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翌朝、私たちは時間をずらして家を出た。
「学校では絶対に『姉妹』だってこと秘密だからね」
昨日の約束を頑なに守るためだ。先に家を出たりりあから、15分ほど遅れて私はロータリーに向かう。
同じ制服を着ているのに、あいつはリボンをピンクに変えたり、スカートを短くしたりして、いかにも『量産型』という着こなしをしていた。
対する私は、黒いカーディガンを羽織り、極力目立たないようにフードを深く被る。住む世界が違う。
昨日あれだけ振り回されたのが嘘みたいに、学校が近づくにつれて現実に引き戻されていった。
学校の昇降口は、朝の賑やかさに包まれている。
「あ、りりあ〜!おはよ〜!」
「おっはよ〜!♡ 今日の髪型、超可愛くない!?」
遠くから、聞き慣れたあざとい声が聞こえた。
見ると、りりあが巻き髪をなびかせながら、友達のグループの中心で笑っている。
やっぱり、あいつは学校の主役だ。私は目を伏せ、関わらないように素通りしようとした――その時。
カサッ、と私の足元に何かが落ちた。
「あ……」それは、昨日りりあに無理やりつけられた、あのピンクのヘアピンだった。
お守り代わりにスクールバッグのポケットに入れていたのが、鍵を取り出した拍子に滑り落ちてしまったらしい。
地雷系の私が持つには、あまりにも不釣り合いなパステルピンク。
周りの生徒たちが「え、何あれ」とざわつき始める。
拾わなきゃ。でも、拾ったら「私が持っていた」とバレて変な噂が立つ。
足がすくんで動けなくなった私の前に、すっと綺麗な手が伸びて、ヘアピンを拾い上げた。
「あ、これ、りりあの!探してたんだ〜、ありがとっ♡」
顔を上げると、そこには完璧な営業スマイルを浮かべたりりあが立っていた。
あいつは周囲の友達に向かって「落としちゃって焦った〜!」とわざとらしく笑ってみせる。
そして、すれ違いざま。周りには絶対に見えない角度で、りりあは私にだけ、いたずらっぽくウインクをした。
「……っ」
心臓が、ドクンと跳ね上がる。
あいつはそのまま友達の輪に戻り、楽しそうに教室へと歩いて行った。
助けられた。
いや、またしても完璧にペースを握られたのだ。
「……バカ」
小さく呟いた私の顔が、また赤くなっているのを見られるわけにはいかない。
私はフードをさらに深く被り、早足で自分の教室へと向かった。
コメント
5件
りりあちゃん優しい…!!
サラッとお守り代わりにしてるめる かわいい♡(ᵔ꜆ ܸ. ̫ . ). ̫ . ꜀ᵔ)♡