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※捏造だらけ
※rt.tt中心(mn.wnもいます)
※vta=ヒーロー育成機関 になってる
※長い
自己満でかいたものを公開していますので文章がめちゃくちゃになっているかもしれませんがそれでも良い方のみお読みください。
一応これだけで完結ではないですが続きを公開するかは分かりません。この話はrt視点になります。
俺がよく観察している人間がいる。名前は佐伯イッテツ。最近俺はこいつが何を思って生きているのかと考える時がある。
佐伯イッテツを表すならヤニカスとネットミームオタクで足りるくらい単純な奴なのに、時々よく分からなくなるというか、底の知れないやつだと感じる。
だからって、そんなことを馬鹿正直に聞いた所で返ってくるのはいつも同じ答えだ。
「テツ、お前今何考えてんの?」
「え、僕?うーん。タバコ吸いたいとかかなぁ?」
「やっぱそれかよ笑」
俺の質問内容が浅いという自覚はあるけど、それでも毎回同じ回答なんて正直適当にあしらわれていると思わざるを得ない。
つまりテツ自身、俺に本心を晒す気はないんだ。他の誰よりも俺は昔からあいつといるのに、そんな俺でもテツの事は完璧には分からない。他人の事を完璧に分かる事が難しいなんて分かってるけど、それが何故か悔しくて。どうにかしてでもあいつの事を理解したくなった。
そんなある日、俺をもっと混乱させる事をテツの口から聞かされることになる。
その話を聞く七日前。オリエンスでテツを抜いた俺ら三人でアジトに集まっていた。理由はとある作戦会議をする為だ。
「よし、早速やけどプレゼントどうする?」
「どうせタバコを1カートンくらいあげれば満足するでしょ〜」
「まぁそれは間違いなさそうだな笑」
実はもうすぐテツの誕生日が控えており、テツの生誕を祝うマナ主催の誕生日会を開くための準備を始めていた。会場はもちろんこのアジトで、ケーキも既に目をつけているものがある。あとは部屋を飾り付けるための材料や、一番大切な誕生日プレゼント。それとテツをどう呼び出すかなど当日に向けて話し合った。
「いやぁ、これテツ泣いてまうかもな〜」
「おい。泣いたらどうするよ笑」
「そしたらまぁお礼にどっか奢ってもらうか〜」
誕生日会に胸を膨らませながらも俺達は着実に準備を進めていった。
そして、テツの誕生日の三日前。オリエンスのグループチャットに突然連絡が入る。
『今日集まって話がしたいんだけどいいかな?』
送り主は誕生日会の主役であるテツ。俺ら三人は普段と雰囲気の違うテツの文章に戸惑いつつも『了解』の返信を返した。
テツに呼ばれてアジトに集まると既にマナとウェンがソファに座っていた。心なしか落ち着きのない二人に俺は近づく。
「テツまだなのかよ」
「ね、呼び出しといて遅刻するとか流石にないよね〜?」
「まぁ、それは多分無いと思うけどなぁ」
テツが来るまで俺達はあいつが何を言い出すか予想していた。もしかしたら誕生日のことでプレゼントの希望を申し出てくるだとか、オリエンス四人で配信したいと言い出すんじゃないかとか、何かとんでもないものを食わせようとしてくるんじゃないかとか、色々考えているとアジトの扉が開いた。
「ごめんごめん。僕が一番遅かったみたいだね」
「本当だよ!なぁ?」
「そうそう、これは許されへんなぁ」
「どうしよっかぁ。僕らこのまま帰っちゃう?」
「あ、すんませんでした。帰らないでください!!汗」
いつものように三体一の構図が出来上がってしまった。テツが即座に土下座を俺らにかましてなんとか話を聞いてやろうという流れになる。
「で、話って何?」
「えっとですね。まぁちょっと真面目な話といいますか。今まで黙ってたことを打ち明けるといいますか……汗」
テツは言い出しにだいぶ困っているようだった。しかも真面目な話と言われてはこちらも身構えてしまう。俺達は笑いながらテツをやいやい言いつつ、心のどこかで何か嫌なものを感じとる。
「俺らちゃんと聞くからさ。話してみろよ」
俺達三人はソファに仲良く横並びで座り、床で正座をしているテツを見下ろした。そしてようやくテツが口を開く。
「端的に言うんだけど、僕年取らないん…だよね」
「「「は??」」」
感動してしまうくらい俺達の反応は一致した。テツが今何を言ったのか理解するのに時間がかかる。“年を取らない”なんて、普通の人間より寿命が長いとかならまだしも、年を取らないなんて普通ありえない。
「えっと、エイプリルフール。ではないよな?まだ先やし」
「うん、そうだね。嘘じゃないし」
「年取らないってなに?」
「まぁ、そのままの意味っていうか。ずっと同じ年齢っていうか…」
「じゃあお前、ずっと…_」
「ずっと21歳なんだよね、僕」
俺達は順番にテツに質問していった。それをテツが淡々と答える。マナが言ったように俺も最初は嘘だと思ったけど、わざわざこんな風に呼び出している時点で嘘じゃないのは明白だった。ただ今は、疑っているとかじゃなくて信じられない。
「実は昔コザカシーに捕まって呪いかけられちゃって。それが21歳から抜け出せない呪いなんだけど、まぁそのせいで年が取れなくなっちゃって」
「その…なんで今更言おうと思ったん?」
「あぁ、それは。もうすぐ僕の誕生日が近づいてるからなんだか申し訳ないな〜って」
「でも去年は言わなかったよね?」
「あの時はまさか誕生日を祝われるなんて思ってなくて。言うタイミング逃しちゃった」
「あ、あぁ〜。なるほどね?」
「そういうことか、まぁそれは全然いいけど…」
相変わらず変なところで気を遣うやつだな。本当は21歳じゃないのに、それを祝われてしまうのが申し訳ないなんて。それを聞いた所で俺達がテツの誕生日会を中止にするわけないし。
「ねぇ、もしかしてテツの残機もコザカシーの呪い?」
「うーん。どうなんだろう。僕もその辺よく分かってないんだよね。多分そうなんじゃないかとは思ってるんだけど…」
前から残機なんて特殊な能力を持つテツの体を不思議に思ってたけど、それに加えて年を取らないなんて。俺の中の悩みの種がもう一つ増えてしまった。
「ってことでまぁ。これを今日は三人に伝えたかったんだけど…。理解してくれたかなぁ?汗」
テツは俺達の顔を伺うように見上げた。いつまでこいつ正座してるつもりだと突っ込みたくなったが俺は立ち上がってテツに手を伸ばす。
「お前の呪いってvtaにいた時からあったのか?」
「え、あぁー…あの時はなかったよ」
「そっか」
テツは俺の手を取って立ち上がった。
vtaっていうのは昔俺とテツが通っていたヒーロー育成機関のことだ。そこで俺とテツは初めて出会って、そこから仲良くなっていった。
「まぁ、取り敢えず今日はこれでええんとちゃう?テツの言いたいこと聞けたし」
「だね〜。まさかこんなこと聞くとは思ってなかったけど」
それから俺達は特に何かを話すこともなく解散した。各々テツの話を聞いて色々整理したいこともあるだろうし、何よりテツ自身が気まずそうだったから。どうせ受け入れられなかったらどうしようとかいらない心配でもしてたんだろう。
俺もそのまま自宅に戻り、テツの話を思い返す
「めちゃくちゃ不安そうな顔してたな、あいつ」
呪いにかかる過程で何があったかは分からないけど、大学に通っているわけだしきっと苦労した事が沢山あるだろう。でも、今まで隠していたことを話してくれるようになった事は嬉しかった。見習いヒーローとしてオリエンスに入ってきたテツが俺達に少しづつ心を開いてくれてきたという事のように感じられる。
「あとはまぁ……戦い方だけどうにかしてもらわなきゃだよなぁ」
それは遡ること約二週間前、街で異常なほどにコザカシーが出現した日。一体一体の脅威はさほどないものの、数が多すぎて対処がかなり困難だった。加えてコザカシーのイタズラにより相次ぐ建物の崩壊。俺達はコザカシー討伐より住民の避難を優先して動いていた。
「テツ!!」
避難誘導の途中、建物の崩壊に伴って大きな瓦礫が運悪く避難中の子供の頭上に落下してきた。そして、それにいち早く気づいたテツが助けようとしたが間に合わず、テツが身を挺して守る形になってしまう。
「ぅ”、あ”ぁ”〜…い”ってぇ”な……笑」
庇った子供が怯えないようにテツは笑顔を崩さなかったが、落下してきた瓦礫はかなり大きく重量があり骨折してもおかしくなかった。
なんとかテツを瓦礫の下から引きずり出し、子供を親元へと連れて行く。案の定、テツは誰かの肩を借りなければ歩くことができなくなっていた。
「テツはここで安静にしといてね〜?」
「いや、でも…」
「避難所近いからテツが見張りってことも兼ねとるんやよ?」
「なら…わかった…」
一人だけ待機することを渋るテツをなんとか説得して置いてあった椅子に座らせる。
その時、上から報告が入った。
『コザカシーの出現数増加。ただちに討伐に向かってください』
「まじかよ。あれ以上増えられたらたまったもんじゃねぇぞ?」
「すぐ行こか!」
指示に従い討伐に向かおうとした。その瞬間、空から俺達の前に一体のコザカシーが現れる。
「なんかゴツいの降ってきたんだけどぉ?!」
「まじかよ…!」
大量に現れたコザカシーとは違い明らかに強い。
「どうする?ふた手に別れるか?」俺はそう言いかけて言葉を飲み込んだ。今テツは動けない。ふた手に別れれば一人でどっちかを対処することになる。フォローができない状況になるのは良くない。
つまり三人でこいつをいち早く倒して大量のコザカシー討伐に向かうしかない。
『まずこいつを倒してから向かいます!』
俺は無線にそう報告する。その時警告音が鳴った。大量のコザカシーがこの避難所に向かってきているという連絡だった。
「あかん、最悪や」
「やっぱ俺が今から向かえば…」
「なら僕とマナでそっこーコイツらぶちのめして…」
『こちらに向かってきているコザカシーは佐伯イッテツに任せます』
「は…?」
俺は一瞬聞き間違いをしたのかと思った。けど、その指示の後に無線に入ってきたのはテツの声だった。
『わかりました。すぐに向かいます』
『な、何言ってるんですか?!テツだってもう動ける体じゃないですよ!いくら残機があるからって今は怪我して…」
『マナくん、僕は大丈夫だから。信じて』
俺達は混乱する。でも、目の前にいるコザカシーの対処でテツの事を無線越しに口でしか止めることができなかった。厄介なくらいこのコザカシーは強い。誰も油断できる状態じゃなかった。そして、その隙にテツは俺達の後ろをゆっくりと駆けていく。人の手を借りなきゃ上手く体を動かせないくせに、不格好に足を引きずりながら。
その時、大きな音と共に大量のコザカシーが現れる。なんとか俺達は目の前のコザカシーを制圧したが、テツは既に近くにいなかった。
必死にあたりを見回してテツを見つける。テツは無謀にも、大量のコザカシーに突っ込んでいった。
「マジで何考えてんだよアイツ!!」
俺は怒りで震える。こんな指示を出した本部の人間も、それに講義しないテツも。残機があるからっていつも自分を犠牲にしたがる所がいつもいつも。
その瞬間、コザカシーの大群が弾けた。大きな爆発により辺りに轟音が響く。俺の目に映ったことをそのまま説明するなら。恐らく爆発したのはテツで、直前にテツが自分のチョーカーのピンを指で引っ張ったように見えた。
爆破後には土煙が舞い、それらが空中から消え去った頃にようやく辺りが見えてきた。そこには傷一つないテツが地面に静かに横たわっている。テツの残機が発動した証拠だ。
俺は横たわるテツのもとに急いで駆け寄り、いつものように動かないテツを抱えて安全な場所へと避難した。当然現場に怪我人用のベッドなんてある訳もなく、動かないテツをまた地べたに置いておくしかできない。これがいつも嫌で、だからテツには残機を使ってほしくないと思ってんだ。そしてそれは多分、マナもウェンも同じだった。
「なぁ……もしかしてテツ、今自爆特攻したん?」
マナは震える声でそう言った。俺はそれに何も答えることができなかった。肯定するのが正解なんだろうけど、今起きた事が本当だななんて認めたくなかったから。
「嘘やんな……そんな…、そんなことあってええわけないやん」
それから暫くしてテツは目を覚ました。ひどく心配する目をしたマナに、怒りに震える俺とウェンの目を見てテツは気まずそうに目をそらす。
「あ〜……えっと。ごめんなさい……汗」
謝るということは、心配されるようなことをしたという自覚があるからだろう。その自覚があるだけまだマシだと思った。テツならこれの何がいけないのかとすっとぼけた顔をしてきてもおかしくない。
「お前の首のそれ、爆弾だったのかよ」
「あ、うん。最近仕様を変えてもらったんだ。ほら、残機って死なないと発動しないから。効率よくするために」
「効率よくってなんやねん!!!俺ら…めちゃめちゃ心配したんやぞ!?」
マナは今にも泣きそうな声でそうテツに訴えかけた。ウェンは何も言わなかったけど、いつもは見せない真剣な瞳でテツを捉えている。
「戦争じゃあるまいし、特攻して自爆なんてそんなん……もうするのやめてや……」
そんなマナの言葉にテツは静かに謝った。
「……うん、ごめんね」
でもそれはマナの言葉を受け入れる謝罪ではなかった。ただしたことに対する謝罪で、もう二度としないことを誓う言葉にはならない。
「大丈夫、もう慣れてるからさ。心配しないで」
そう言ってテツは本部へ報告に行くために歩き出した。マナがそれを遮ろうとしてウェンがゆっくりと止める。
「マナ、今は行かせてあげよ?」
「っ、、でも…」
「ウェンの言うとおりだ。今は多分アイツに何言っても意味ねぇよ」
俺達は静かにテツの後ろ姿を見ていた。俺は強く拳を握りしめながらテツが何を考えているのか、そればかり頭に巡らせて。
テツが本部に向かったあと、俺はテツのことでマナとウェンと話をしていた。
「あのさ。“慣れる”ってどうすればいいと思う?」
「えぇ、なんやろ」
「まぁ、何回も挑戦するとか何回もその状態になるとかじゃない?」
簡単に表すならワクチンがその例に当てはまるだろう。これから流行るウイルスに慣れるためにウイルスに似た成分を少量だけ打ち込む。そうすることであえて感染させて慣らさせておく方法だ。
「だから俺思ったんだよな。テツが死ぬことに慣れてるのは、アイツ自身が何回も死んだ事あるからなんじゃねぇかって」
「!…それって、」
恐らくテツは今まで慣れるために何回もわざと死んだんだろう。たしかに慣れてしまえばこっちのものだが、死を繰り返すなんて行為。普通の人間なら精神を壊してしまうだろう。テツはそんな苦痛をどうやって今まで耐えてきたんだろうか。
理解らない。アイツの考えなんてとうの昔から理解らないんだから。今考えたところで無意味だ。
「結局あの後からは何もなかったなぁ」
テツなりに俺達の気持ちを考えてくれるようになったら一番いいけど。どうせアイツのことだから、同じ状況に陥ったらまた自分の命なんて顧みないんだろう。
そしてようやくテツの誕生日当日。俺達はサプライズという形をとり、テツをなんの説明もなくアジトに呼び出した。
「テツ、はいってこいよ〜」
「え、なに……怖いんだけど…?汗いきなりクソデカクラッカーとか出てきたりしないよね?その場合僕ショック死するよ?」
「大丈夫大丈夫〜!その場合は僕らがテツ回収してあげるからぁ」
「えぇ…?汗」
ドア越しに怯えるテツと会話して、ようやく扉が開いた。俺達は一般的なクラッカーの約五倍の威力を持つクラッカーを構えてテツを出迎える。
パァァアンンンンッッッ!!!!!
「「「テツ誕生日おめでとうー!!」」」
「お”わあ”ぁぁあ”ぁ!!!!??!!」
「いや笑お前っっ笑笑笑ビビリすぎだろ!コココッ笑笑笑!」
「うははは笑!顔やばいよ〜?笑笑」
「相変わらずのビビリさんやなテツは笑笑笑」
クラッカーがあるのを予想してたくせに死ぬほど驚いているテツを見て、その場は爆笑に包まれた。
それから四人で楽しく話をして、ゲームをしたり、ウェンの手料理を食べたり、その後ケーキを食べたり、誕生日会を存分に楽しんだ。相変わらずテツには涙が出るほど笑わせられて、ずっと幸せだった。
「あーー楽しかったぁ。ほんとテツおもろすぎるわ笑」
「いや、本当にありがとうね?こんな飾り付けとかケーキまで用意してもらっちゃって」
「いーよいーよ!それにまだお楽しみはあるもんね?」
「そうやで!今からは…」
「プレゼントを渡す時間でーす」
「ぷ、プレゼントだとッ?!」
お楽しみの時間も終わりに近づいてきた。最後に用意してきたプレゼントをテツに渡していく。
マナは安眠グッズの詰め合わせ、ウェンはおすすめの酒とつまみ。俺からはピアスとオマケに俺の愛用しているサプリをプレゼントした。
そして、最後に三人から。
「俺ら三人で一つプレゼントを用意しようって話になったんやけどな?」
「え、まだ貰えるの?申し訳ないんだけど」
「ありがたく貰ってよ〜?」
そして、俺はポケットから1枚の紙切れをテツに手渡した。
「はい、これが俺らからのプレゼント」
「紙…?…………えっと…」
「裏、裏見て!」
「えーーっと、、“何でも一つお願い聞いてあげる券”…???」
俺達で話をした結果、肩叩き券に似た何でも一つお願い聞いてあげる券をテツに渡すということになった。
「ええやろ?可愛いない?」
「紙切ったのは俺で」
「デコったのは僕ね?」
「文字は俺が書いたんやで〜」
「えぇ、こんな物貰っちゃっていいの?何でもって最強じゃん」
テツは俺達からのプレゼントを大事そうに抱きしめて笑った。こういう表情をされると頑張って考えて準備した甲斐があったなと思える。
「じゃ、これからもよろしくな。テツ」
「おめでとう!!!」
「これからも命大事にやでな!テツ〜?」
「…うん。ほんとに、、ほんとにありがとう。みんな」
そして無事にテツの誕生日会は成功で終わった
でもまさか、別れの日がくるなんて想像もしてなかった。ずっとこうやって四人でいられるんだって。そう思ってた。
誕生日会から数週間後。今日はオリエンス四人での配信がありスタジオの控室で待機していた。ふいにテツが声を上げる。
「あのさ、僕の誕生日プレゼントまだだったよね?今言ってもいいかな?」
「おっ!何お願いするか決めたの〜?」
「なんでもええんやで」
「タバコカートンでとかは無しな?」
テツに言われてそういえばコイツまだプレゼントの内容を決めてなかったなと思い出す。正直誕生日会から日にちが経ちすぎてもう忘れてるんだと思っていた。
「みんなと…その……」
「なに?大っきい声で言ってくれないとわかんないよ〜???」
「みんなと遊園地行きたいなぁ……って。どうかな?」
「……そんなんでええの?」
「うん…」
あの佐伯イッテツが何を言い出すかと想像していると、言われた願いは一緒に遊園地に行ってほしいなんて。そんなの別にお願いされなくても…。
「僕はこれがいいんだ」
まぁテツがそれがいいならとその場はそれで話がつき。四人の予定が合う日を見つけて出かけることにした。
そして当日。俺達は遊園地を満喫した。
「まずはお揃いのアクセサリーからでしょ?あ、このワンちゃんのやつ可愛いらし〜♡」
「うわ!超可愛いじゃん!ウェンくんとか特に似合うでしょこんなの」
「まずはテツの乗りたい所乗ろうぜ」
「えっ、じゃあ僕ここ行きたいんだけどさ…」
「そろそろお腹空いてきたなぁ。何か食べ歩き出来そうなもん探すか」
「あのホットドッグ美味しそうじゃん」
「おい、風船子供に配ってるぞ!テツも貰ってきたら?笑」
「いや流石にあそこに入るのは気まずすぎない?汗」
「テツくんならいけるやろ〜」
「うんうん笑行っておいで〜?」
「ねぇ、ここでも写真撮ろうよ!ほら!みんなこっち見て!!」
「また撮んのかよ笑まぁ良いけどよ」
「渾身のぎゃうピース見せつけちゃお!」
「笑顔なら俺に任せい!」
「はい、チーズ!!!!」
マスコットキャラクターのカチューシャをお揃いで買ったり、高すぎるジェットコースターに乗ったり、売店のホットドッグを買って食べ歩いたり、時々テツをいじったり、思い出を残したり。
あっという間に楽しい時間は過ぎていった。空が夕焼けに染まり、園内の退出時間がやってくる。俺達は歩いて園外へと向かった。
「凄い楽しかったね!リトくんもマナくんもウェンくんもありがとう」
先頭を歩いていたテツがくるりと振り返り俺達を見た。いつものように八重歯を見せながら笑うテツは夕焼けに照らされる。
楽しいはずだった俺達は、素直にテツに笑い返すことができかった。
「…なぁテツ。俺らにまた何か隠し事しとるやろ」
「………えっ。いや、何も隠してなんか_」
「絶対ある!だっておかしいもん」
「えぇ、おかしいって。別にみんなで遊園地に来ただけだよ?!どこもおかしくないでしょ」
テツのいうとおり。たしかに、何もおかしなところはない。回数は少ないにしろ、オリエンス四人で出掛けることは度々ある。けれど、どこか引っかかる所があった。俺達は示し合わせたようにテツを見つめる。三人とも同じことを考えながら今日の一日を過ごしていたのだろう。
「お前、前の時呪いについて話してくれたろ?だからもう隠し事なんてするなよ」
「いや、前も言ったけど僕はただ四人とこうやってお出かけしたくて…!」
テツはあくまでも俺達と遊園地に行きたかったからと主張した。マナが諦めて、ずっと感じていた違和感を言葉にする。
初めの違和感はテツが誕生日プレゼントで貰ったお願いチケットを長い間使わなかったこと。まぁこれに関しては忘れっぽいテツならおかしいことではないかもしれない。
次の違和感は園内をまわっているとき、やけに写真を取りたがっていた。いつも写真を撮ろうと言い出すのはマナなのに、そのマナが写真を撮ろうと言い出す隙がないほどだった。
極めつけはテツがタバコ休憩に行かなかったことだ。普段のテツならまずありえない。仕事中ならまだしも、こうやって四人で出かけたときは遠慮なくタバコを吸いに行くのに。
他にはやたらとお金を使っていたとか。無駄遣いしていたわけではないが、食事代も園内で売られていた商品も全てテツがお金を出すと言い出した。何度遠慮しても強引に払おうとするので、せめて自分たちが買っていくお土産以外をテツに払ってもらった。
まだいくつかあり、マナがそれを全てテツに伝えてくれた。これでもテツはいつも通りの自分だと言いはるんだろうか。
「まるで今日のテツは………」
「もう二度と俺らに会えんみたいな。そんな気がしてん。別に思い違いやったらええねん!でももし何かあるんやったら。ちゃんと、、、ちゃんと俺らに言ってや。頼むから…俺は知らんまま終終わりたない」
「俺もマナと同意見だ」
「僕も」
「っ………」
マナが小さな声でお願いする、俺もウェンも頷いた。テツは困ったような顔をして、それから笑った。
「いやぁ、三人とも鋭いなぁ笑…やっぱ僕隠し事下手なのかな…?」
「まぁ、テツって怪我してるとわかりやすいもんね」
「だな。よく隠すくせに下手だから俺毎回笑っちまうもん」
「俺は毎回怒っとるけどな?」
テツの言葉に張り詰めていた空気が少し和らいだ。テツはよく任務で怪我をするが、いつもそれを隠してはバレてマナによく怒られていた。自覚はあるんだな。どうせこれからもするんだろうけど。
「ごめんね。三人の言うとおり、あるよ。隠し事」
「それは…話してくれるってことでいいの?」
「うん、話すよ。でもここで止まって話すのもなんだしどこかゆっくりできる場所探そっか」
テツはそう言って歩き出した。俺達もそれについて行く。その途中、誰も何も言葉を発さなかった。理由はテツの言い出すことが少なくともいいことではないだろうと感じ取ってしまったから。
少し歩いたところに小さな公園があったのでそこのベンチに座ることにした。遅い時間ということもあり周りに人はいないようだ。けれど残念ながらベンチに座れるのがギリ三人までだったので、俺が立ってようかと提案するとテツが「僕はいいから」と言ったので、俺とマナとウェンが座り、テツはベンチの前にあった低い大きな石に座った。自然と前アジトで話していた構図になる。
「結構、重い話になっちゃうかもなんだけど」
テツは申し訳なさそうにそう言うと、一度口を閉じた。
「……テツ?」
「すぅー……はぁ……」
俺が不安になりテツの名前を呼んだ。テツは大きく深呼吸する。
「いやぁ、話すつもり無かったからまだ僕も心の準備できてなくってさぁ。歩いてる間頑張って決心しようと思ったけど…やっぱむずいなぁ」
たしかに無言が苦手なテツが珍しく何も喋らなかったなと思い出す。しかも、今のテツは胸に手を当てながら笑っているのに、声も手も震えていている。一体今から何を言われるのか。
「じゃあ話すんだけど」
「うん」
「僕、明日し………死んじゃうんだよねぇ。あはは笑」
テツは下手くそな笑顔でそう一言発した。
今コイツなんて言った?明日死ぬ?呪いの話をされた時よりも衝撃的なその内容に思わず俺もマナもウェンも言葉を失ってしまった。
「あー…まぁ、そういう反応になるよね。汗」
「……いや、、ほんま、、、なん?」
「うん、本当だね」
あまりにも俺達の表情が暗くなったので、焦ったテツはできるだけこの雰囲気を良くする為に明るく振る舞いだした。
「でもまぁ今の言い方は良くなかったかもね!汗うん!あ〜………………まぁ……えっと…………あ!そう、僕の呪い!それが解けるって言う意味でもあるから!汗」
テツは慌ただしく手を動かしながら必死に俺達を安心させた。口角は引きつってるし、俺達が何も言わないから一人で必死に喋り続けていて。きっといつもの俺なら爆笑して鶏に似た大きな笑い声を周りに響かせていただろう。けど、今だけは全く笑えなかった。
「お前、ほんとに死ぬのかよ。しかも明日?いきなりすぎて俺……もうよく分かんねぇよ」
「うん、さっきも言ったけど本当なんだ。いきなり言われて驚かせちゃったのは…ほんとごめん」
何回聞いてもやっぱりテツは死ぬらしくて。それ以上俺は何も言えなくなってしまった。
「そもそもテツの呪いって具体的にいうとどういうものなの?いつからそうなっちゃったの?」
一番冷静だったウェンがテツに質問した。たしかに俺達はテツにかけられた呪いについて詳しくは教えられていない。俺はちゃんテツのことを知りたいから、これは聞かなくちゃいけないことだと思った。
「あー、じゃあそれについて話すね」
それからテツは何も知らない俺達にわかりやすいように説明を始めた。
「前リトくんは僕に呪いはvtaにいた時からあったのかって聞いたよね」
「あぁ、聞いたな」
「あの時僕はなかったって答えたけど。本当はあったんだよね」
「はぁ?!お前俺に嘘ついたのかよ?!」
俺は思わず大声を出して立ち上がった。慌ててウェンが俺をなだめる。
「ごめんって!汗あの時あるって言ったら僕が今何歳か聞かれると思って…」
たしかに、vtaにいた時呪いにかかっていないのなら、テツと俺との年齢差は変わっていない。見た目は変わらなくなったとしても、実際経っている月日は変わらないからだ。でももしテツがそれ以前から呪いにかかっていたとしたら。テツの本当の年齢はいったいいくつなんだろう。
「いつからなんだよ。お前が呪いにかかったの」
「うーん。実はあんまりよく覚えてないんだよね」
「え?どういうこと?」
「昔過ぎて忘れちゃった」
テツの言い方で俺は察した。呪いにかけられた時のテツの状態は知らないけど、それでも本人が忘れてしまうくらい月日が経っているのだとしたら。
「僕、こう見えて結構人生長いんだよね」
そう呟くテツの目はどこか遠くを見つめている気がした。たしかに、知識に偏りがあれど、色々なことを知っているテツを俺は尊敬していた。
「だから虫とか土とか食ってたのか〜」
「いやそれは単純に僕の好奇心が旺盛なだけかも」
ウェンとテツの掛け合いをよそ目に、俺は再認識されられた。俺が一番昔からテツと過ごしていて、一番仲がいいんだと思っていた。けど、俺の知っているテツはほんの一部分に過ぎなかったのだ。
「僕が呪いにかかって、それから数年後くらいにヒーローの本部の人に声かけられたんだよね」
テツは話を続けた。
テツは呪いを受けたあと、一度コザカシーに襲われて殺された。けれど呪いの影響か、テツは生き返った。そして、たまたまそれがヒーロー本部の管轄下の監視カメラに映っていたらしく、テツ本人に連絡がいったらしい。
「それでヒーローにならないかって提案されたんだけど、その時の僕はヒーローなんて目指してなかったし。ただ平和に大学通ってゲームしてタバコ吸って、それでいいかなって」
「そしたら、僕の体を調べるからって。僕は本部の管理下に入れられたんだ。正直検査は大ッ嫌いだし、他人に監視されるのも不快だったけど。不老不死と言っても過言じゃない僕は多分危険視されてたから、しかたなく従ったんだ」
「それで、まぁヒーローにならなくてもいいから取り敢えずvtaに入ってくれって言われて、入って。そこでリトくんと出会った。今はこうやってオリエンスの一員としてヒーローをやってる」
「だからまぁなんていうか。これが今まで僕が歩んできた長ーい人生で。しかも、結構悪くない人生なんだよね。だから…」
「だからもう死んでも後悔しやんって。そう言いたいん?」
「うん。今日もみんなと遊園地行けたしね」
テツがあまりにも楽しそうに笑って言うから、俺は何も言えなくなってしまった。ずるいだろそんなの。本人がそんなに納得してるのに止めに入れるわけなくて。でも俺は諦めたくない。
「テツの言いたいことは分かった。それでも、悪いけど俺は反対だ。そんなに急いで呪い解かなくてもいいだろ?まだ俺達とヒーローやってくれよ」
「僕も、リトとおんなじ気持ちだよ。テツが居なくなるなんて寂しいよ。時々何言ってるかわかんないけど、テツと喋るの結構僕好きなんだからね」
「俺もや!テツが明日死ぬとか絶対認めへんよ。それに、俺らが今日テツを呼び止めんかったらテツは……明日俺らに黙って死のうとしとったってことやろ?ちゃんとそこも説明してもらわなほんま俺怒るで」
マナの言葉に俺はハッとした。たしかに、俺達が今日のテツになんの違和感もなくこのまま帰っていたらテツはどうするつもりだったんだろう。もしかしたら、次の日俺達は何もできず、テツが死んだことだけ突然伝えられて、それで終わっていたのかもしれない。想像するだけで恐ろしい。
「それに関しては何も言えないなぁ…汗。正直僕も言うか凄い迷ってて、なんなら遊園地出たあともずっと…。でも絶対みんな止めると思ったから言わないでおこうって、結局バレて言うことになったけど」
「そりゃ止めるよ。僕らテツの事好きだし」
「えぇ、笑?好き?汗」
「いや仲間としてね。勘違いしないでぇ〜?」
「あ、自惚れました。すんません」
再び行われるテツとウェンの掛け合いでなんとかその場の雰囲気は保たれた。けど、結局の所何も解決していない。
「で、テツは明日どうすんだよ」
俺はテツにそう質問した。けど、無意識にテツを睨んでしまっていたようでテツが怯えてしまう。
「お、っ、、怒ってる?ごめんってばぁ…泣」
「怒ってねぇよ!真面目に聞いてんだよこっちは!汗」
「……でも、僕はやめるつもりないよ。明日呪いを解くつもり」
「…………そうかよ」
いつもみたいな言い合いをして、もしかしたらテツは思い留まってくれるんじゃねぇかと期待したけど、テツの意思は変わらなかった。そういえばコイツ頑固なんだった。悔しいくらい真っ直ぐで、自分が一度持った考えは周りに何と言われようと絶対に変えない。今はその性格を恨んだ。なんで自分が死ぬことにそんなに真っ直ぐでいられるんだよ。少しくらい今の時間を惜しんでくれてもいいだろ。
俺が納得のいかない顔をしていると、テツは俺に向かってまた喋りだした。
「僕ね、リトくんには感謝してるんだ」
「感謝?なんで俺に…」
「さっきも言ったけど、僕がvtaに入った当初はヒーローになる気なんてさらさらなかった。でもリトくんと過ごして、ヒーローを目指すリトくんと接していくうちに、僕もヒーローになってみようかなって思ったんだ。だからリトくんには感謝してる。君に憧れてヒーローになったんだよ僕は」
「そうだったのかよ」
全く知らなかった。テツがヒーローになった理由が俺だったなんて。まさかこんな時にこんな風に感謝されるなんて。なんだか複雑な気分だ。どうせ明日死ぬって言うなら知りたくなかった。余計テツにはいなくなってほしくなくなるだろ。
「あと僕、死ぬって言っちゃったけど厳密に言うと死ぬわけじゃないんだよね」
「どういうこと?」
「死ぬって言うよりは、存在が消える。みたいな?」
そういえば、俺達は 呪いが解ける=死 にどうして繋がるのかよく分かっていない。別に呪いが解けたらテツが年を取るようになって、一度きりの命に戻るだけじゃないのかよ。そんな疑問もテツはお見通しのようで、すべて説明してくれた。
「みんなは呪いが解けたら、僕が21歳からちゃんと年を取っていくようになると思ってるかもしれないけど、実はそうじゃないんだ」
「どういことなん?」
「僕は呪いのせいで見た目に変化はないけど、ちゃんと生きてる分年を取ってる。当たり前の事を言ってるように聞こえるかもだけど、本来の人間の肉体なら生きていられない月日が経ってるわけで、呪いが解けた瞬間。僕は今まで取ってきた年の肉体に戻るんだ。うまく言えないけど……汗」
「分かりやすく言うと、呪いにかかってから百年経ってたとして、呪いが解けたら僕の肉体はいっきに百年老ける感じかな」
「え、テツ百年生きてんの?」
「いや…多分もっとかな。記憶していられないくらいだから」
つまり、テツは百年以上生きていて、肉体は呪いのせいで時間が止まっている。本来百年以上も人間は生きることができない。だから呪いが解けると、テツは死ぬというより肉体が存在していられなくなる。だから消滅するみたいな、そういう事らしい。
まぁなんにせよ、テツがいなくなることに変わりはない。
「じゃ、そろそろ帰ろっか。すっかり暗くなっちゃったし」
テツは石の上からすっと立ち上がった。たしかにテツの言うとおり、夕焼けでオレンジ色に染まっていた空はいつの間にか紫色へと変化している。
それでもまだ帰れない。このまま終わるなんてそんなことできない。
「待ってや、まだ話は終わっとらへんから…!」
俺達は慌てて立ち上がった。マナがテツの手を取る。テツは表情を歪ませながら言った。
「じゃあさ、僕の人生はいつ終わるの?みんなが死んでから?一人になってからなら終わらせてもいいの?」
「そ、れは……」
その言葉にマナは手を離す。俺もマナもウェンも、自分たちの願いがどれだけ身勝手か気づかされた。
死んでほしくないのは仲間想いであると同時に、自分達が生きている間だけは生きていてほしいというエゴだ。その後一人残されるテツの気持ちなんて何も考えられちゃいない。自分よがりな考えで、テツにこう言われてしまうのも仕方なかった。
「ごめんね。わざと嫌な言い方しちゃった」
テツはニコリと笑った。
「みんなは悪くないよ。生きていて欲しいって言ってくれて僕嬉しいんだ。こんなにみんなが引き止めてくれるなんて思ってなかったから。ありがとう」
「……ぃ、、ぃやや……っ…俺……」
マナは震えた声でテツをまた引き止めようとして、それを呑み込んだ。俺もウェンも、ただ月夜に照らされるテツを見つめることしかできない。いなくなってほしくないけど、それはただのエゴでしかなくて。望まずともテツを一方的に縛り付ける行為になってしまうから。
どうすればいいんだろうな、テツ。
このままお前の事何も理解らないまま終わりたくない。もっとお前の考えてることとか、お前の気持ちを知りたい。
どういう気持ちで今そんな風に笑ってるのか。
なんでそんな風に笑えるのか。
教えてくれよ、テツ。
「………テツ……お、、俺…………に、…」
何か言わなくちゃ絶対に後悔すると思った俺は思考を巡らせて必死に口を動かした。はくはくと震える口から音を絞り出して、俺は勢い良くその場で土下座した。
言葉が駄目ならまずは動きからって、脳筋にも程があったかもしれない。
「俺達に、…時間くれ…!一日でいいから……!っ………」
勢い良く土下座したせいで額を強く地面に激突させてしまった。ヒリヒリと額が痛む。すると、俺の左右からもゴツンと音が聞こえてきた。マナもウェンも俺と同じ動きをしたらしい。
「俺からも頼む…!!!呪い解かんといてとは言わんけど…もう少しだけテツと話したいんや!」
「僕も、まだ今のままじゃ終われないから!!」
俺は床に額を当てながら思わずフッと笑ってしまった。テツの慌てる声が上の方から聞こえてくる。
「ちょちょちょっ、?!汗やめてよ土下座なんて!ほんと……顔上げて?!………ねぇってば、、ほら、マジで……っ……」
「そんなことされたら僕、、拒否できないじゃんかぁ……」
立っていたテツも俺達の土下座に思わずしゃがみこんだ。俺達はゆっくりと顔を上げ始める。
「コココッ笑笑!俺ら必死過ぎたな笑」
「ほんまにな笑土下座する日が来るなんて思ってなかったわ」
「マジで冷や汗かいたんだけど。ほんとに僕もう駄目かと思ったもん」
「三人から土下座されるとかこれから一生ないんだろうな汗…ほんとびっくりしちゃったよ」
ようやくいつもの雰囲気に戻った気がした。言いたいことはお互い沢山あるだろうけど、今は四人共笑い合う。夜の公園にうるさいくらい俺達の笑い声が響いた。
「あー笑った笑った!このままじゃ近所の人に通報されちゃうかもだし一旦帰ろっか」
テツは笑いすぎて溢れた涙を軽く拭うと立ち上がった。今から向かえば電車には乗れるだろう。歩き出すテツを見て、マナがテツの名前を心配そうに呼ぶ。
「テ……テツ…」
俺もウェンも一瞬不安になりテツの反応を伺った。テツはまた大声で笑ってこちらに手を伸ばす。
「大丈夫だよ。…明日はまだこの呪い、解かないことにしたから!今日は一旦アジトに帰ろう?」
その言葉に俺達はようやく安心して歩き出した。俺も静かに目を閉じて、そして笑う。
「おう、早く帰ろうぜ!」
「俺もうお腹空いてもうたわー!!」
「うわ、僕も空いた」
「ちょ、こっちみんなよ〜!まぁしょうがねぇから作ってやるけどさぁ!!」
「「「やったぁ〜!!」」」
今度はウェン以外の声がシンクロして再び爆笑が起きた。今は取り敢えず四人で飯が食えることを幸せに思うしかないだろう。
佐伯イッテツを理解する時間はまだ俺に与えられたんだ。絶対諦めない。俺はそう心に誓って、隣を歩くテツの肩に手を回した。
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