「」:セリフ
():心の中の声
初めての小説投稿なので文節がおかしいところもございますが、温かい目で見てください。
「ねえ佐古ぉ…その上着って誰の?」
重低音のような優しい声を発し、守若は佐古を逃げられないよう片足を佐古の真横の壁に押し当てながら問い詰めている。何故このようになったのか、それはおよそ数時間前…
肌寒くなってくる涼しい気温になってきた秋の終わり頃、佐古は京極組の事務所で朝早くから作業を行っていた。
いつもこの時間帯は数十人の下っ端たちと兄貴が何人かいるのだが、今日はだいぶ早い出発で2・3人の下っ端と久我や野島、いつもは居ることが少ない一条などがいるぐらいだった。
昨日の夜に罰として兄貴に押し付けられた仕事を処理するため、この日はいつもよりだいぶ早く来ていた佐古は、作業を少しをしてから喉の乾きを覚え、昨日コンビニで買ったエナジードリンクを飲むことにした
「確かここに…あったあった!」
( 兄貴達は…いないな?)
(このエナドリ、よく集中できるっていうから試しに買ってみたが…まずうまいのか?)
プシュッ
「ゴクッ」
(ん!結構うまい!!)
(今日もっと買おうかな…)
(あ、トイレいこ…)
ジャ〜
「ふ〜今日は寒いな…は?」
出すものも出した後の達成感も束の間…先程まで作業をしていたデスクの上に嫌悪感を覚える黒い物体があるのを発見した。
「あれはっ…!昆虫界のなかで1位2位を争う気色悪さを持つゴ、ゴキブリ……!」
「あれがいるままでは作業が進まない…!遅くなってヤキ入れられるのは俺なんだぞ……よし!」
何かを決心し近くにあったグラビア雑誌を丸めそっ〜とソレに近づいていく…
「オラッ!」バシンッ
黒い物体に向かって渾身の力をかけ叩きつけたその時、フワッっとそれが凄まじいスピードで飛んだ。
「は」
ソレは佐古向かって勢いよく飛んでいく
「うわあァァァァァァァッー!!!」
ブンッブンッ
大量に投げられた野球ボールを必死に打つように丸めた雑誌を支離滅裂に振りまくるデスクに再度止まったソイツを地獄に送る勢いで叩きつけた
「死ねぇぇ!」
グシャ
「あ」
ガタンッ
トポポポポポ
「うわっ」
叩きつけた弾みで先程まで飲んでいたエナジードリンクがデスク外に落ちこぼれてしまっていた。振り回していた疲れで反応するのが遅れ、缶に残った液体は一口程度程になってしまった
「…やってしまった~…まだ一口しか飲んでないのにぃ…」
「でもまだ書類やパソコンにかかってないのが救いだ…」
「上着にだいぶ掛かっちゃったな…」
「中のシャツは無事っぽい…」
(今日はいつもより寒いんだよな…悪運すぎる…!)
「クソッ…」
(今日はなんだかついてないなぁ…)
(ゴキブリには飛びつかれ、エナドリはほぼこぼすわ、服はびしょ濡れになるわ)
「はぁ…」
羽織るものがなくなることは今の佐古にとってだいぶ致命的だった。秋のからっとした肌寒いとき、上着無しの生活は少しばかりきつい。
下っ端の組員は予備の上着を準備するという器用なことはなかなか出来かねまい。それ故佐古はこの赤いジャケットしか事務所に無い状態。
この深刻な上着問題をどうするか考えていると[タッタッタッ]っと誰かが急いで佐古の元へ走る足音が聞こえてきた
すると扉がバンッっと勢いよく開いた
「おいっ!佐古っ大丈夫か!デケェ悲鳴が聞こえたが…」
つづく…
コメント
5件
何度みても最高です!
まだ腐ではないですが、これから発展しようと思っています!