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1,141
都内某所。
朝。
住宅街の中にある小さな保育施設。
今日は番組のロケ。
テーマは
「子供と触れ合う体験企画」
撮影スタッフが準備をしている。
カメラ。
マイク。
小さな遊具。
そこへ車が止まる。
ドアが開く。
北斗が降りてくる。
北斗「おはようございます」
スタッフ「おはようございます!」
北斗は軽く会釈して周りを見る。
子供たちの声が聞こえる。
笑い声。
走る足音。
北斗少しだけ口元が緩む。
すると
もう一台の車が到着する。
ドアが開く。
〇〇が降りてくる。
〇〇「おはようございます!」
スタッフ
「おはようございます!」
〇〇が周りを見る。
そして
北斗を見つける。
〇〇「…あ」
北斗も気づく。
北斗「おはよ」
〇〇少し笑う。
〇〇「おはよ」
スタッフが説明を始める。
スタッフ「今日は子供たちと一緒に遊んでもらうロケです!」
スタッフ「2人には1日先生みたいな感じで参加してもらいます」
〇〇「先生!?」
北斗「大丈夫かな」
スタッフ笑う。
スタッフ「大丈夫です」
〇〇北斗を見る。
〇〇「北斗向いてそう」
北斗「なんで」
〇〇「なんとなく」
北斗「適当」
〇〇笑う。
〇〇「最近多いね」
北斗「何が」
〇〇「共演」
北斗「たまたま」
〇〇「また普通って言う」
北斗「言ってない」
スタッフ
「では子供たち入ってきます!」
扉が開く。
元気な声。
「こんにちはー!!」
子供たちが走って入ってくる。
〇〇「わー!」
北斗も少し驚く。
子供①「テレビの人!」
子供②「知ってる!」
〇〇しゃがむ。
〇〇「こんにちは!」
子供③「かわいい!」
〇〇笑う。
〇〇「ありがとう!」
北斗もしゃがむ。
北斗「こんにちは」
子供①「背高い!」
子供②「お兄ちゃん?」
北斗少し笑う。
北斗「そうだね」
子供たちが一気に集まる。
〇〇「今日は何して遊ぶの?」
先生
「今日はまずお絵描きから!」
子供たち「やったー!」
テーブルが並べられる。
クレヨン。
画用紙。
〇〇は子供たちの真ん中に座る。
北斗は少し離れた席。
子供①「これ描いた!」
〇〇「なにこれ?」
子供①「恐竜!」
〇〇「すごい!」
その横で
北斗も子供と話している。
子供②「見て!」
北斗「上手い!」
子供③
「これ車!」
北斗「速そう」
〇〇はその様子を見る。
〇〇「北斗めっちゃ優しい」
北斗「普通」
〇〇「子供好きじゃん」
北斗「普通」
〇〇笑う。
〇〇「絶対好き」
子供が言う。
子供④「北斗先生!」
北斗「先生じゃない」
子供④「北斗先生!」
〇〇笑う。
〇〇「北斗先生」
北斗「やめろ」
スタッフも笑う。
次の企画。
外遊び。
園庭。
ボール。
縄跳び。
シャボン玉。
子供たちが走る。
〇〇も一緒に走る。
〇〇「待ってー!」
子供たち「こっち!」
北斗は
子供を抱き上げている。
子供⑤「高い!」
北斗「危ないからな」
〇〇それを見る。
〇〇「めっちゃ優しいじゃん」
北斗「普通」
〇〇「それ禁止」
北斗少し笑う。
子供たちが言う。
子供①「北斗先生好き!」
子供②「優しい!」
〇〇「人気だね」
北斗「…」
その時
子供が言う。
子供③「〇〇先生と北斗先生結婚するの?」
一瞬。
スタッフ
「おお!」
〇〇「え!?」
北斗「しない」
子供たち「えー!」
〇〇笑う。
〇〇「不仲コンビだから」
北斗「そう」
スタッフ笑う。
その後
昼の休憩。
ーーーー
カメラの回らないベンチ。
2人で座る。
〇〇「楽しいね」
北斗「うん」
〇〇「北斗めっちゃ優しい」
北斗「普通」
〇〇「また」
〇〇少し笑う。
〇〇「子供好きでしょ」
北斗少し考える。
北斗「…好き」
〇〇「ほら」
〇〇「好きじゃん」
北斗水を飲む。
北斗「普通」
〇〇笑う。
〇〇「もしさ」
北斗「なに」
〇〇「将来結婚したら良いパパになりそう」
北斗固まる。
〇〇続ける。
〇〇「子供にも優しいし」
北斗「…」
〇〇「好きなタイプだったかも笑」
北斗「え」
〇〇「子供好きな人って言ったじゃん」
北斗「…」
北斗一瞬固まる。
〇〇「北斗意外と当てはまる」
北斗「…意外と?」
〇〇「うん」
〇〇笑う。
〇〇「ちょっと見直した」
北斗「なんだそれ」
〇〇「不仲コンビだけど」
北斗「そうだな」
遠くで
子供たちが呼ぶ。
「北斗先生ー!」
「〇〇先生ー!」
〇〇「行こ!」
北斗「はいはい」
2人は立ち上がる。
子供たちの方へ歩いていく。
カメラは
そんな2人の背中を
ゆっくり映していた。
ーーーーーーー
数週間後。
番組放送日。
夜。
テレビでは
保育施設ロケのVTRが流れている。
元気に走り回る子供たち。
〇〇「待ってー!」
子供たち「こっちー!」
画面の中で
〇〇が全力で追いかけている。
スタジオ笑い。
MC
「〇〇さん全力ですね!」
〇〇
「普通に本気でした」
慎太郎
「負けず嫌い」
スタジオ笑い。
次のシーン。
園庭。
子供が転びそうになる。
北斗がすぐ手を取る。
北斗「おっと、気をつけて」
子供「大丈夫!」
北斗「すごいな」
そのまま子供の目線にしゃがむ。
北斗「どっちが速いか勝負する?」
子供「する!」
北斗「よし、負けないぞ」
2人で走る。
スタジオ
「優しい〜!」
MC
「北斗さんめちゃくちゃ自然ですね」
北斗
「子供元気だから、こっちも元気になりますね」
慎太郎
「いいこと言うじゃん」
樹
「北斗先生」
スタジオ笑い。
お絵描きタイム。
子供「これ描いた!」
北斗「お、恐竜?」
子供「そう!」
北斗「強そう」
〇〇横から見る。
〇〇「北斗めっちゃ優しいじゃん」
北斗「いや全然」
〇〇「子供好きでしょ」
北斗少し笑う。
北斗「まあ嫌いじゃないかな」
スタジオ
「おー!」
慎太郎
「出ました」
樹
「北斗先生」
次のシーン。
子供たちが集まる。
子供①「北斗先生!」
北斗「先生じゃないって」
子供②「先生!」
北斗「もうそれでいいや」
スタジオ笑い。
〇〇
「認めた」
北斗
「押し切られた」
そして
例のシーン。
子供が聞く。
子供「北斗先生!」
北斗「ん?」
子供「〇〇先生と仲良し?」
北斗少し笑う。
北斗「まあ、仲良くやってるよ」
〇〇「不仲コンビって言ってるのに」
スタジオ笑い。
さらに
子供が言う。
子供「〇〇先生と結婚すればいいじゃん!」
スタジオ
「おーーー!」
〇〇「え!?」
北斗少し笑う。
北斗「急だな」
子供たち
「結婚!」
「結婚!」
北斗「それは無理だって」
〇〇「即答!」
スタジオ爆笑。
慎太郎
「はやい」
樹
「北斗焦ってる」
最後。
子供が聞く。
子供「北斗先生〇〇先生好き?」
スタジオ
「おーーー!」
北斗少し困った顔。
北斗「それは内緒」
〇〇「内緒って嫌いじゃん絶対!!」
スタジオ
「おーーー!」
慎太郎
「怪しい!」
樹
「逃げた!」
〇〇笑う。
〇〇
「答えてない」
北斗
「そういう質問禁止」
スタジオ爆笑。
VTR終了。
スタジオ拍手。
MC
「北斗さん本当に優しかったですね」
北斗
「子供かわいいですね」
〇〇
「人気だったよ」
慎太郎
「北斗先生」
樹
「パパ感あった」
北斗
「やめろ」
スタジオ笑い。
ーーーーーー
放送後
X反応
「北斗優しすぎて泣いた」
「子供と北斗の相性良すぎ」
「ほく〇〇の空気好き」
「結婚コール爆笑」
「北斗照れてた」
「北斗先生やばい」
「この2人また共演してほしい」
トレンド
#北斗先生
#保育園ロケ
#ほく〇〇
ーーーーーーーーーーーーー
保育園ロケの放送から
少し日が経ったころ。
場所
スタートエンターテイメント事務所。
午後。
〇〇は打ち合わせを終えて
廊下を歩いていた。
その時
会議室のドアが開く。
スタッフ数人と一緒に
北斗が出てくる。
北斗は少しフラつく。
スタッフ「松村さん大丈夫ですか?」
北斗「…大丈夫です」
〇〇は気づく。
〇〇「北斗?」
北斗「……あ」
顔を上げる。
顔色が少し悪い。
〇〇「大丈夫?」
北斗「ちょっと寝不足」
〇〇「違うでしょ」
北斗「え?」
〇〇「顔白い」
北斗「そんなこと…」
少しよろける。
〇〇「ちょっと!」
腕を掴む。
北斗「…ごめん」
〇〇「座って」
近くのベンチへ。
北斗が座る。
〇〇は自販機へ行き
水を買って戻る。
〇〇「はい」
北斗「ありがと」
少し飲む。
〇〇はじっと見る。
北斗「…そんな見なくていい」
〇〇「熱ある?」
北斗「ないと思う」
〇〇は手を伸ばす。
北斗「え」
〇〇は北斗の額に手を当てる。
北斗「……」
少し固まる。
〇〇「熱い」
北斗「まじ?」
〇〇「絶対ある」
北斗「……」
北斗は少し笑う。
北斗「母親?」
〇〇「うるさい」
〇〇「今日仕事まだある?」
北斗「あと雑誌取材」
〇〇「無理でしょ」
北斗「いや…」
〇〇は立ち上がる。
〇〇「ちょっと待ってて!!」
近くのスタッフに声をかける。
〇〇「すみません。松村さん体調悪そうなんですけど、取材少し遅らせられますか?」
スタッフ「確認します!」
北斗「そこまでしなくていい」
〇〇「する」
北斗「……」
〇〇が戻る。
〇〇「マネージャー来るって」
北斗「ごめん」
〇〇「なんで謝るの」
北斗「迷惑かけてる」
〇〇「迷惑じゃない」
少し沈黙。
〇〇「ていうかさ」
北斗「ん?」
〇〇「保育園のやつ」
北斗「あー」
〇〇「北斗先生人気だったね」
北斗「子供だから」
〇〇「優しいもん」
北斗「……」
〇〇「いいパパになりそう」
北斗「またそれ」
〇〇は少し笑う。
〇〇「ちゃんと休みなよ」
北斗「…心配してくれてんの?」
〇〇「当たり前」
〇〇「仲間じゃん!」
北斗「……」
一瞬だけ
北斗の表情が止まる。
北斗「そっか」
その時
後ろから声。
樹「北斗!」
樹が近づく。
樹「お前顔色やば」
〇〇「だよね!?」
樹「マネージャー呼ぶ」
北斗「大げさ」
樹「大げさじゃない」
〇〇「今日は帰った方がいい」
北斗「……」
少し考える。
北斗「じゃあ帰る」
樹「送るわ」
北斗が立ち上がる。
少しフラつく。
〇〇「ほら」
腕を支える。
北斗「ありがとう」
〇〇「ちゃんと寝なよ」
北斗「うん」
少しだけ目が合う。
北斗「ありがと」
〇〇「いいよ」
北斗と樹が歩いていく。
〇〇はその背中を見ながら
小さくつぶやく。
〇〇「ほんと無理するよね」
――――――
夜。
〇〇の部屋。
ソファで台本を読んでいる。
スマホが鳴る。
画面
樹
〇〇「もしもし」
樹「おー〇〇」
〇〇「どうしたの」
樹「今大丈夫?」
〇〇「うん」
樹「北斗のことなんだけど」
〇〇「え」
少し身を乗り出す。
〇〇「大丈夫なの?」
樹「熱出た」
〇〇「え!?」
樹「さっき測ったら38度」
〇〇「えー…」
〇〇「大丈夫?」
樹「まあ今寝てる」
〇〇「そっか…」
樹「今さ」
〇〇「うん」
樹「俺と風磨で北斗んちいる」
〇〇「え」
〇〇「風磨も?」
樹「うん」
樹「昔からの仲だし」
〇〇「確かに」
〇〇は少し笑う。
樹と風磨は
昔から仲がいい。
その関係で
〇〇も樹と仲がいい。
樹「でさ」
〇〇「うん?」
樹「北斗めっちゃ弱ってる」
〇〇「そりゃ熱あるもん」
樹「いや」
樹「いつもより静か」
〇〇「それは元から」
樹「いやそれ以上」
〇〇笑う。
樹「で思ったんだけど」
〇〇「うん」
樹「看病来る?」
〇〇「え」
樹「北斗んち」
〇〇「なんで私」
樹「いや」
樹「多分一番効く」
〇〇「薬?」
樹「違う」
樹「〇〇」
〇〇「は?」
樹笑う。
樹「今日さ事務所で水渡してたじゃん」
〇〇「うん」
樹「帰りの車でめっちゃ嬉しそうだった」
〇〇「え」
樹「ずっとその話してた」
〇〇笑う。
〇〇「ただの水じゃん」
樹「北斗には違う」
〇〇「意味わかんない」
その時
電話の向こうから声。
風磨「〇〇?」
〇〇「風磨?」
風磨「来いよ」
〇〇「え」
風磨「北斗の看病」
〇〇「いやいや」
風磨「今めっちゃ弱ってる」
樹「静かすぎて逆に怖い」
〇〇笑う。
〇〇「そんななの?」
風磨「うん」
風磨「来る?」
少し沈黙。
〇〇は少し考える。
事務所で見た
顔色の悪い北斗を思い出す。
〇〇「……」
樹「来る?」
〇〇小さく息を吐く。
〇〇「……行く」
樹「よし」
風磨「決まり」
〇〇「でも迷惑だったら帰るからね」
風磨「大丈夫」
樹「北斗絶対びっくりする」
〇〇「だよね」
風磨笑う。
風磨「それが見たい」
〇〇「最低」
樹「じゃ待ってる」
〇〇「うん」
電話が切れる。
〇〇はスマホを見ながら
小さくつぶやく。
〇〇「看病って…」
でも
急いで立ち上がる。
北斗のことが
少し心配だから。
ーーーーーー
あの時の
北斗side
場所
スタートエンターテイメント事務所。
夕方。〇〇と別れてから、
北斗は樹に肩を支えられながら
廊下を歩いていた。
樹「だから言っただろ。休めって」
北斗「大げさ」
樹「大げさじゃねぇよ」
北斗「ただの風邪」
樹「顔色ゾンビ」
北斗「言い方」
樹「自覚ある?」
北斗「…ある」
エレベーター前。
樹「車呼んだから」
北斗「ありがと」
エレベーターが開く。
2人が乗る。
沈黙。
樹「〇〇いたから頑張ったろ」
北斗「…は?」
樹「さっき」
北斗「別に」
樹「バレバレ」
北斗「違う」
樹「違わない」
北斗ため息。
北斗「…体調悪いんだよ」
樹「はいはい」
――――――
夜。
北斗の家。
リビング。
北斗はソファに座っている。
額に冷えピタ。
テーブルには薬。
風磨「体温計」
北斗「今?」
風磨「今」
北斗測る。
ピッ
北斗「……」
樹「何度」
北斗「38.2」
樹「上がってんじゃん」
風磨「だから言っただろ」
北斗「寝れば治る」
樹「それ毎回言う」
北斗ソファにもたれる。
風磨「飯は?」
北斗「いらない」
樹「ゼリーある」
北斗「あとで」
風磨「弱ってんな」
北斗「うるさい」
樹スマホを見る。
樹「……」
風磨「何」
樹「ちょっと電話する」
北斗「誰」
樹「秘密」
北斗「怖」
樹は少し離れて電話。
数分後。
樹が戻る。
樹「よし」
風磨「来る?」
樹「来る」
北斗「誰が」
樹と風磨が顔を見合わせる。
風磨ニヤッとする。
風磨「お前びっくりする」
北斗「だから誰」
ピンポーン
北斗「……」
樹「来た」
北斗「え」
風磨立ち上がる。
玄関へ。
ガチャ。
風磨「いらっしゃい」
〇〇「お邪魔します」
北斗「……は?」
リビングに入ってくる〇〇。
〇〇「北斗大丈夫?」
北斗固まる。
北斗「なんでいるの」
〇〇「樹に聞いた」
北斗ゆっくり樹を見る。
樹「バレた」
北斗「お前…」
風磨笑う。
風磨「看病係」
〇〇北斗の前に来る。
〇〇「熱あるんでしょ」
北斗「いや…」
〇〇手を伸ばす。
北斗「え」
おでこに手。
〇〇「熱い」
樹「さっき38.2」
〇〇「え」
〇〇「高いじゃん」
北斗「大丈夫」
〇〇「大丈夫じゃない」
風磨「ほら怒られた」
北斗「お前ら帰れ(冗談」
樹「俺らの役目終わった」
風磨「じゃあ帰る」
北斗「待て」
樹玄関へ。
風磨も靴を履く。
〇〇「え、もう帰るの?」
樹「看病よろしく」
北斗「おい」
風磨「おやすみ」
バタン
ドアが閉まる。
静かになる。
北斗と〇〇。
少し沈黙。
〇〇「……」
北斗「……」
〇〇「水飲む?」
北斗「…飲む」
〇〇「はい」
北斗受け取る。
北斗「ありがと」
〇〇ソファの横に座る。
〇〇「ちゃんと寝てた?」
北斗「まあ」
〇〇「嘘」
北斗「なんで」
〇〇「顔」
北斗少し笑う。
北斗「顔便利だな」
〇〇「便利」
〇〇少し真剣。
〇〇「ほんと無理しすぎ」
北斗「仕事」
〇〇「知ってる」
少し沈黙。
北斗〇〇を見る。
北斗「……なんで来たの」
〇〇「心配だから」
北斗「仲間?」
〇〇「仲間」
北斗小さく笑う。
北斗「そっか」
少しフラっとする。
〇〇「ちょっと」
肩を支える。
北斗「ごめん」
〇〇「ベッド行こ」
北斗「子供扱い」
〇〇「病人扱い」
北斗「一緒」
〇〇「違う」
北斗少し笑う。
でも
〇〇に肩を支えられて
ゆっくり立ち上がる。
北斗の体温が
思ったより熱いことに
〇〇は少し驚いていた。
ーーーーー
北斗の部屋。
〇〇が北斗をベッドまで連れてくる。
北斗「…ごめん」
〇〇「謝らなくていい」
〇〇「ほら座って」
北斗ベッドに座る。
少しフラつく。
〇〇「大丈夫?」
北斗「…うん」
〇〇「絶対うそ」
北斗小さく笑う。
北斗「顔で分かる?」
〇〇「分かる」
〇〇布団を整える。
〇〇「寝て」
北斗「命令?」
〇〇「病人だから」
北斗「はいはい」
北斗ゆっくり横になる。
〇〇額の冷えピタを見る。
〇〇「これぬるい」
北斗「そう?」
〇〇「替える」
〇〇新しい冷えピタを取り
そっと貼り替える。
北斗「…冷たい」
〇〇「我慢」
北斗「スパルタ」
〇〇笑う。
〇〇「薬飲んだ?」
北斗「さっき」
〇〇「えらい」
北斗「子供扱い」
〇〇「病人扱い」
少し沈黙。
北斗はぼんやり〇〇を見る。
〇〇は水をグラスに入れている。
北斗「……」
〇〇「なに?」
北斗「いや」
北斗「夢かと思った」
〇〇「は?」
北斗「〇〇が家にいるの」
〇〇笑う。
〇〇「ちゃんと現実」
北斗「そっか」
〇〇ベッド横の椅子に座る。
〇〇「寝なよ」
北斗「寝れない」
〇〇「なんで」
北斗「昼寝した」
〇〇「子供じゃん」
北斗「病人」
〇〇「確かに」
北斗少し黙る。
北斗「……」
〇〇「?」
北斗「さっきさ」
〇〇「うん?」
北斗「事務所」
〇〇「あー」
北斗「水」
〇〇「うん」
北斗「ありがと」
〇〇「ただの水」
北斗「違う」
〇〇「何が」
北斗少し笑う。
北斗「いや」
北斗「なんでもない」
〇〇「変なの」
少し沈黙。
北斗はぼんやり天井を見る。
北斗「〇〇」
〇〇「ん?」
北斗「今日」
〇〇「うん」
北斗「ほんとに来たんだ」
〇〇「来た」
北斗「びっくりした」
〇〇「樹と風磨のせい」
北斗「だろうな」
〇〇「でも」
北斗「?」
〇〇「心配だった」
北斗「……」
〇〇「顔やばかったし」
北斗小さく笑う。
北斗「ひど」
〇〇「ほんと」
北斗「そんな?」
〇〇「うん」
少し沈黙。
北斗は少し眠そうになる。
〇〇気づく。
〇〇「ほら」
〇〇「寝なよ」
北斗「……」
〇〇「いるから」
北斗「え」
〇〇「寝るまで」
北斗少し驚く。
北斗「優しいじゃん」
〇〇「病人だから」
北斗「便利な言葉」
〇〇「便利」
北斗少し目を閉じる。
〇〇は静かに座ったまま。
数分。
北斗の呼吸が
少し落ち着いてくる。
でも
北斗が
小さくつぶやく。
北斗「……〇〇」
〇〇「ん?」
北斗目を閉じたまま。
北斗「好きなタイプ」
〇〇「?」
北斗「明るくて」
〇〇「うん」
北斗「ちょっとチャラくて」
〇〇「うん」
北斗「子供好き」
〇〇「…言ったね」
北斗「……」
少し間。
北斗小さく笑う。
北斗「俺真逆だな」
〇〇少し驚く。
〇〇「そんなこと」
北斗「ある」
〇〇「ない」
北斗「ある」
〇〇「ない」
北斗少し笑う。
でも
そのまま
ゆっくり眠りに落ちていく。
〇〇は
少しだけ
北斗の顔を見る。
そして小さくつぶやく。
〇〇「…ほんと無理する」
そっと
布団を直してあげる。
この時まだ
〇〇は気づいていない。
北斗の恋に。
ーーーーー
あれから何時間か経つ。
北斗は眠っている。
呼吸は少し落ち着いてきた。
〇〇はベッド横の椅子に座ったまま
静かに北斗を見ている。
〇〇「……」
布団を少し直す。
北斗「……」
少し動く。
〇〇「起きた?」
北斗「……」
北斗は目を閉じたまま。
北斗「起きてない」
〇〇「起きてるじゃん」
北斗「半分」
〇〇「熱どう?」
北斗「まだある」
〇〇手を伸ばす。
北斗「え」
〇〇額に手を当てる。
〇〇「まだ熱い」
北斗「……」
北斗少し目を開ける。
北斗「距離近い」
〇〇「病人だから」
北斗「便利な言葉」
〇〇「便利だよ」
少し沈黙。
北斗ぼんやり〇〇を見る。
北斗「〇〇」
〇〇「ん?」
北斗「まだいる」
〇〇「いる」
北斗「帰らないの」
〇〇「寝るまで」
北斗「……」
北斗少し笑う。
北斗「優しい」
〇〇「病人だから」
北斗「またそれ」
〇〇「しかたないじゃん笑」
少し沈黙。
北斗天井を見る。
北斗「樹」
〇〇「うん」
北斗「絶対楽しんでる」
〇〇「100%?」
北斗「風磨も」
〇〇「うん」
北斗少し笑う。
北斗「最低だな」
〇〇「最低」
また少し静かになる。
〇〇は水を渡す。
〇〇「飲む?」
北斗「飲む」
北斗ゆっくり飲む。
北斗「ありがと」
〇〇「どういたしまして」
数分後。
北斗の呼吸が少し深くなる。
〇〇は立ち上がる。
布団を直す。
その時。
北斗「……〇〇」
〇〇「ん?」
北斗は目を閉じたまま。
北斗「まだいる?」
〇〇少し笑う。
〇〇「いる」
北斗「そっか」
それだけ言って
北斗は
今度こそゆっくり眠りに落ちる。
〇〇は小さくつぶやく。
〇〇「子供じゃん」
でも
少しだけ安心した顔で
眠る北斗を見て
〇〇は静かに椅子に座り直した。
夜は少し深くなっている。
北斗は眠ったまま。
呼吸もさっきより落ち着いている。
〇〇は椅子に座ったまま
スマホを見ている。
その時。
ブルッ
スマホが震える。
画面
樹
〇〇小声「もしもし」
樹「北斗どう?」
〇〇小声「今寝た」
樹「お、まじ?」
〇〇「うん」
樹「熱は?」
〇〇「まだあるけどさっきより落ち着いてる」
樹「よかった」
〇〇「さっきまで起きてた」
樹「何話してた?」
〇〇「普通」
樹「ほんとか?」
〇〇「ほんと」
樹笑う。
樹「北斗嬉しそうだったろ」
〇〇「分かんない」
樹「絶対」
〇〇「寝ぼけてた」
樹「それでも」
〇〇小さく笑う。
〇〇「もう寝たから」
樹「看病ありがとうな」
〇〇「いいよ」
樹「〇〇いると安心するんだよ」
〇〇「は?」
樹「北斗」
〇〇「知らない」
樹「鈍いな」
〇〇「うるさい」
樹笑う。
樹「帰り気をつけろよ」
〇〇「うん」
電話が切れる。
〇〇はスマホを置く。
ふと北斗を見る。
北斗は静かに眠っている。
〇〇「……」
小さくつぶやく。
〇〇「ほんと無理するから。」
その時。
北斗「……」
少し動く。
〇〇「?」
北斗はまだ寝ている。
でも
北斗「……〇〇」
〇〇少し驚く。
〇〇「寝言?」
北斗「……」
〇〇「北斗?」
北斗は目を閉じたまま。
でも
北斗「……水」
〇〇「また?」
〇〇は立ち上がる。
水を持ってくる。
〇〇「北斗」
北斗ゆっくり目を開ける。
北斗「……」
ぼんやりしている。
北斗「〇〇?」
〇〇「うん」
北斗「まだいる」
〇〇「いるよ笑」
北斗「帰ってない」
〇〇「寝るまでって言ったじゃん笑」
北斗少し笑う。
北斗「律儀」
〇〇「看病係」
北斗「強い」
〇〇「水飲む?」
北斗「飲む」
北斗ゆっくり飲む。
北斗「ありがと」
〇〇「どう?」
北斗「ちょっと楽」
〇〇少し安心する。
〇〇「よかった」
少し沈黙。
〇〇「もう寝て」
北斗「うん」
北斗はゆっくり目を閉じる。
そして
北斗「……〇〇」
〇〇「なに」
北斗「帰る時」
〇〇「うん」
北斗「起こして」
〇〇「いいよ」
北斗「ちゃんと」
〇〇「ちゃんと、」
北斗「……」
北斗はそのまま
また眠りに落ちる。
〇〇は小さく息をつく。
椅子に座る。
そして小さくつぶやく。
〇〇「ほんと子供みたい」
でも
その声は
少し優しかった。
ーーーー
夜はさらに深くなっている。
北斗はまた眠っている。
〇〇は椅子に座ったまま
スマホを見ている。
ふと時計を見る。
〇〇「……」
〇〇「そろそろ帰るか」
小さくつぶやく。
立ち上がる。
北斗のベッドの横へ。
額に手を当てる。
〇〇「…さっきより下がってる」
少し安心する。
〇〇「北斗」
北斗「……」
〇〇「北斗」
北斗少し動く。
北斗「……ん」
ゆっくり目を開ける。
北斗「……〇〇?」
〇〇「うん」
北斗「今何時」
〇〇「夜中」
北斗「……まじ」
〇〇「うん」
北斗少し体を起こす。
〇〇「ちょっと」
肩を支える。
〇〇「まだ寝てていいよ」
北斗「いや」
北斗「送る」
〇〇「無理」
北斗「行ける」
〇〇「熱ある人が言う?」
北斗少し笑う。
北斗「確かに」
〇〇「大人しくして」
北斗「はい」
北斗ベッドに戻る。
少し沈黙。
北斗「……帰る?」
〇〇「うん」
北斗「そっか」
〇〇「でも」
北斗「?」
〇〇「また来る」
北斗少し驚く。
北斗「え」
〇〇「時間があれば様子見る」
北斗小さく笑う。
北斗「優しい」
〇〇「病人だから」
北斗「またそれ」
〇〇「便利」
北斗笑う。
〇〇は布団を整える。
〇〇「ちゃんと水飲んで」
北斗「うん」
〇〇「薬も」
北斗「うん」
〇〇「寝る」
北斗「うん」
〇〇「よろしい」
北斗少し笑う。
〇〇は部屋を出ようとする。
その時。
北斗「……〇〇」
〇〇振り向く。
〇〇「なに」
北斗「今日」
〇〇「うん」
北斗「ありがと」
〇〇少し笑う。
〇〇「どういたしまして」
北斗「……」
北斗はそれ以上言わない。
言いたいことは
胸の中にしまったまま。
〇〇は部屋を出る。
玄関。
靴を履く。
その時。
ガチャ
北斗の部屋のドアが少し開く。
〇〇「え」
北斗「……」
壁にもたれて立っている。
〇〇「何してるの!」
北斗「見送り」
〇〇「寝てろって!」
北斗少し笑う。
北斗「ちょっとだけ笑」
〇〇「ほんと子供」
北斗「病人」
〇〇「便利な言葉」
北斗「便利 笑」
少し沈黙。
北斗「気をつけて帰れよ」
〇〇「うん」
北斗「着いたら連絡」
〇〇「分かった」
〇〇ドアを開ける。
外に出る。
〇〇「じゃあね」
北斗「うん」
ドアが閉まる。
静かな玄関。
北斗はしばらく
ドアを見ている。
そして小さくつぶやく。
北斗「……好きだな」
でもその言葉は
誰にも聞こえない。
北斗は静かに部屋へ戻り
ベッドに倒れ込む。
でもさっきより
少しだけ安心した顔で眠った。
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〇〇の家。
深夜。
玄関のドアが開く。
〇〇「ただいまー」
誰もいない部屋。
〇〇は靴を脱いで
そのままリビングへ。
ソファにバッグを置く。
〇〇「……疲れた」
そのままソファに座る。
スマホを見る。
樹からLINE。
樹「北斗どう?」
〇〇小さく笑う。
〇〇(LINE)「さっき帰った」
すぐ返信。
樹「ありがとな」
〇〇(LINE)「もう熱少し下がってた」
樹「よかった」
〇〇「うん」
少し間。
樹「〇〇来てくれて助かったわ」
〇〇(LINE)「大げさ」
樹「北斗安心してたろ」
〇〇(LINE)「寝てた」
樹「絶対安心してた」
〇〇少し笑う。
〇〇(LINE)「もう寝ろ」
樹「はい」
LINEが終わる。
〇〇はスマホをテーブルに置く。
ふと
今日のことを思い出す。
事務所で
顔色の悪かった北斗。
家で
ぼーっとしていた北斗。
「まだいる?」
って聞いてきた声。
〇〇「……」
少しだけ笑う。
〇〇「ほんと子供」
立ち上がる。
キッチンへ。
水を飲む。
スマホが震える。
画面
北斗
〇〇「え」
少し驚く。
電話に出る。
〇〇「もしもし」
北斗「……」
少し静かな声。
〇〇「北斗?」
北斗「帰った?」
〇〇「今帰った」
北斗「そっか」
〇〇「なんで起きてるの」
北斗「ちょっと」
〇〇「寝てって言ったでしょ」
北斗小さく笑う。
北斗「言われた」
〇〇「守って」
北斗「はい」
少し沈黙。
北斗「……」
〇〇「なに」
北斗「ちゃんと帰れたか」
〇〇「帰れた」
北斗「よかった」
〇〇「それ確認?」
北斗「うん」
〇〇少し笑う。
北斗「……今日」
〇〇「うん」
北斗「ありがと」
〇〇「何回目」
北斗「四回目」
〇〇笑う。
〇〇「どういたしまして」
北斗「……」
〇〇「もう寝て」
北斗「うん」
〇〇「水飲んで」
北斗「うん」
〇〇「薬も」
北斗「うん」
〇〇「よろしい」
北斗少し笑う。
北斗「じゃあ」
〇〇「うん」
北斗「おやすみ」
〇〇「おやすみ」
電話が切れる。
〇〇はスマホを見る。
そして小さくつぶやく。
〇〇「ほんと…ばか。休めって言ったのに」
でも
少しだけ優しい顔で
ソファに座り直した。
長い一日が
やっと終わった。
コメント
1件
最高すぎて滅