テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
51
2,476
Yuka@宿題の敵(あたおか)
3,130
112
…本当にここでいいのだろうか
少し不安を感じながら扉の前に立つ
2015年12月14日23時丁度にここに集合、であっているハズだ
ごくりと唾を飲み込み扉を開ける
そこには──
「ううん…新人クン遅いなあ…」
もう20時なのに──
「なんで3時間前が遅刻のカウントに入るんですか」
本日何度目かの突っ込みをいれる。
もうツッコミ役は疲れてきつつある
「ジョーダン、ジョーダンやん。明日香クン」
「冗談には聞こえなかったんですけど…」
篝さんは聞こえていないふりをして口笛を吹く
微妙に上手いのがまた腹立たしい
「はあ…」
わざとらしくため息を吐く
「なんや明日香クン、不機嫌やねぇ」
「誰のせいだと思ってるんですか…」
「僕のせいなん!?あちゃーそうかー」
手を額に当てて椅子にもたれ掛かる
(オーバーリアクションだな…)
「あ、そうや、明日香クンどうせ暇でしょ?トランプしようやトランプ」
「え?トランプ??」
「え?知らん?トランプ。」
「知ってますよ、なんでトランプなんですか」
「理由もなくトランプしたアカン?」
「いや、ダメじゃないですけど」
「やろ?な、やろうや、トランプ!」
…なんだかダマされてるような気がするがまあいいか。僕も暇してたところだ
「はあ…まあいいですけど」
「ホンマ!?やった!」
途端篝さんは目を輝かせて食いついてくる
「何する!?ポーカー?ババ抜き?スピード?大富豪?大貧民?」
「大富豪と大貧民は同じです…ババ抜きしか知らないのでババ抜きで…」
「うっそん明日香クン!!25にもなって知らんの?」
「…良いでしょう別に!!ほら、始めますよ!!」
「はいはい。」
篝さんはどこからか取り出したトランプをシャッフルする
「新しい日々をつなぐのはふふふんふふふふふふふふん」
「覚えてないなら最初から鼻歌にしましょうよ…」
「僕等なぜかふふふんふふふん」
って聞いてないし…
「はい、出来た!ババ抜きしよう!明日香クン!」
「ああ、はい…」
床に染み付いた血液、驚くほど冷たい身体、虚ろに開いた目、手を掴んでも返してくれない絶望感
全てを覚えている
「母さん…」
気が付けば呟いていた
だだっ広い部屋の中に一人でいる孤独感
それがどれほど辛いか初めて分かった
「ねえ母さん、父さん見つかったんだって」
誰もいない静かな部屋で訥々と喋り出す
「でね、意識不明だけど、生きてるって…」
「新しい親も見つかったし…これからね、いい方向に向かっていく気がするんだ」
気づけば泣いていた。ぽつぽつと畳に染みがつく
「ありがとう母さん、見守ってくれて」
涙を拭き、笑顔を見せる
僕はこれから立ち直らなくちゃいけない
幸いなことに兄もいるしこれから生活ができる目処も立った
母の遺影に向かって小さくガッツポーズをした
花だ。眼前には花が広がっている。
白い花
その中心には兄がいる。いつものような表情で
手を組んで、目を瞑って、それはそれは幸せそうに
「あの、大丈夫ですか?」
声を掛けられてはっと気づく
皆はもう自分の席に着いていた
「あ、すみません…」
「いえ、こちらこそ」
慌てて僕も座る
横死だった。義理の親に殴られ、蹴られ、挙げ句に僕を庇って死んだ
式が終わりさっき話しかけてくれた人にお詫びをしに行った
その人は出口で携帯を弄っていた
「さっきはごめんなさい…あの…兄のご友人ですよね…ご足労いただきありがとうございます…」
「あ、ああいえいえ、僕も実の兄が死んだらそうなりますよきっと」
「だから全然気に病まないでください」
そう言って彼は朗らかに笑う。
「そ、うですか…ありがとう、ございます」
「それに、仕方がないですよ、僕も貴方も、前に進むしかないんです」
彼はどこか諦めたように、独り言のように呟く
「そうですね…ありがとうございました…」
「ええ、また、どこかで」
それだけ言って彼は去って行った。
連絡先くらい交換すればよかったと後悔したのはそのすぐ後だ
「19連敗…」
「へっへーん君、態度に出すぎ」
赤のマフラーを身につけた男がっくり項垂れる
そこにあったのはそんな光景だった
「あ、間違いました…失礼します…」
そそくさと出ようと扉を閉める
ガッとなにかがつっかかる音がする
見ると扉と壁の間には靴が挟まっていた
「あっていますよ?あっていますとも!?」
靴の主はさっきババ抜き勝っていた方の男だ
見たこともない笑顔で詰め寄ってくる
「禍月周さんですよね?」
「ええまあ…」
合ってはいたようだった
「さて、じゃあ…ヴウン」
「ようこそ!天国の花園へ!」
「えっと紅茶…紅茶…」
篝秀一と名乗った男に部屋に入るよう言われてからずっと、5分は紅茶を探している
「そ、そんな探さなくても…」
さすがに心配になり止めに入る
「明日香クン!紅茶知らん?」
篝は明日香、と呼ばれたマフラーを着けた男の方に問いかける
「知りませんよ。というかそもそもないんじゃないですか?」
「かも」
どうしてそんなお茶を出したいのか
そんなもてなされてもどう対応したらいいかわからない
このようなやりとりが続いては僕も困る
「あの、もういいですよ」
「あ、あそことかないですか?」
「どこ?」
「ほら、あの、あそこ」
「どこ!?」
いくら話しかけても愉快な会話を続けるだけで僕は見向きもされない
閑話休題
「えー、ということで…改めまして、ようこそ!天国の花園へ!」
篝さんがパチパチ乾いた拍手をする
「ここに来たってことは復讐したいヒトがおんねんな?」
「ええ…僕は…母を殺して父を意識不明に追いやった連中と…兄を殺したヤツに復讐したい」
「ふーん、ええ志やな」
「キミは晴れて天国の花園の一員や。よろしくなア」
「…よろしく」
これでアイツらを殺せる。そう思うだけで気分が晴れた
この物語はすべてフィクションです。実際の人物、団体、事件とは一切関係ありません
コメント
20件
トランプってなんかルール複雑なの多いですよね…と思っていたら温度差 これでもかというくらいにおっっっもい過去が大好きなので、他のよその子もとても楽しみです…☺️
最高にうちの周の辛さがこれでもかと煮詰められててもう大好きです(?) 救われるのだろうか……そして愉快な2人が好きだァ
ババ抜きしか知らない…ウッ……ウッ…やめて 復讐すれば解決解決ぅ