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本気になってはいけない恋

162 - 第162話   幸せなプレゼント②

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2024年06月09日

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「透子。随分遅くなったけど、今日オレたちの結婚式しよ?」


すると、隣にいる樹からまた信じられないような言葉が。


「えっ・・? 結婚式・・?」

「そう。これ透子の為に用意したから。今日は透子が主役」


そう樹が言った部屋には、白いウエディングドレスが飾られていて。

いきなりの状況にまだ現状が受け入れられなくて、頭がついていかないものの、目の前にあるウエディングドレスの綺麗さに目を奪われる。


樹からそんなこと言われるなんて思っていなかった。

現に、1年前にお披露目パーティーをして、それで充分満足だったし幸せだったから。

なのに、1年も経って樹がまさかこんなこと考えてくれていたなんて。

正直、樹から結婚式をしようと言われたその言葉も、樹とお義母さんが今日の日の為に用意してくれたことも、目の前にあるこのウエディングドレスも、素直に嬉しくて胸が高鳴る。


このドレスとこのネックレスを身に纏って、樹と結婚式を挙げられるなんて夢みたいでなかなか言葉にならなくて。

この瞬間にも、樹に伝えたいこと、溢れて来る想いはたくさんあるのに。

今はただその嬉しさと幸せを噛みしめるしか出来ない。



「でも結婚式ってどこで?」

「ここで」

「ここ?」


ここって別荘だよね?


「そう。まぁ透子は心配せずに準備してくれたら大丈夫。準備出来たらここで結婚式しよ」

「ここでなら私たちも気兼ねなく式に出席して二人お祝い出来るから。ぜひここでしてもらえたら嬉しいわ」

「親父ももうこの別荘にいるし出席するから」

「わかった」


確かに皆が仕事が忙しくて予定が合わないということもあったけど、樹のご両親二人が何も気にすることなくいられるのは、こういう形のがいいのかもしれない。

身内だけでする結婚式。

うん。それも素敵。


その時ドアをノックする音が。


「どうぞ」


樹がそう返事をしたと同時にドアを開けて顔を出した人物を見て更に驚く。


「透子」

「えっ?美咲!?なんで!?」

「透子お祝いしに来た。そんで、透子を綺麗にしに来た」

「美咲さんに今日の透子のヘアメイクお願いしたんだ」

「えっ?美咲も呼んでくれたの?」

「もちろん」


身内だけじゃなくて、まさかの美咲までお祝いしに来てくれたんだ・・。


「樹くんにね。実は私がお願いしてたんだ。もしいつかそういう機会があれば透子のヘアメイクさせてほしいって」

「美咲さん、まさか美容師免許持ってるって知らなかったからビックリした」

「あっ、そうなの。修ちゃんとあのお店やる前は実は美咲、美容師として働いてて」


そっか。そういえば樹は知らなかったはずだよね。

修ちゃんのお店始めてからは美容師やめてお店一緒にやってたし。

だけど、それまでは美咲は美容師として結構バリバリ働いてたから、正直やめちゃうのもったいないなぁって思ってた。

でも、修ちゃんのずっと夢だったお店を開く時、昔からずっと支え続けて見てきた美咲だからなんだろな。

一緒にその夢叶えたいって、案外潔く決断したの覚えてる。


「昔はブライダルのヘアやメイクもしてたからさ。親友としていつか透子も私の手で綺麗にしてあげたいなぁって実は思ってた」

「随分ここまでかかっちゃったけど(笑)」

「でもここまで待ったからこそ最高の相手と出会えたんじゃん」


美咲はそう笑いながら言ってくれた。


「ホントそうだね」


美咲が美容師やめて、私も結婚もする予定もなかったから、もうそんなことも忘れかけてた。

だけど今は、修ちゃんとのあの店があることで、私と樹との出会いもあって。

あの店での美咲との時間も大切な時間になった。


「じゃあ、美咲さんよろしくお願いします。オレたちは下で式の準備しとくんで」

「了解。綺麗になるの楽しみにしといて」


樹と美咲がそう言葉を交わした後、樹とお義母さんが部屋を後にした。



「美咲。ありがとね」


ドレスを着てヘアセットをしてもらってる中、美咲に声をかける。


「ん?何が?」

「今日来てくれて。まさか結婚式するって知らなくて、今もなんかまだ実感湧かないけど」

「実はさ。樹くんこの結婚式ずっと計画してたんだよね」

「えっ?そうなの?」

「樹くんにしたらさ、やっぱり透子との結婚式ちゃんとしたかったらしくて。でも透子はさ、ホラ素直じゃないから、そんなことも自分でしたいとか言わないからって」

「まぁそれは・・・。でも美咲んとこでちゃんとパーティーはしてくれたし」

「うん。だから余計にそう感じたみたいだよ。樹くんはさ、多分透子以上に透子のこと考えちゃう人だから」

「確かにそうかも。もっと自分のこと優先してくれていいのに」

「でも正直私もさ、嬉しいんだよね。透子のこういう姿見れて、それを私が綺麗にしてあげられるのが」

「うん。私も嬉しい」

「だって花嫁の一番いい魅力引き出せるのって私しかいないでしょ。どうしたら透子はもっと魅力的になって綺麗になるのか、私が一番わかってるしね」

「美咲はどんな私も知ってるからね」


美咲は私のいいところも悪いところも全部知ってくれている。

私が傷ついて悲しんだ時も、私が嬉しくて笑顔でいた時も、どんな時もずっと美咲はいてくれた。


樹との恋愛になかなか一歩踏み出せなかった時も、美咲が背中を押してくれたから私は前に踏み出せた。

樹との今の幸せがあるのは、美咲と修ちゃんがいてくれたから。

二人がずっと私たちを支えてくれてたから。


この結婚式をすることで、改めてその有難さを感じれたことに気付く。


そして今、大切な日にこうやって側にいてくれてることが何より嬉しい。


「よし。完成。このウエディングドレスならこの髪型が一番綺麗だと思う」

「ありがと」


うん。やっぱり美咲にやってもらったら間違いない。


「きっとこの透子見てまた樹くん惚れ直しちゃうね」

「ならいいけど」


美咲に綺麗にしてもらったいつもと違う自分。

樹にはどんな風に映るのだろう。

少しでも樹の気持ちを動かせられたらいいな。


結婚してから1年。

今でも変わらず樹はその想いを伝えてくれる。


だけど、そんな樹に私はちゃんと自分の想いを返せているのだろうかとたまに心配になる。

樹への想いは、樹に負けないくらい大きいと思っているのに、気持ちが大きくなるほど、こんなに近くにいるのに、それさえも上手く伝えられない。

きっと想っているほんの何分の一しか伝えられなくて、届けられていないような気がして。

ホントは樹と同じくらい私のその気持ちも返したいのに。

私もそれだけこの想いは変わらないと、もっと大きくなっているのだと伝えたいのに。

それでも樹には今の想いは変わらずにいてほしくて。

その想いはずっと伝え続けていてほしくて。

自分勝手な想いは結婚しても結局まだ変わらない。


きっと私は何年と時を重ねても、樹とその視線が重なる度に、その瞬間この胸が高鳴って。

その甘い言葉を囁いてもらう度に、私の心は幸せで満たされる。

私のきっと尽きることのないこの想いと同じように、樹にも同じように想っててもらいたい。

その気持ちが冷めないように、その気持ちが他の誰かに行ってしまわないように、私は樹のその心をずっと繋ぎ止めておきたい。


だから今日、今のこの自分でそんな想いも届けられたら。

今の私を樹にもっと好きになってもらいたい。

もっと私を必要と思ってほしい。


だから樹が用意してくれたこの場所で、樹へ私の今の姿を届けたい。

私が綺麗になれるその奇跡は、樹がいるから叶えられる。

樹の為だけに、その奇跡は叶えられる。

その奇跡がどうか樹に届くようにと願って。


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