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前回コメントくれた方ありがとうございます😭
2話です!
※冴凛
※パロディ
※下手
高額で落札された凛を乗せた馬車は、豪華な装飾が施された門の前で静かに止まった。
「ついたぞ。手を貸してやる、降りろ」
冴はそう言って一足先に馬車から降りると、振り返りざまに凛へと手を差し出した。
「……ありがとうございます」
凛はほんのわずかに躊躇いながらも、その手を取り、ゆっくりと馬車の階段を踏み降りると、目の前に広がっていたのは、荘厳な門と、その奥にそびえ立つまるで神殿のような巨大な建物だった。
「えっと、ここですか⋯⋯?」
思わず息をのむ程の城の大きさに戸惑いつつも、凛は冴に尋ねた。
「ああ。今日からここが俺たちの暮らす場所だ。」
「こんなに立派なお城、俺なんかが居座ってしまっていいのでしょうか⋯⋯?」
かつての自分には不釣り合いなほど荘厳な城。胸の奥で「本当にここにいていいのか」と揺れる思いを抱えながら、凛は続けて冴に問いかけた。
「あ?いいに決まってるだろうが。お前は俺の嫁なんだ。お前にふさわしくないものなどこの世に存在するものか。」
「⋯⋯!」
強気な冴の言葉に、凛はなぜか嬉しさを覚えた。自分をこんなふうに見てくれる人など、今まで誰一人としていなかったからだ。
「それに、その居座るって言い方。ここはもうお前の家なんだからその言い方もうやめろよ。」
「は、はい。すみません⋯⋯」
「別に謝らなくていい。」
「す、すみま⋯⋯」
言いかけたところで凛はハッとし、「またやってしまった」と胸の内で呟くと、そっと目を伏せて小さく頷いた。
その様子に冴は少しだけ笑みを浮かべ情けをかけるかのように凛の頭をそっと撫でた。
「あー、凛。ここじゃ寒いだろ。お前の部屋に案内してやるからついてこい。」
場の空気をやんわりと変えるように、冴は静かに語りかけた。
「⋯⋯分かりました」
少し緊張気味な声で答えると、背を向け歩き出す冴の後に続いて凛は城へと足を踏み入れた。
「ここが、お前の部屋だ。」
冴は城へ凛を迎え入れると、すぐに奥の部屋へと案内した。
「……いいんですか?俺なんかに、こんな立派な部屋……」
「もちろんだ。なんせこの部屋は、お前のために用意したんだからな。」
「そ、そうですか……」
一人で過ごすには広すぎる空間。だが凛はその気持ちを胸の奥に押し込み、ただぽつりと「ありがとうございます」と呟いた。
冴が自分のために準備してくれた。それが何よりも嬉しかったからだ。
「それより凛、お前に話しておきたいことがある。そこに座れ。」
「……?、わかりました。」
先程までの表情とはどこか一変した張り詰めた冴の表情に、不安が胸をよぎる。けれど凛は命じられるままに、近くの椅子に腰を下ろした。
「突然だが、お前にはいくつか“決まり”を守ってもらう。」
「決まり……?」
「ああ。お前が俺の嫁である以上絶対に守らなければならない決まりだ。」
冴は一泊置いてから話を再開した。
「一つ目。俺の許可なしに城の外へ出ないこと。二つ目。城の者とは極力話すな。目を合わせるのも、触れるのも禁止だ。話があるなら、必ず俺を通せ。」
冴は明らかに無茶苦茶な内容をつらつらと話した。
その無茶苦茶な内容に凛は少し動揺していたが冴の先程とは違う真剣な眼差しから本気であると確信した。
「今は、とりあえずこの二つだ。この二つは何があっても絶対に守れ。……わかったな、凛?」
もはや「嫌だ」とは言わせない冴の脅迫的な態度に凛は「はい」と頷くことしか出来なかった。
「……いい子だな、凛。」
冴は柔らかな笑みを浮かべながら、静かに凛の頭を撫でた。
その手のひらには、温もりとともに、どこか抗えない力があった。
冴と“決まり”を交わしてから、数日が経った。
その決まりは相変わらず凛にとって自由のない、理不尽とも思えるものばかりだったが、凛は一度たりとも破ったことはなかった。
——しかし。
「っ……!」
突然、首元に痛みが走る。
巻き付けられた首輪が勢いよく引っ張られ、凛の身体が引き寄せられた。
「だ、旦那様……いた、い……っ」
冴は苦しげに呻く凛にお構いなしに、その額を掴んで無理やり顔をこちらに向けさせる。
「……凛。その首輪、やっぱりよく似合ってる、付けて正解だったな」
冷たくも甘い声で、冴は笑う。
その瞳は、優しさとは正反対の、独占欲と支配欲を滲ませていた。
ここ数日、冴の様子はずっとこうだった。
凛をまるで飼い猫のように扱い、自分の目の届かないところへ行こうものなら、首輪を引いて無理やり傍に呼び戻す。
こんな強引な扱いに「つらい」と思いながらも凛は一切抵抗しなかった。
いや、できなかった。
苦しげな表情を浮かべたところで、冴は少しも手を緩めず、「可愛いな」「好きだよ」と甘い声で囁きながら、なおも凛を愛撫する。
最初はそれが怖くてたまらなかった。
自分を飼い猫のように扱う冴の目は狂気じみていて今にも逃げ出したい、こわいそう思うことがほとんどだった
けれど——
「可愛い」「お前だけだ」と言われるたび、自分だけを冴は見てくれているような気がして、「やめて」抵抗することが出来なかった。
何より、自分を嫁として向かい入れてくれた冴に嫌われたくなかったからだ。
「凛。お前は本当に、俺に従順で可愛いな」
冴は凛の頭を優しく撫でながら、呟く。
「お前は誰にも渡さない。俺だけの花嫁、俺だけのものだ」
そう言って、冴は凛を優しく抱きしめた。
それはまるで、宝物を独占するかのように。
その温もりに触れた瞬間、凛の心から先ほどの痛みはすっと消えていった。
ただ冴の腕の中で、何も言わず、されるがままに身を委ねる。
凛にとってこの時間が何よりも幸せな時間だった。
2話目終わりです!
かなり急展開になってしまった⋯⋯
今回自分的にかなり微妙なんですけど続き読みたい人いるのかな😇
今回も気軽にコメントしてくれるとめっちゃ嬉しいです!!
コメント
8件
冴も冴で結構凛に依存してる感じがあるけど、凛も依存してる感じがするあくまで個人の意見です!今回のお話も素晴らしかったです!
スゥッッッッッッッッッッ(息吸 好きですッッッッッッッッッッッッ(((
一言で表すと最 & 高ですね……尊死( ˇωˇ ) まじでかんてんさんの小説大好物なんですよね😋🍴 続き待ってます!!