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「少女レイ」

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「少女レイ」

4 - 薄笑いの獣たち

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2022年09月19日

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「助けが欲しいだろ」

怜の机に花瓶が置かれたあの事件から1ヶ月。

怜は、クラスで孤立していた。

誰かからいじめられている怜に近ずいたら、自分もいじめられるに違いないとみんながみんな、怜を避けた。


花瓶が机に置かれるだけなら良かった。その後も、ジャージを切り刻まれたり、机に落書きされたり、上履きに画鋲が入っていたり。


そんな壮絶ないじめを受ける怜に、みんなは助けるに助けられなくなって、結局見て見ぬふりをしてしまった。


まあ、全部私がやったんだけどね。


正直私にとって、怜が無視されているその事実は、とても好都合で嬉しい。


だって、怜を助けられるのは私だけでしょ?だから、怜も私だけを見てくれるはず。


そう思っていた私が浮かれていたのかもしれない。

当の本人は、日に日に顔色を悪くし、笑わなくなった。

高校2年生の12月21日。とうとう学校に来なくなった。

冬休み直前の出来事だった。


はぁ。なんなの?あそこまでしたのに。

努力が全部、水の泡になった気がして、私は苛立っていた。

怜のいない冬休みはつまんなくて、何もやることがなくて。

家でゴロゴロ、課題と向き合って机に座っていたら、あっという間に冬休みが明けた。



新学期。

みんな、冬休みで会えなかった友達とさしぶりに話したりして、始業式の日はいつもより何倍も騒がしかった。


怜の居ない学校なんてつまんない。

そんなことを思いながら、私は教材を準備していた時。あることに気づき、教室を見渡した。

「あ、あれ?」

私の周りには、誰もいない。怜が来るまで仲の良かった葵ちゃんも、華奈ちゃんも、和ちゃんも、全員。いつの間にか居なくなっていた。

そこでやっと、私は気づいた。

怜だけを見ていたのは私。怜が居ないと、居場所がないのは私なんだって。


なんだか急に悲しくなった私は、毎日窓から降り積もる雪を見て、怜を待っていた。

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