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『裏切りの微笑み』

第21話 - 第21話新たな光を求めて

2025年04月25日

#恋愛

#裏切り

ハルマキ

由香は天城との決別を決めたものの、その心の中に空虚感が広がっていた。解放されたはずなのに、何か大切なものが失われてしまったような気がしてならなかった。彼の支配から逃れることで、確かに自由を得たはずなのに、彼の影がまだ心の中に深く残っていることに気づく。
千尋はそんな由香の心の葛藤を感じ取っていた。彼女の支えになりたいと思う一方で、どうしても彼女が天城に対する未練を完全に断ち切ることができないのを見て、少し心配していた。しかし、千尋は黙ってその時が来るのを待っていた。

「由香、最近どうしてる？」

ある日、千尋がカフェで由香に尋ねた。

「うーん、少しずつ、前向きになれそうな気がする。でも、心の中で何かがうまくいってない気がして。」

由香はコーヒーを一口飲みながら、ふと窓の外を見つめた。

千尋はその言葉に耳を傾け、ゆっくりと答える。「由香、無理に何かを解決しようとしなくていいよ。今は、少しだけでも自分に優しくしてあげて。」

その言葉に由香は少し驚いたが、同時に心が温かくなった。千尋の優しさに包まれることで、彼女は少しずつ、自分の心が少しずつ回復していくことを実感し始めていた。

「ありがとう、千尋。今、私は自分を取り戻すために、もっと時間をかけるべきだって思う。」

由香は静かに微笑みながら、心の中で新たな決意を固めた。

その日から、由香は自分をもっと大切にしようと心に決めた。毎日の生活において、少しずつ小さな喜びを見つけることを意識するようになった。好きな本を読んだり、音楽を聴いたり、散歩をしたり。些細なことが、彼女の心を癒し、少しずつでも前向きになれる力を与えてくれた。

ある日、由香はふと千尋に尋ねた。「千尋、もし私がまだ天城に会いたいと思ったら、どうする？」

千尋は少し考え、優しく答えた。「その時は、きっと君がその答えを自分で見つけることができると思う。今は、君が無理に答えを出す必要はないんだよ。」

その言葉に由香は少しだけ安心した。千尋が言う通り、自分の気持ちを急いで決める必要はない。まだ心の中で整理できていないことがあったとしても、それを急かすことなく、自分のペースで進んでいけばいいのだと気づいた。