「よしっ。じゃあ透子行こっか」
そして翌日の休日。
どこに行くかもわからないままだけど、こんなに気持ちよく晴れ渡る日で、まさにドライブ日和。
たまにはそんな日もいいかも。
隣には樹がいることで、それだけで私は特別になるのだから。
「いいね。こんな天気のいい日のドライブデート」
「でしょ?今日は一日透子にとってもオレにとっても特別な一日にしたいからさ」
「そうだね。こうやって一緒に休日に出掛けるのも久しぶりだし、なんか特別な日になりそう」
「きっと最高に特別な日になるよ」
「ホントに?(笑)」
「まぁ楽しみにしといて」
樹は絶対かのようなそんな言葉を言ってくれる。
うん。そうならいいな。
今はただ隣に樹がいてくれて、一緒に笑い合えて、同じ時間を過ごせるだけで、私にとっては特別な日だ。
何気ない話をしながら一緒に感じるこの日差しも、窓から入る心地良い風も、流れる景色も、車の中に響く音楽も。
樹の隣でいれるこの空間なら、すべてが特別になっていく。
なんてことない当たり前の時間でいい。
一緒に笑い合いながらその瞬間を楽しめるなら。
それが何よりもきっと幸せだ。
「着いたよ。透子」
そしてしばらく車を走らせたあと、樹がそう言ってその場所に車を停める。
「ここ?連れて来たかった場所って」
「そう。一緒についてきて」
車を降りてしばらく一緒に樹とその場所の奧へと歩いて行く。
そして緑に囲まれた中にあるすごく雰囲気のあるとても豪華で素敵な建物の前に着く。
「ここは?」
「オレん家の別荘」
「別荘!?」
まさか、樹ん家の別荘とは・・・。
すごすぎる。
結婚したといっても、特にそういうすごさを案外感じる機会がなくて。
前にやったお披露目パーティーは美咲んとこで、それこそ自分達の知り合いを呼んだちょっとしたパーティーくらいの内容だったし。
結婚式とかも結局そんな感じでしなかったから、樹の家のすごさとか改めて知ることもなかった。
そうだよね。
よく考えたらセレブな家系だったの忘れてた・・・。
「すごいね・・・」
ただ私は目の前の豪華な別荘の外観だけに、ただ驚くだけで。
「そっ?ホントはもっと早く連れてきたかったんだけど、なかなか時間合わなくて」
なのに樹は平然とした様子で返事をする。
「どうぞ。入って」
そう言って樹がその豪華な別荘のドアを開けて、中へと促してくれる。
そして中を覗くとまた豪華なロビーが広がる。
すると。
「ようこそ。透子さん」
「あっ。お義母さん。お久しぶりです」
そこには結婚して義理の母になったREIKA社長の姿が見えて、挨拶をする。
あれから樹の両親の仲も昔のように距離も近くなって、仕事柄、籍は戻していないものの、こんな風に家族で顔を合わす時は、皆で集まるようになった。
「こんな素敵な別荘にお邪魔するなんて樹さんから聞いてなくて、何も用意してなくてすいません」
樹言ってくれたらよかったのに~。
「いいのよ。そんなことは気にしなくて。今日のことは透子さん知らなくて当然なんだから」
「えっ?」
そう言って笑ってるお義母さんについ反応するものの、樹と同じように何か少し違和感を感じる。
「透子さん。ちょっと見せたいモノがあるの。一緒に来て下さる?」
「あっ。はい」
そう言われ広い別荘の中、お義母さんの後を樹と一緒に着いていく。
「透子さん。ちょっとここで待ってて」
ある部屋の前で立ち止まりお義母さんがその部屋へと入る。
少し経ってまた部屋の外へ戻って来たお義母さんが、あるケースを私に差し出す。
「これは?」
「開けてみてちょうだい」
大きなそのジュエリーケースらしきモノを開けてみると。
「うわぁ・・綺麗・・・」
その中にはダイヤが連なっているとても素敵で豪華なネックレス。
「それ。透子さんへ私からの贈り物」
「えっ!?私にですか!?」
まさかのお義母さんからの言葉に驚きすぎて動揺してしまう。
「私から結婚のお祝い。もう1年も経ってからで申し訳ないんだけど」
「いえ!とんでもないです!そんなの逆にこちらの方が申し訳ないです!」
「そのネックレス今日の為に私がデザインして特注で作ったモノなの」
「えっ?今日・・?」
その言葉に私が不思議そうにしていると。
「透子。この部屋開けてみて」
「ん?この部屋?」
そんな私に樹が声をかけて来て、言われたままその部屋の扉を開ける。
そしてその部屋に広がっている思ってもいない景色に驚いた。
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