あの日と変わらず
※まちこさんが卒業して何年か経った日のお話
第三者視点で進みます
何年前だろうか
『女子研究大学』通称『女研』にいた1人の女の子
“まちこりーた”は5月1日をもってグループから卒業した
彼女が卒業したことを知ったリスナーは
涙に溺れ,また同じメンバーとして活動してきたニキ・しろ・りいちょ・キャメロン・18号もまた涙を零し,感情を露わにしていた
そして数年経った今日
まちこりーたが卒業した日である5月1日に久しぶりに女研メンバーと遊ぶ約束をした
6人はこの日の為にマネージャー等から休みを貰ったのだ
そう,また6人揃って遊ぶために
💚「遅いな〜…私が早すぎたのか〜?」
彼女こそがまちこりーた
幼さの残る声とリスナーが似ていると絶賛する声真似,そして『シルエット声優』と名乗るだけあるその演技力諸々で人をひきつけていった
その魅力こそは何ひとつとして変わっていないが
強いて言うならば彼女のトレードマークとでも言えた“ウルフカット”が外巻きにされている“ショートボブ”へと変わっていた
本人曰く「最近ショートボブの良さに気づいた!!」とテンション爆上がりの状態でセットしていた
💜「まちこ〜!!まちこまちこ〜!!」
💚「じゅうはち!!」
彼女は18号
まちこりーたの唯一の親友であり卒業したあとも稀に遊んでいた
💚「じゅうはち久しぶり〜笑」
💜「久しぶりまちこ!!あえてほんとに嬉しい!!笑髪型変わってるね。ちょー可愛いよ!!」
💚「ありがとうじゅうはち笑じゅうはちは相変わらずお綺麗ですね笑」
💜「褒めてもなにも出ないよー?笑はい飴ちゃん♡」
💚「でるんかいっ!!ありがとうー笑」
さて,18号と再会したまちこりーたは何を考えているだろうか
普通の人ならば,今後の予定や過去の思い出話に浸るだろう
彼女もまた友達と遊ぶとなると大抵そうなる
しかし,今日は口数が少なく顔も少し俯きがちである
そんな彼女の様子に親友である18号が気づかないはずがなく──
💜「どうしたの?まちこ,不安なことでもあるの?」
💚「えっ…なんで…?」
💜「顔に書いてあるよ笑まちこってね不安な時とか嫌な時って大抵目を合わせてくれないの。気づかなかった?笑」
💚「…笑流石じゅうはち,冴えてるね…笑」
💜「さっ話してごらん?どうせ男性陣は遅刻するから」
💚「確かに笑──実はね,ちょっと不安なの」
💜「不安?なにが??」
彼女は唯一の親友に全てを話した
久しぶりに会う約束を交わした日からずっと心の中に秘めていたものを
💚「私の勝手な都合で女研を抜けて,その後も連絡することが減った今,皆とどんな風に顔を合わせたらいいのか分からなくて。女研は活動範囲も増えてコラボも沢山してきた中私だけ取り残されてる感覚が否めなくて…笑私が知らない間に遠くに行っちゃって今日もきっと孤独感を感じちゃうんじゃないのかって…不安になっちゃって…笑」
これこそ,彼女の本心だった
卒業して何年か経った今でも彼女は孤独感を味わい続けている
画面の中という遠そうで意外と近くにいる女研は
『退化』という言葉を知らないと言うほど進化し,ブームは起こり続けている
そんな偉大な存在になった女研がこんなちっぽけな自分と再会し,何を話せばいいのか,どんな顔をして会えばいいのか彼女には分からなかった
そんな不安を心に閉じ込めたまま今日がやってきてしまった
久しぶりにあえて嬉しい反面,閉じ込めた不安が檻をこじ開けてでてきてしまうのではないかと不安もあった
しかし,そんな彼女の不安もすぐに杞憂へと変わる
💜「…まちこはさ,我慢が得意だよね」
💚「我慢?私が?」
💜「そう。我慢し続けて心の檻に閉じ込めて私たちが知らないところで爆発しちゃう。そんなことが多々あると思ってるんだけどどう?」
💚「どう…なんだろう…わかんない」
💜「まあ難しいよね笑けどねまちこ,まちこがどんなに不安を抱えてようとそれが現実になることなんてないんだよ。まちこが抱えてる大抵の不安はね,『女研と私では釣り合わない』とか『自分は女研にいていいのか』とか私たちに関わることだよね」
💚「よ,よく分かるね…すごい」
💜「まちこの親友だしね〜…私はまちこが何をしようと,私から離れようと,私はまちこを手放すつもりはない。それはきっと男性陣も思ってるよ?私たちにとってまちこの存在は大きいからね笑」
💚「ほんとに…?」
💜「ほんとほんと笑きっと今日会えるの楽しみにしてると思うよ〜?discordでもあと何日だあと何時間だって騒いでたし笑まあ,楽しみにしてるなら遅刻するなってお話だけど笑」
💚「あはは…笑正論笑」
💜「でしょ?笑だからねまちこ,私たちのこと信じていいよいつまでも。私もまちこのとこ一生信じてるから!!」
💚「そう…だね!!信じるよじゅうはち!!」
心の中の不安が取り除かれたのかまちこりーたは元気いっぱいな顔で笑った
それを見た18号は安堵し話題を変えて話を続けた
元々人の感情に鋭い18号はまちこが不安を抱えていることに気づいていた
女研に関する不安にも
しかしまちこりーたの不安は18号にとっては起こるはずのないことばかりだった
つまり今言った言葉も18号の本心であるのだ
彼女もまた本音を打ち明けた,ただそれだけである
その言葉がまちこりーたの支えになるなど18号は知る由もない
💚「男性陣遅いねぇ〜」
💜「ほんとに。鬼電かけてあげようかな」
💚「わっいいね笑やっちゃう??」
💜「やっちゃおっか???笑」
いつまでたっても来る気配のない男性陣に鬼電でもかけてやろうかと2人で話していた頃漸くしろせんせーとキャメロンが集合場所に到着した
🤍「ほんっとすまん!!」
❤️「ごめん2人とも!!待たせちゃって!!」
💚「きたきた笑」
💜「もー!!遅いよめろちゃんもせんせーも!!」
🤍「ほんまごめんな!?楽しみすぎて寝れんかってん!!」
❤️「俺も…そわそわして寝れなかった…笑」
💜「えー?笑楽しみにしてたのー?笑まちこと会うの〜笑」
🤍「ノリがニキみたいだぞ18号。まちこちゃぁん久しぶりやなぁ!!どー?久々に会う俺は?髪が偉く短くなったなあイメチェン?かわええなぁ〜」
❤️「ほんとにニキくんみたいだよ笑久しぶりまちこさん。ショートボブっていうの?雰囲気変わったね大分。似合ってるよ〜」
💚「せんせーめっちゃ話すじゃん。髪変わったのよく気づいたね。せんせーは相変わらずせんせーって感じ笑キャメさんも久しぶり。さすがキャメさん,女の人をわかってる。これぞ大人」
🤍「ちゃんと一人一人に返すあたり変わってねーなまちこ笑」
💜「まちこはみんなの言葉拾うもんね笑そこが好きー笑」
❤️「あはは笑ほんとに何年経っても変わらないね笑」
💚「それ私だけじゃなくない?笑みんなも変わってないよ?笑」
🤍「そら確かに笑」
男性陣4人のうち2人が到着し,会話は既に盛り上がっていた
こんな雰囲気の中入っていけるのは残す2人の遅刻常習犯共で,
💛「おーいみんなー!!イケメンニキ様が到着したぞ〜!!」
🩷「その隣のりいちょくんも参上!!」
🤍「なんやあいつら。遅刻したやつらのセリフとは思えへんな」
💚「いや遅刻したあたりどっこいどっこいでしょ」
❤️「ニキくーん。遅刻するなんてどうしたんですか〜??笑いつぞやのりいちょくんのドッキリやってあげましょうか〜???笑」
💜「ニキニキ,りいちょ諸共死刑にあたいする」
🩷「待ってじゅうはちガチじゃん声が。ごめんって」
💛「おっさん煽るな笑じゅうはちには心を込めて謝罪します」
💜「スタバ新作私とまちこに1つづつ」
💛「仰せのままに」
❤️「おっさん呼びするな笑」
🤍「なにこれ茶番かいな笑」
💚「久しぶりの再会とは思えないノリなんですけど笑」
🩷「まちこり!!久しぶり!!なんかいろいろ変わった!?いいね!!」
💛「よっまちこ!!元気してるか!!なんか変わってんな!!いいと思うぞ!!」
💚「なんだろうこのしろキャメとニキりちょの圧倒的差」
💜「男の子って女子の変化に気づくか気づかないか,またはどこが変わったのか分かるか分からないかだよね笑笑2人は後者笑」
💛「ええいっ!!まちこと久しぶりに会えたことだし!!遊びまくるぞー!!」
🩷「羽目を外して遊びまくれいっ!!」
❤️「いつも外してる気が笑笑」
🤍「うるせえなあいつら笑笑」
💚「あははー笑変わんないなーほんとに笑」
💜「相変わらずのうるささ?笑」
❤️「そうそう笑」
💛🩷「「聞こえてるぞお前ら!!」」
💜「まちこまちこ」
💚「ん?」
💜「私の言った通り,まちこにあえてテンション高いでしょ?楽しみにしてたんだよ笑絶対」
先頭を走る2人とそれについて行く残りの2人を見て確信する
きっと私が不安に思うことなんて何一つない。とまちこりーたは儚げな顔で彼らを見つめた
きっと彼等は遠くに離れようとまちこりーたの存在を忘れることなどある筈がないだろう
例え,まちこりーたと連絡が途絶えたとしても
彼等は一人一人この日を楽しみにしていたのだ
ある者はそわそわして中々寝付けず,またある者は浮いた足取りで仕事に向き合いヘマをするなど今日という今日を待っていたのだ
そんな彼等を見た訳では無いが,まちこりーたはわかっていた
そして彼女も今日を楽しみに首を長くして待っていた
彼女は今にも天にも昇るような気持ちを抑え18号に笑いかけた
💚「そうだねっ!!!私も〜!!!」
数年前よりも大人っぽくなった彼女らといつまでたっても変わらない彼らが歩いた道には藤の花の花弁が落ちていた────
❦ℯꫛᎴ❧
記念すべき100作品目🥳👏🎉
100作品目は女研が再び再会した内容を書きたいと前々から思っており,それが今日叶いました!!
『まちこさんが卒業された日の数年後に再会した女研』をイメージする為に5月に開花する藤の花を投入しました✌🏻️´-(上旬と下旬のどちらに咲くかなどは知らずに)
これからも宜しくお願いします😊
100作品目がまとまりのない文章でいいのかと悩むところはありますが…🤔💭
コメント
2件
最高に面白かったです! 三人称視点だからこそのお話の進み方、はちの親友への思い、みんなのまちこちゃんへの愛情や言動、なによりまちこちゃんの女研の事が大好きだってことの表し方が最高でした! 100作品目、おめでとうございます&ありがとうございます! これからもたくさんみますね!