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俺と貴方のうた

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俺と貴方のうた

2 - 揺れる椅子

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2025年06月02日

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「さくまのことすきなの」








「………んにゃ???」

涼太の言葉が瞬時に理解できなくて固まってしまう。

俺がまごついていると、また涼太の目から涙が溢れ落ちた。






佐久間の優しさに嬉しい気持ちと切ない気持ちが込み上げて、思わず口から出てしまった。

伝えるつもりはなかった。ずっと秘密にしておこうと思っていた。時間が経って、自分の中にある気持ちが消えるまで、大切にしまっておこうと思っていたのに。

揺れる瞳でじっと俺の目を見返してくれる佐久間を見て、瞬間的に後悔と罪悪感に押し潰されそうになった。


困らせたくない。

俺なんかで汚したくない。


撤回するから。

お願い。

嫌いにならないで。


嘘だよって、違うよって言わないといけないのに、声は出なくて、涙ばかりが溢れた。


こわい。今から俺、振られる。

止まらない。止まって、、お願い。


ぼやける視界の中で、佐久間の顔が近付いていた。








…え?? 涼太は今なんて言ったの??え??すき?隙?透き?好き?

……………好き!? いや、まって!!??そんなことある!?いやいやいやいやいや!!!!


冷静になれ佐久間大介。


涼太が俺のこと好きでいてくれてたなんて夢にも思っていなくて、現実味がない。

もう一度涼太に確かめたらいいの?俺もずっと好きだったよって答えたらいいの?え?それって答えてもいいの?俺は今どんな行動を取ったら正解なの?あ“ぁぁぁ“〜っ!!!わっかんねぇ!!!!




俺は次の言葉も紡げずに、ただただ涼太を見つめることしかできない。

そうしている間にも、涼太の目からは壊れてしまったおもちゃのように、止むことなく涙があふれて落ちていく。

水の溜まったレンズは、絞られた照明に反射してキラキラと輝いていた。宝石みたい。




泣いてても、すごくきれい。


でも、泣かないで。俺なんかのせいで流していいものじゃない。



もうこぼして欲しくなかった。

気の利いたことなんて言えない。 詩は浮かんでも、好きな人1人さえ泣き止ませられる言葉も思い浮かばない。バカだな、俺。

それでも、涼太を守りたい。涼太の涙が止まるなら、なんだってするから。だから、、、


俺にできること………





雫が伝うその頬に口付けて、飲み干した。


涼太の息遣いが止まる音がして、胸が苦しくなった。


死なないで欲しくて、俺の息を涼太の唇に分けてあげる。

涼太の頬に添えた俺の手に、冷たい感覚がしなくなったことに安心して、一歩下がると、

目の前の涼太は、顔を真っ赤に染めて目を瞬かせていた。






…あ、れ……、いま、おれ、、、なにした…………?


本能的に動いた体の記憶を思い出して、頭が真っ白になった。


どうしよう。やらかした。

俺、涼太に酷いことしちゃった。どうしよう。どうしよう。


謝らなきゃと思ったその時、涼太が勢いよく立ち上がり、座っていた椅子がガタンと倒れた。

衝撃の余韻を残してゆらゆらと揺れるそれに気を取られていると、涼太は走ってどこかに行ってしまった。









「…はぁッ、っ、は、、ッなんで、、なんでっ……?!」


ーーなんで俺、佐久間にキスされたの!?

意味を尋ねることすら怖くて、今すぐその場から逃げ出したくて、楽屋まで全速力で 走った。

急いで着替えて、荷物をまとめ、どうか佐久間と鉢合わせませんようにと願いながら、メンバーに挨拶をして部屋を出た。

楽屋を出る時、不思議そうな顔をして「どうした?」と聞いてくれる翔太に、俺は愛想笑いをすることしかできなかった。








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