TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

テラーノベルの小説コンテスト 第3回テノコン 2024年7月1日〜9月30日まで
リメイク(完結)

リメイク(完結)

「リメイク(完結)」のメインビジュアル

56

Ep48 最後の仙人

2024年02月12日

シェアするシェアする
報告する

 民家には、黒髪の日本人顔の少年が出てきた。

「人間か……珍しいな」

 やっぱり、人の訪問は珍しいんだな……。

「えっと、僕たち闇の神に会いたいんですけど、どこにいるか分かりますか……?」

 すると、男性は少し黙って答えた。

「分かる。教えてやってもいい。だが……」

 腰に携えていた刀を高速で僕の首に当てた。

「俺に勝てたら教えてやる」

 あ、カエンさんの言う通り変な人だった……。

「カエンさん……ちょっと代われませんか……?」

 とても情けないことだが、僕はカエンさんとのタイマンに勝てる気もしないし、まだこの冥界の国に恐怖すら感じている為、通常運転のカエンさんに勝負を代わってもらおうとしたのだが……

「ダメだ、全員だ」

 と言って、全員が少年と戦うことになった。

 一番手は、カエンさん。

「わあ! カエンさんの戦い久々に見るなあ!」

 ルークさんは何やら楽しそうだった。

「お手柔らかにお願いします」

 そう言うと、少年に片手を掲げた。

 あの構え……守護の国で僕たちやリオラさんを一瞬で突き飛ばしたやつだ……。

 未だ理解不能な技の一つ……。

 しかし、

「ナメてるのか?」

「なるほど」

 カエンさんの技は不発したのか、一瞬で首元に刀を突きつけられてしまい、敗北となった。

「彼にはどうやら『効果のある魔法とない魔法』があるみたいです」

 と、試合終わりのカエンさんは告げてきた。

 確かに、アゲルの時間を止めるオーバーも、龍族には効かなかったり、今回の子供化も、僕やホクトには効果はなかった。

 この少年も、何か特殊なのだろうか……?

 次の試合はルーク改め、ルーフさん。

 魔法攻撃が効かないとなると……厄介そうだ。

「光魔法 ゲート……」

 詠唱と共に、ルーフさんは姿を消した。

 僕たちを何度もコケにしてきた瞬間移動……!

 そして、少年の背後に回る。

 これなら……!

 しかし、直様背面に刀を突き付けられ、敗北した。

「光魔法なのに完全に見切られてたよ……」

 ルーフさんはトボトボと帰ってきた。

 どうやら、少年には光魔法の光速移動ですら見えているらしい……。

 そして、僕の番が早々に回ってきた。

 まずは、遠距離から様子を伺おう……。

 相手のことが未知数すぎて、近距離戦だと二人の二の舞になりかねない。

 “水魔法 アクアガン”

 僕は少年に向かって水撃を放った。

 予想通りではあるが、少年は簡単に避けた。

 しかし、避けると言うことは効果あるのか……?

 “水神魔法 アクア=ランズ”

 今度は避けられた水撃を背面から狙う……!

「これなら!」

 しかし、やはり少年は、後ろを見ずに、後ろに目でもあるかのように再び簡単に避けてしまった。

 そう言えば、守護の国一の生徒と戦った時も、闇魔法で背後も見えているとか言ってたな……。

 死角は無いと考えた方がいいかも知れない……。

 今度は少年が僕に向かって駆けてくる。

 移動速度自体は大したことはない。

 少年は刀を大きく振るい上げる。

 “岩魔法 ブレイク”

 眼前の岩も、少し削れ、ガードに成功した。

 次は……

 “雷魔法 サンランド”

 少年は僕の放った雷の拘束内に閉じ込まれた。

「よし……ここで終わって欲しいが……」

 しかし、やはり少年は、刀で拘束を掻き消した。

 これで分かったことがある。

 雷魔法の拘束を切れると言うことは……。

「オラァ!!」

 あの刀は闇魔法で作られた刀だ……!

 と言うことは光剣で斬れる……!

 僕は少年に向けて光剣を振り翳した。

「あれ……?」

 しかし、久々に光剣はスカッと刀を通り過ぎた。

 そして、少年の刀は僕の首元に当てられた。

「なんだその剣は……止めてなければ首が落ちたぞ……」

 刀は闇魔法で作られていなかった……。

 こうして、僕も少年に敗北してしまった。

「これでは闇の神の居場所は教えられない」

「どうしてですか! 僕たち、急いで闇の神に会わないといけないのに……」

 少年はスルリと刀を抜いた。

「それで闇の神に会っても……死ぬだけだぞ」

「で、でも……会わないと帰れないから……」

 そして、少年は刀を仕舞う。

「何か誤解しているようだが、俺は会わせないという気はない。お前たちに “魔法の見切り方” を教えた後、ちゃんと教えるつもりだぞ」

「え……?」

 少年は、ただのいい人だった。

 僕たちは、少年の案内で家に入れさせてもらい、懐かしい味のする緑茶を注いでもらった。

「俺の名前は九条悟クジョウ サトル。日本から来た異世界人だ」

 ・・・!?

「に、日本人!?」

 しかも九条って……まんま日本の苗字だ……。

「ぼ、僕も日本人なんです……!!」

「あれ? エイレスくんも地球出身だったのですか? 私もイギリス出身ですよ」

 ここに来て、カエンさんの爆弾発言

 まさかここに、地球人が三人いるなんて……。

「やっぱり日本のお茶は美味しいですね」

 そして、やはりどこか呑気なカエンさん……。

 龍長と聞いて対峙した時はあんなに恐ろしかったのに、なんだか悪い人のように思えなくなっていた。

「それで、 “魔法の見切り方” なんですけど……」

「ああ。少し待て。姉の帰宅を待つ。姉がいなければ会わせたい人に会わせられないんだ」

 会わせたい人……?

 そして、僕たちは、話に入って来られないルーフさんを差し置いて、地球トークに花を咲かせていた。

 暫くすると、ガラリと戸が開かれる。

「また連れてきたのか。絶対に無理だぞ」

 似たような雰囲気を醸し出すお姉さんらしき人は、唐突に「無理」だと断言していた。

「まあやってみなきゃ分からない。俺の双子の姉、九条凛クジョウ リンだ。今から、お前たちを仙人に会わせる」

 仙人……!

 空間移動のガロウさん、時空移動のディムさん。

 そして、この世界に来た元凶となった仙人……。

 もしかして、この人たちが異世界にいるのって……。

 連れて行かれた先は、少しご近所の民家だった。

 い……威厳がない……。

 コンコンと戸を叩くと「ふぁ〜い」と、気の抜けるような声が聞こえてきた。

「仙人様、九条姉弟です」

「おー、入れ入れ」

 中に入ると、コタツにゴロンと寝転がり、怠惰に漫画を読んでいる女の人がいた。

 流石のカエンさんも苦笑いを浮かべている。

「今度はソイツらで試すのかー?」

「はい、是非見てやってください」

 すると、横目で僕たちを観察する。

「お前ダメ、お前ダメ……」

 ルーフさんとカエンさんは一刀両断された。

「ん……お前は可能性あるな」

 そして、僕にはご指名のサインが下された。

 二人がダメで僕が大丈夫な理由も不明で、少しだけ恐ろしい自分がいる。

「お前、ガロウの仙術魔法を使えるな」

「は、はい……」

「アイツも可能性はあったが、ディムの仙術魔法を会得して使用している。だからダメなんだ」

 カエンさんを指差しながら話す。

 この国に送られる前、ディムさんも何か言ってたな。

 ディムさんは、カエンさんに仙術魔法を教えていた……と言うことか……。

「まあ、その様子を見る限り、他二人の仙人たちには既に会ったようだな。それなら話が早い。私は “酉の仙人” ナーガと言う。仙術魔法で “次元移動” ができる」

 やはりそうだ。

 前にディムさんが『ワシらは自分たちの力でこの異世界へと来た』と話していた。

 “次元移動” 即ち、“別世界へ行ける魔法” だ。

「よし、じゃあお前に仙術魔法を教える」

 急な展開に困惑しつつも、次元移動が出来る仙人が最後の一人なことは予想していた為、飲み込みは早かった。

 しかし、やはり仙術魔法には恐れがある。

 アレコレ考えつつも、闇の神には会わなければならないし、僕たちは、仙人ナーガさんに着いて行き、黒い岩壁に覆われた滝までやって来た。

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚