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ゆゆゆゆ
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「……っ」
立ち上がろうとした瞬間、視界が揺れる。
足に力が入らない。
「……おい」
すぐに腕が伸びる。
ノスフェラトゥが支える。
倒れかけた体を、当たり前のように受け止める。
「……大丈夫か?」
低い声。
近い。
「……あー……」
目を細める。
「ちょい、ふらつく」
軽く笑おうとして、うまくいかない。
「血、抜かれすぎたな」
「……」
ノスフェラトゥの眉がわずかに動く。
「……言ったはずだ」
「加減しろってやつ?」
「……そうだ」
「してたって」
肩をすくめる。
「俺が弱いだけ」
その言い方は、いつも通り軽い。
だが――
足元はまだ不安定だった。
「……動くな」
短く言われる。
「はいはい」
返事をした瞬間、体が浮く。
「……おい」
「黙ってろ」
そのまま抱えられる。
「お姫様扱いかよ」
「違う」
即答。
「落ちる」
「同じだろそれ」
ぼやきながらも、抵抗はしない。
台所。
火はまだ残っている。
以前、二人で使った場所。
少し焦げた跡。
そのまま残っている。
「……ここか」
ノスフェラトゥが立つ。
「お前、作れるのかよ」
「見ていた」
「それだけ?」
「十分だ」
迷いがない。
「……マジかよ」
ため息混じりに笑う。
椅子に座らされる。
まだ少し揺れる視界。
「……休め」
「休んでるって」
「動くな」
「はいはい」
粉を取り出す音。
水を混ぜる音。
手つきはぎこちないのに、止まらない。
「……意外とやるじゃん」
「黙れ」
短い。
でも、怒ってはいない。
「前より上手くなってねぇ?」
「記憶しているだけだ」
「それがすげぇんだよ」
少しだけ、沈黙。
生地をこねる音だけが響く。
その中で。
「……お前」
ノスフェラトゥが言う。
「さっきの行動は」
「ん?」
「理解できない」
手は止めない。
「血を差し出す意味がない」
「そうか?」
軽く返す。
「意味とかじゃねぇよ」
「じゃあ何だ」
少し間。
そして。
「……生活」
ぽつりと。
「それ壊れるのは嫌だっただけ」
「……」
ノスフェラトゥの手が、わずかに止まる。
「……変だな」
「よく言われる」
笑う。
「でもまあ、俺はそういうやつ」
オーブンに入れる。
少し焦げた匂いが広がる。
以前と同じ匂い。
でも、少し違う。
「……できるぞ」
「ほんとかよ」
「食える」
「信用していいやつ?」
「知らない」
即答。
「おい」
思わず笑う。
焼き上がる音。
静か。
その間。
ノスフェラトゥは横に立つ。
少しだけ距離が近い。
「……なぁ」
pizza guyが言う。
「こういうのさ」
「……」
「悪くねぇな」
「……」
ノスフェラトゥは答えない。
でも。
視線は、ピザから離れない。
「……」
ほんのわずかに。
空気が柔らかくなる。
戦いでも衝動でもない。
ただの、食事前の静けさ。