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るる太📱⚡🐼
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「ふぇぇ~なんやこの大所帯は……!」
「元宮さん、おかえりなさい!」
玄関を開けた瞬間、目に飛び込んできた光景に思わず声が出た。
満面の笑みでドアの前に走って来た蜷川の後ろに、色画用紙でこれでもかと武装した弦と洸。さらにその奥からは、エプロン姿の新が「おかえりなさい」とニコニコしながら顔を覗かせている。
「俺、料理苦手なんで、新先生に教えてもらおうと思って!」
「蜷川さんが子供たちと遊んでくれてるから、僕、なんだかお母さんみたいになってます」
蜷川の屈託のない言葉に、新が少し照れくさそうに笑う。
「うわ、ごめんな新、毎日無理言うて。……蜷川、お前、新先生、困らせたらあかんやろ?」
「はい! ごめんなさい! でも、人数多い方が楽しいですよね?」
「ほんまお前は……。弦と洸と遊びたかっただけやろ?」
「あれ? バレてます?」
全然反省していない笑顔を向けてくる蜷川の髪を、ぐしゃぐしゃと撫でる。
ほんま、デカすぎる長男が一人増えたみたいで、憎めへん可愛い奴やな。
「おとう、みて! こうの、あおいけん!!」
「おれのは、レッドソードや!!」
「うわ、めっちゃカッコええやん!」
ヒーロー気取りでポーズを決める二人を尻目に、蜷川は再びリビングの机に向かって、何やら真剣な表情で作業を再開した。
「今、元宮さんの伝説の剣、作ってますから! ちょっと待っててくださいね」
「……俺のもあるんや」
思わず笑みがこぼれる。そんな俺の様子を見ていた新が、スッと寄ってきて服の裾を小さく引っ張った。
「元宮さん、伝説の剣ができるまで、こっち手伝ってください」
「俺、まだスーツのままやで?」
そう言いながらも、心の中は騒がしくて楽しくて仕方ない。急いで部屋着に着替えて手を洗い、いい匂いのするキッチンへと入った。
今日のメニューは焼き魚と味噌汁、それに付け合わせか。週末を締めくくるには最高の、献立やな。
「朝、カレー食べたんでしょ?」
新が、お味噌汁の鍋を見守りながら聞いてきた。
「そう。二人が起きる前に、バレんようにかき込んだわ。……めっちゃ美味かった」
「ふふっ、ありがとうございます。てっきり夕飯に回すんやと思ってました」
「冷蔵庫開けたら、あまりにも美味しそうやったからな」
新が、本当に嬉しそうに目を細める。
朝も感想のメッセージは送ったけど、こうやって直接顔を見て気持ちを伝えられるのは、やっぱりええもんやな。
「それにしても、魚最高やな」
「蜷川さんに、元宮さんが鮭定食がお好きだって聞いたので」
「え、覚えてたんや蜷川。……うん、大好きやねん。でも蜷川、今日はアンパンマンカレー食べるって言うてなかった?」
「蜷川さんのリクエストで、子供たちと三人分はアンパンマンカレーなんです。僕らが、鮭定食」
「えらい格差あるな?」
「ふふっ、おかずは多めに作ってますから。残った分は、また明日のお昼に食べてくださいね」
新の穏やかな気遣いに癒やされて、「ありがとう」と自然に笑顔が返る。
「お味噌汁のネギ、いりますか?」と渡されたネギを、トントンと音を立てて切っていく。
……なんか楽しいな。こういうバタバタした毎日も、悪くない。
「元宮さんの伝説の剣、できました! 弦くんと洸くんに隠してもらったんで、後で引っこ抜いてくださいね!」
キッチンを覗き込んだ蜷川が、手柄を立てた子供のような顔をして言ってくる。
「……元宮さんのところのご長男さんは、本当に想像力豊かで可愛いですね」
新と顔を見合わせ、声を揃えて笑い合う。
「ほんま、可愛いやつや」
外はもう真っ暗やけど、この家の中だけは、穏やかで暖かい空気が流れている。
「さぁ、机片付けてご飯食べましょっか?」
新がリビングに向かいながら声をかける。俺もその背中越しに部屋を覗き込み、思わず目を見開いた。
「え……」
さっきまで所々に散らばっていた色画用紙の残骸は跡形もなく消え、テーブルはピカピカに拭き上げられている。それどころか、弦たちの鎧と剣が、まるで五月人形の飾りのように美しく整列して飾られていた。
「……蜷川さんって、だいぶ仕事できますよね?」
ぼそっと新が呟く。俺はわが事のように鼻を高くして、「営業部のエースやからな」とドヤ顔で後輩自慢をしてみた。
「はい、手も綺麗に洗ってきましたよー!」
そう言って蜷川に背中を押された二人は、さっきとは違う、暗めの色のTシャツに着替えていた。カレーのシミを想定した「カレーばっちこい」のフル装備や。
「……ほんと、今、尊敬の念がすごいです」
あっけにとられている新の背中を笑いながら軽く叩き、一緒に料理を運ぶ。
「はい、三人はアンパンマンカレーと、果物たっぷりヨーグルトな?」
「くうちゃんのカレー、おっきー!」
「おれ、くうちゃんのがいい!」
「弦くんがこれ食べたら、お腹ぼかーん!って爆発するで?」
「ふふっ、こうも、ぼかーん!」
「くうちゃんも、ぼかーん!」
「くうちゃんはおっきいから、ぼかーんってなりませーん」
三人のやり取りに笑いながら、俺は蜷川の肩をポンと叩いた。
「足りんかったら、新が多めに魚焼いてくれてるからな」
「新せんせぇ、ありがとぉー」
「どういたしまして。たくさん食べてくださいねー」
蜷川の子供っぽい真似に、新もいつもの保育士さんのトーンで返す。なんや、この短い時間で相当仲良くなったみたいやな。真逆に見えて、意外と気が合うんかもしれん。