「良仔さん、いつも皿洗いの為だけに来てくれて悪いわね…」「いいえ、そういう募集でしたから。」「実はね、お店にランチを食べに来るお客様で、丁度洗い場が見えるカウンターに座った方がいたの。『彼女いつも熱心に洗ってるね。学生さん?』って聞かれたから、違うって言ったんだけど、あなた他に何かお仕事しているの?」「ハイ。週に3日クラブで夕方から働いて居ます。」「あの、何かやりたい事が有るとか、離婚したばっかりとか。言いたく無かったらいいのよ。」と夫人はなかなか本題を言わない。「やりたい事は特にありませんが、以前の就職先で疲れたので、ダブルワークのほうがのんびり出来ます。」「そう。実はね、その方銀行員なんだけど、ちょっと変わっててね、あなたが真面目そうだから、未婚なら一度一緒に食事をしたいって言ってるんだけど、どうかしら?」
良仔は捨てる神有れば拾う神有りだと思った。「私でよろしければ、食事は何時でも。」「そう、じゃ出来れば、ここでディナーはどうかしら?」良仔は火曜日と木曜日が都合が良いと言った。
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