ね」
そのマネージャーの言葉に、内心ちょっとテンションが上がる。
タイミング良すぎ…
でも顔には出さず、そのまま後部座席に乗り込む。
隣には…仁人。
ドアが閉まって、車が走り出す。
少しだけ間があいてから、何でもない感じで言う。
勇「今日、仁人は、おれんち泊まるんで」
前の席のマネージャーが少し驚いたように振り返る。
「あ、そうなんですね、了解です」
その声を聞きながら、横を見る。
やっぱり…仁人は固まっている。
しかも 暗くても分かるくらいに、耳まで赤い。
かわいいな、ほんと…
ニヤけてしまうのを必死に抑える。
勇「なに、嫌?」
仁「……別に」
勇「じゃあいいじゃん」
そのまま自然なふりして、仁人に手を伸ばす。
指先が触れた瞬間、 びくっと震えたのが分かった。
でも…逃げない。
そのまま、ゆっくり指を絡める。
すると、少し遅れて、弱く握り返してきた。
それだけで、胸の奥がじんわりあったかくなる。
やばい。
幸せすぎる。
何も言わず、そのまま家に着くまでずっと手を繋いでいた。
家に着いて、ドアを閉める。
外の音が遮断されて、一気に静かになる。
やっと、二人きり。
さっきまで普通にしていたのに、 急に空気が変わる。
勇「なあ…」
振り返った仁人と目が合う。
少しだけ距離を詰める。
勇「さっきさ」
もう一歩、近づく。
勇「ちゃんと俺から言ってなかったから」
一度息を吸って、 そのまま目を逸らさずに言う。
勇「俺と…付き合ってください」
言った瞬間、心臓がうるさくなる。
仁人は一瞬だけ目を見開いた。
でも、逸らさない。
そのまま少しだけ間があって… 小さく、頷いた。
その瞬間、一気に感情が込み上げてくる。
勇「あぁ、まじで好き」
止まらない。
勇「ほんと好き」
勇「めっちゃ好き」
勇「……大好き」
勇「……愛してる」
思ったままが、そのまま口から出ていく。
仁「はいはい」
仁人は、少し呆れたようにそう言いながら、 くるっと背中を向けてキッチンの方に歩いていく。
え、ちょっと冷たくない?
そう思った、そのとき、
仁「俺も…好き…」
振り返らないまま、ぽつり。
一瞬、時間が止まった気がした。
すぐに仁人の方を見る。
顔は見えない。
でも、髪から覗く耳が真っ赤に染まっている。
かわいすぎる。
勇「ねぇ、じんちゃん」
思わず近づく。
勇「今の…もっかい言って?」
仁「もういいでしょ…///」
振り向かないまま、
仁「風呂入りたい」
照れて逃げるみたいな言い方に、思わず笑う。
勇「じゃあ一緒に入る?」
軽く言うと、 振り返って、じっと睨まれる。
仁「それマジで言ってる? 帰るよ?」
勇「うそうそ(笑)仁人が先入っていいよ」
少しだけ見つめられて、 それから小さくため息をつかれ、そのまま風呂に向かう。
その後ろ姿まで、好きだなとしみじみ思う。
一人残されたリビング。
ソファに座って、そのまま沈み込む。
勇「はぁ…」
息を吐いて、顔を覆う。
勇「無理…」
小さく呟く。
勇「好きすぎる…」
さっきの「俺も好き」が、 頭の中で何回も再生される。
ニヤけが止まらない。
でも、ふと風呂の方を見る。
今日は無理させない。
あんなに泣いてたし、 ちゃんと休ませたい。
そう思って、ゆっくり気持ちを落ち着ける。
しばらくして、向こうからドアの音。
反射的にそっちを見る。
出てきた仁人は、 俺の服を着ている。
髪が少し濡れていて、 さっきより力の抜けた顔をしている。
普通に見惚れてしまいそうになる。
勇「おかえり」
仁「ん」
タオルで髪を拭きながら近づいてくる。
その距離に、自然と意識が向く。
勇「そういえばさ」
ふと思い出して言う。
勇「俺、地方行く前に言ったこと…覚えてる?」
仁「……?」
少し考える顔。
勇「帰ったら、続きするって」
にやっと笑うと、 一瞬で顔が赤くなる。
分かりやすすぎ。
でも、そのままふっと笑う。
勇「でも今日はやめとく」
仁「……は?」
拍子抜けした顔。
その目元に、そっと指を伸ばす。
勇「だって、仁人めっちゃ泣いてたし」
優しくなぞる。
勇「絶対疲れてるでしょ」
静かに言う。
勇「明日も朝早いし、今日はもう寝よ」
頭を軽く撫でる。
仁人は少しだけ固まって、それからふっと力が抜けたみたいに笑う。
仁「なにそれ」
勇「ちゃんと大事にしたいだけ」
まっすぐ言う。
仁「……ずる」
小さく呟く。
仁「優しすぎ」
顔を逸らしながら、でも少しだけ近づいてくる。
その距離が、たまらなく嬉しい。
勇「知ってる」
そう言って、軽く笑う。
電気を消して、ベッドに入る。
同じ布団。
距離は近いけど、無理に触れない。
ただ、隣にいる。
それだけで満たされる。
暗闇の中、そっと手を伸ばす。
触れるか触れないかの距離で。
すると、向こうから、指が触れてくる。
そのまま、ぎゅっと絡まる。
あったかい。
勇「おやすみ」
仁「……おやすみ」
少し眠そうな声。
だんだん呼吸が落ち着いていく。
よかった…
やっと、ちゃんと隣にいる。
もう離れなくていい距離。
その安心感に包まれながら、 ゆっくり目を閉じた。
コメント
8件
次の話更新されたら絶っっっ対見ますのでよろしくオネシャス!!

2人が幸せになったのも嬉しいが!!!やわしゅんが!!!気になりすぎます!!!