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「恋に落ちているときほど、
苦痛に対して無防備であることはない。」
- ジークムント・フロイト
今までの状況、情報を踏まえてこの教室を使っていた人物はおそらく一人。
「……京蔵泣いてんの?まさかあんなに自信満々でフラれた? 」
「うるっせぇな……ズズ…」
確定で泣いてる。死ぬほど小さい声で愚痴ってる。本人には申し訳ないが予想が当たったんじゃないかと思うと、俺こいつのことわかってておもしろと思ってしまう。
「なんて断られたんだよ、てゆーかなんであんなに自信持ってたんだよ。」
「…俺のことちらちら見てたから…俺のこと好きなのかなって思って、そのあと話とかも盛り上がったから…告白して……ズズ…けど女友達みたいにしか見れないって…あと……上から目線でダサいって」
今まで自覚していなかったのか、それともこれがかっこいいと思っていたのかはわからない。教室の扉越しにお互い背を向け、一方は慰め、もう一方は嘆く。普通に可哀想ではあったので、とりあえず話し続けてみる。
「泣くなよ京蔵、あん時の余裕のあるお前はどこに行ったんだよ、」
「だからうるせんだよ…」
震えた声が小動物みたいで可愛らしい。
(……俺なんで京蔵のこと可愛いって思ったんだ…?)
「ほら、帰りにコンビニでなんか奢ってやるから、さっさと帰るぞ。」
…ガラガラ
自分の目の焦点が無意識のうちに京蔵の顔を見た。心臓が脈をうつのが体感で分かった。
泣きじゃくって赤くなった目元、まだ流れる涙、自信を打ち砕かれたように下がった眉。
…そんな中、莞爾を見上げる情けのない瞳
「えっあっ」
抜けた声が莞爾の口から漏れ出る。
気持ちのいい感情が禅が外れたように湧き上がってくる。自分の顔が熱くなっていくのがよく分かった。そして、なんとなく直感した。
多分俺は罪を犯した。
同性にときめいたこと、
友の存在で欲情してしまったこと、
恋をしてしまったこと
体の表面を包みこむ柔らかな感覚…それに反するように平常通りに活動していた思考が電源を落とされた機械の如く、硬直した。これを言葉としてどう表すべきか、もしそんな言葉があるのなら今すぐにでも知りたいものだ……
寺育ちのK