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アーサーside

「「「「いただきます」」」」


静かだったリビングには、4人の声が響き渡った。


「作り置きでも美味しいなんて、流石マシューだな」


「えへへ、どおってことないよ」


控えめに食べるマシューの横では、アルフレッドがバクバクとご飯に食らいついていた。


「おいアル、俺達の分も残しとけよ?」


「ふあふぁっへふんふぁほぉ」


「何言ってんのか分かんねぇよ、」


賑やかな食卓の中、雑炊をちまちまと食べ進める本田に気にかける。もしかしたら騒がしくしすぎて体調を悪くしていないか心配だったのだ。


「本田、調子はどうだ?」


「朝に比べたら楽になってきました。それに、マシューくんの雑炊とっても美味しいです。初めてとは思えません!」


「良かった〜ちょっと心配だったったんだよね」


「心配だなんてする必要ないぐらいです」と謙虚になりながら会話する2人の会話は、うっかり口角が上がるほど微笑ましいものだった。表すなら周りにお花が飛んでいるみたいな。


「……アーサー、君いつまで見てるつもりなんだい?」


「え…あ、別に…!」


「そんな見てると菊にキモがられるよ」


「うっ…、」


しょうがないだろ!かわいいんだから!天使コンビだぞ!?今のうちに目に焼き付け……いやまて、どうせ俺達結婚してマシューとアルフレッドと家族ぐるみになるんだから、そんな事しなくてもいいか。

ニコニコしながらご飯を食べるアーサーを引いたような目で見るアルフレッドだった。




食後、皆で食器を片付けながらマシューが口を開いた。


「そういえば菊さん、お風呂どうする?辛いならやめてもいいけど」


「いえ、気持ち悪いので入ってきます」


「え、まさか菊さん1人で入るつもり!?病人なんだから危ないよ……」


「うーん……確かにそうですが、入らないのは…」



その会話にアーサーとアルフレッドが反応した。


アル。お前も気づいたか。そう、これは

菊と一緒にお風呂に入るチャンスだということを!!

いかに下心をバレずに菊とお風呂までの道を開けるか。こっからは冷戦だ。バチバチと視線が交差する。


「あれだったら、俺と一緒に入るか?それなら安心だろ」


「いやいや、1週間そこらしか関わりがなかった君より、3、4年付き合いがある俺の方が菊もキンチョーしないだろう?」


「お前に本田の世話が務まるわけないだろ?」


「ツトまるんだぞ!」


「それに比べて、俺は昔お前らを風呂に入れて毎日世話してたからな。お前より安心だ」


「それは昔の話だろう。それに、君。下心見え見えなんだぞ」


「は、はぁ!?そんな訳あるわけないだろ、!」

「お前だって下心丸出しじゃねぇか!!」


「ヒーローに下心なんて心存在しないんだぞ!あるのは上心だけさ!」


「なんだよ上心って……」


俺達がぎゃんぎゃん言い合ってる中、「2人共!!」と大きな声が部屋中に響いた。驚いて声のした方に顔を向ければ、マシューが頬を膨らまし、口を尖らせながら菊の方を指差した。完全に固まってしまっている。


「あ、ごめんな本田、マシュー、騒いじまって……」


「……アーサーがいけないんだぞ…」


「お前なぁ…」


この期に及んでまだ子供みたいな態度をとるアルに呆れるが、俺も言えた身じゃない。菊の裸のために言い争っていたのだから。


「もう、ここは平等にくじで決めましょう」


「ね?菊さん」マシューが菊の顔を覗き込み、我に返った菊が「は、はい!」と返答した。


「この紙の先が赤かった人が菊さんの介護役決定ね。文句なしだよ?」


マシューは菊に3本の紙を持たせ、俺達に言い聞かせた。3分の1……。アルフレッドと俺は唾を飲み込む。


「せーの」











ちゃぽん___。

風呂からそんな音が聞こえる。

俺はソファに座りながらアルと好きでもない番組をぼーっと眺めていた。


「………番組、変えていいかい?」


「好きにしろ……」


その後お風呂から聞こえてきたのは、マシューと本田の笑い声だった。



本田side

「「「「いただきます」」」」


リビングに4人の声が響き渡った。慣れない状況にドギマギしながら、マシューさんが作ってくれた雑炊を口に運ぶ。


「作り置きでも美味しいなんて、流石マシューだな」


「えへへ、どおってことないよ」



「おいアル、俺達の分も残しとけよ?」


「ふあふぁっへふんふぁほぉ」


「何言ってんのか分かんねぇよ、」


アーサーさんの2人に投げかける言葉は、どれも親のような温かみを感じた。いつもこうやって食事をなさってるのだと思うと微笑ましい。

「本田、調子はどうだ?」噂をすれば彼が私に声を掛けてきた。案外周りをちゃんと見ているんだと感心する。


「朝に比べたら楽になってきました。それに、マシューくんの雑炊とっても美味しいです。初めてとは思えません!」


「良かった〜ちょっと心配だったったんだよね」


「心配だなんてする必要ないぐらいです」



私の知人には騒がしい人が多いせいか、マシューさんと話していると居心地が良かった。きっと似ている部分が多いのだろう。彼と話していると心が浄化された気がした。

なぜか横から視線を感じるのは……気のせいですかね…?






食後、皆で食器を片付けながらマシューさんが口を開いた。


「そういえば菊さん、お風呂どうする?辛いならやめてもいいけど」


実は、昨日お風呂が面倒くさすぎて、次の朝に入ろうと思っていたが……。ということを思い出した。流石に2日連続は気が引けるので体は辛いが、「いえ、気持ち悪いので入ってきます」とマシューさんに伝えた。


「え、まさか菊さん1人で入るつもり!?病人なんだから危ないよ……」


「うーん……確かにそうですが、入らないのは…」



私が迷っていると、アーサーさんがある提案をした。



「あれだったら、俺と一緒に入るか?それなら安心だろ」


目ん玉が飛び出るような提案だった。1週間そこらの付き合いだからこそ、流石に緊張してしまう。付き合っているといっても私にとっては仮ですし……それとも最近の若い子はこんなに距離が近いものなのですかね…!?


「いやいや、1週間そこらしか関わりがなかった君より、3、4年付き合いがある俺の方が菊もキンチョーしないんだぞ」


アルフレッドさんが私の言葉を代弁してくれたようにアーサーに言った。いやでも待ってくださいアルフレッドさん。なんで私が誰かと入る前提で話を進めてるんですか?


「お前に本田の世話が務まるわけないだろ?」


「ツトまるんだぞ!」


「それに比べて、俺は昔お前らを風呂に入れて毎日世話してたからな。お前より安心だ」


「それは昔の話なんだぞ。それに、君。下心見え見えなんだぞ」


「は、はぁ!?そんな訳あるわけないだろ、!」

「お前だって下心丸出しじゃねぇか!!」


「ヒーローに下心なんて心存在しないんだぞ!あるのは上心だけさ!」


「なんだよ上心って……」


「2人共!!」



2人のついていけない討論に口を開くだけだった。何も言えなかった。彼らは善意で言ってくれているのだし、このまま全員で入ればいいのでは…?とも思ってしまう。


「もう、ここは平等にくじで決めましょう」

「ね?菊さん」


マシューが私の顔を覗き込んだ時、やっと私は我に返った。


「は、はい!」


びっくりして大きい声を出してしまったことに少しだけ恥ずかしくなる。


「この紙の先が赤かった人が菊さんの介護役決定ね。文句なしだよ?」


マシューさんは私に3本の紙を持たせた。




「せーの」





「マシューさんで安心しました」


「え、あ、ありがとう…?」


湯船に浸かりながら純粋な思いを伝えた。それに疑問を抱くかのような言葉に愛らしくなる。これはアーサーさんも熟愛するわけですね。そんな事を考えながら、さっきよりも湯船に深く浸かる。


「騒がしいでしょ。あの2人が揃ったらいつもああなんだ」


「ふふ、存じ上げていたような気がします」


さっきの食卓の雰囲気を思い出す。いつも教室でカッコつけているアーサーさんとは違い、今日見れた兄らしい一面に今まで沸かなかった親近感が沸いた。


「それにしても……アーサーさんとアルフレッドさんが兄弟だったなんて初めて知りました」


「まぁ僕たち3人共義兄弟なんだけどね。アルとは付き合い長いんだったっけ?」


「はい。3、4年ぐらいでしょうか…」


「よくアルと関係続けられるね」


「?」

「それはどういう……」


「あ、別に悪い意味じゃないよ?」

「ほら、アルって自由人でしょ?だから、ドタキャンとかアポなしで用事作るって言うか…」


「あぁ、なんだか分かります(笑)」

「実際、私も何度も振り回されたものです」


伏し目気味になりながら横の髪を耳にかけた。


「ですが、彼は私の初めての友達なんです。それに私、結構突然に呼び出しされるの好きなんですよね」


「おかしいですよね」笑いながらマシューさんに頭を傾ければ、「実は僕もなんだ」と、彼は私の言葉を受け止めてくれた。

嘘告ですよねアーサーさん!?

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