テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
互いの瞳の中に映る自身を見つめながら、狐雲はついに、決断を下した。
「……華乃、私はそなたにこの魂までも、余すところなくすべて奪われておる。そなたがお家に背き、人の理に背いたと自身を責めるのなら、その罪を私にも背負わせてくれぬか。……分け合いたいのだ。ともに生涯、寄り添って暮らしたい」
狐雲の愛の告白は、月明かりの欠片のように華乃に降り注ぎ、その胸に染み渡った。
「……だが、そなたと出逢う前の私は、決してよい神とは言えなかった。加えて人間のおなごを伴侶に迎えたいなど、天の逆鱗に触れよう。恐らくは過去現在に至るまでの罪の制裁、苦行が課せられるであろう。そなたにも……せずともよい苦労をさせるやもしれぬ。それでも……この狐雲について来てくれるか?」
華乃の深く神秘的な瞳から再び雫が溢れ出る。
今度は、悲しみではなく、ただひたすらに、幸福な——。
「はい、はいっ……! 狐雲様、狐雲様……あなた様となら、どこまでも……!」
花開くように美しく笑った華乃を、狐雲は強く抱きしめた。
上野文
9,610
都築七美
278
てく
1,872
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!