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高校2年生の9月。スタートを告げるチャイムと共に、教室から悲鳴が聞こえた。
なんと、玲の机に花瓶が置かれていたのだ。
「玲!!大丈夫?!」
真っ青な顔の玲を支えながら、私はにやりとほくそ笑んだ。
実は花瓶を仕掛けたのは私。私だけを見てくれない玲が悪い。
私は小刻みに震えている玲のほうに向き直る。
「大丈夫だよ。玲には私がいるからね」
私の言葉に、玲は少し顔色を取り戻した。
少し目に涙を浮かべた玲ははにかみながら微笑んだ。
「うん。ありがとう」
ああ。今、玲は私だけを見ている。
その事実に私は口角が上がるのを抑えきれなかった。
私はすかさず玲を抱きしめる。
「私だけを見てればいいんだよ」
思わず漏れ出た私の小さな声は、周りの音に溶けていった。