テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
あの日の私はまさか今こんなことになるなんて思ってもいなかった。
その日まだ待ち合わせ迄時間はあったが10分くらいの滞在でカフェをあとにすることになる。
なぜなら、席はかなり混んでいて店の中央の大きなテーブルの真ん中あたりに一つ席が空いていた為、落ち着かないのはわかっていたがとりあえずその席に座ることにした。
アメリカンを頼んだが隣の席のパソコンのタイピング音が妙に気になり早々にコーヒーを流し込み店を出たのだ。
~落ち着いて作業出来そうな他のカフェを探そう〜
駅の方に少々お高めではあるがゆったり出来る
純喫茶があるのでそこに行ってみることにしようと思う。
いつもはカフェを出てすぐ左に曲がるのだが、何故かなんとなく真っ直ぐ歩いて一つ目の角を左に曲がる道を選んでいた。今思えば必然だったのだと思う。
少し先にラーメン屋さんがあり7〜8人並んでいた。
ラーメンは好きな方ではあるが1人でお店入って食べたことがまだない。
~ラーメン屋さんに一緒に行ってくれる彼氏でも欲しいなぁ〜
そんな世の中ではハードルの低い方であろうお願いを心の中で思いながら列の横を通り過ぎようとした。
すると 列の前方の1人がこちらをわざわざ振り返って見ているような視線を感じた。
視界の隅に僅かに入ったその人はスーツを着ているのが感じとれたが、 あえて私はそちらを見なかった。
~あ、多分胸元が開いたニットを着ている
せいだ〜
カシュクールというやつでピンクのニット。
だいたいこういう状況の場合は追いかけて来て声をかけてくるパターンが多い。
だが、しばらく歩いても誰も追いかけてもこず声もかけられなかった。
もちろん声をかけられたい気持ちなんて微塵もないのだけれど何故かその時は少しガッカリに似た気持ちがあった様な気がした。
顔も見ていないし誰だかも知らない人に対して、しかも自分の事を見ていたかどうかさえわからないのにそんな気持ちを抱くなどおかしな話しなのだけれど。
そんなくだらない事を思いながら歩き左に曲がると、
「お姉さんお仕事帰りですか?この後何処か行かれるのですか?」
不意に私の耳に飛び込んできた男性の声。
待っていたわけでも期待していたわけでもないのだが、
〜きたぁー!!〜
と心の中で叫んでいる自分がいた。
え?といよいよその顔を見てみるとそこには
身長180センチ越えのワイルドな顔立ちでシュッとしたスーツの似合う男性が立っていた。
コメント
1件
ああ、良いですねこの「なんとなく」の積み重ねが運命の出会いを呼び込む感じ。カフェで落ち着けなかったのも、いつもと違う道を選んだのも、全部この瞬間のための伏線だったんだなあって思いました。「きたぁー!!」と心の中で叫ぶ主人公の心情、めっちゃ共感しました。スーツのワイルドな男性…続きが気になります!