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胃もたれになるほど甘々な中太焦らしが大大大大大好きです
ヨコハマの喧騒を遠くに聞く、中也の隠れ家。その一室は、上質なワインの香りと、まとわりつくような熱に満ちていた。
「……ねえ、中也。もう、いいだろう……?」
ソファに押し込まれた太宰が、掠れた声でこぼす。いつもの飄々とした仮面は剥がれ落ち、包帯から覗く肌は薄桃色に染まっていた。視界は潤み、その瞳には目の前の「相棒」だけが映っている。
しかし、中也は応えない。 ただ、太宰の手首を片手で抑え込み、空いた方の指先で、太宰の喉仏をなぞる。羽毛で撫でるような、あまりにも慎重で、あまりにも執拗な愛撫。
「何がいいんだよ、手前。さっきまでの威勢はどうした?」
中也の声は低く、楽しげに弾んでいた。 首筋から鎖骨へ、そしてシャツの隙間から露わになった白い胸元へ。指先が這うたびに、太宰の肩が跳ねる。触れてほしい場所を掠め、肝心なところには決して届かない。その絶妙な「焦らし」は、太宰にとってどんな拷問よりも苛烈だった。
「っ、あ……っ……中也、……狡いよ、君は……」
太宰が腰を浮かせ、無意識に中也の指を強請るように身悶える。 だが、中也はそれを鼻で笑うと、今度は太宰の唇に親指を押し当てた。割れた唇から侵入し、熱い口腔内をゆっくりと、泥濘を掻き乱すように弄ぶ。
「……んむ、……ぁ」
言葉を奪われ、溢れる熱に咽せる太宰。 中也の瞳は、まるで獲物を追い詰めた獣のように輝いている。重力の異能など使わずとも、太宰は中也という存在そのものの重力に縛られ、身動き一つ取れないでいた。
「焦んなよ、太宰。……手前が『してくれ』って泣いて縋るまで、俺は一歩も引かねえからな」
耳元で囁かれる低体温な愛。それとは裏腹に、触れ合う肌は焼けるように熱い。 中也の指先が、今度は太宰の耳裏を甘噛みし、そのまま背筋をなぞり下ろしていく。太宰の呼吸はもはや形をなさず、ただ熱い吐息だけが部屋の酸素を奪っていく。
「中也……中、也……お願いだ。……早く……」
「『早く』、なんだ?」
わざとらしく聞き返しながら、中也は太宰のシャツのボタンを一つ、また一つと、もどかしいほどゆっくりと外していく。 普段は死を望む男が、今はただ、目の前の男に「生」の熱を与えられることを切望している。その無様なほどに甘い光景を、中也は心ゆくまで堪能していた。
「……いいぜ。壊れるまで、可愛がってやるよ」
ようやく重なった唇から、逃げ場のない甘い蜜が溢れ出した。