アーサーside
「お前それ好きだよな」
「てっきりアーサーはこういうの見ないと思ったんだぞ」
「いや、別に好きで見てる訳じゃねぇよ」
リモコンで変えられたチャンネルは戦隊モノのアニメだった。この前CМで見かけたことがある。映画化がなんとか。
そんなことを思っていたら、前アルと本田の2人が映画を見に行ったと自慢されたことを思い出した。(されてない)
本田はこういうのが好きなのか……。
本田と喋るために見てみるか。なんて共通の趣味を見つけるのに必死になる。
「なぁ、これなんていう名前なんだ?」
「あー、マジカルストライキなんだぞ」
「………なんだそのふざけた名前、」
「じゃあ見なくていいね」
「悪い悪い」と謝りながらアニメを見た。途中から見たにわかだからか、知らない単語がズラズラとアニメキャラから発せられ、意味が分からなかった。あとなんか主人公がムカつく顔してる。ちゃんと1話から見なきゃな……と思いながら視聴を続けた。
「あがったよー」
お風呂方面からマシューの声が聞こえた。髪はまだ乾かしていないのだろう。マシューは、ふらふらになっている本田を支えながらソファに座らせた。
「次誰が入る?」
「俺入ってくるんだぞ!」
「ちょーどアニメが終わったところだしね!」そう彼はセリフを吐き捨てお風呂へ向かっていった。
「あぁ待ってよ!アーサー、僕アル見てくるね。アルったらいつもなんか壊すんだから……、菊の髪の毛よろしく!」
それに続くようにマシューはドライヤーを俺に渡し、アルの後を追いかけた。
「あー、なんだ。髪乾かすか?」
「ん、お願いします」
眠いのか、やけに素直で甘えてくる珍しい本田にキュンとする。あーかわいい。抱きしめたい。後ろからバックハグして抱き返されたい。しかもなんかいい匂いする…。
のタレた単語を頭の中で呟きながら、ドライヤーのプラグを近くにあったコンセントに差し込み、電源を入れた。ソファに座り込んだ本田の後ろから髪を乾かしていく。
「……アーサーさん、上手ですね」
「?」
「髪を乾かすのがか?」
「はい」
「まぁ、昔は2人の髪乾かしてたしな」昔話に干渉しながら本田に話した。
髪の毛があらかた乾いた頃、いつもの学校で見ている彼の綺麗な髪を手で掬いながら感触を確かめた。ツヤツヤな髪。案外触る機会がなく、つい長いこと触ってしまう。
お風呂上がりで、本田の匂いがいつもより近く感じた。単純なものだ。それだけで俺の本田への性欲が高まっていく。
俺は後ろから彼を抱きしめた。
「!?…あ、アーサーさん、……!?」
赤面しているのが顔を見なくても分かる。初々しい反応に愛らしくなる。かわいい。好き。大好き。この時間がいつまでも続いたらいいのに。
「……アーサーさん、ながい…ですから……」
「……もうちょっと……」
「…やです…………」
嫌じゃないくせに。照れてる。りんごみたいでかわいい。今すぐキスしたい。いいよな…?俺達付き合ってるんだから……。
「菊、こっち向け」
「え、あ、アーサーさ、」
抱きついていた手を本田の顎に添えた。柔らかい頬が俺の指にくっつく。そのまま手で運んだ顔は俺の方を向いた。
今だけなら………、
バンッ!
「上がったんだぞおぉぉ……おお!?」
あー、良いとこだったのに。
唇があと数センチでくっつく距離だったが、びっくりして俺達の体はピタリと止まってしまった。振り返った先には、ドアを勢いよく開け目を丸くしたアルが部屋の前でこちらを指差している。
「な、何してるんだよアーサー?!!!」
すぐにこちらに駆け寄ってきたアルフレッドは、顔を真っ赤にしてショートしている本田を俺から引っぺはがし、自分の方へ寄せた。
「抜け駆けは許さないんだぞ!」
「もたもたしてるお前が悪い」
邪魔すんなよとガミガミ言い争っている俺達を見ながら、後から来たマシューはため息をつくのだった。
本田side
お風呂上がり。ふらふらする私を支えながらマシューさんはソファに座らせてくれた。
テレビにはこの前アルフレッドさんと映画を見に行ったアニメのEDが流れていた。熱のせいだろうか。すっかり今日が放送日だということを忘れていた。録画予約はしていたものの、リアタイを見逃したことにショックを受ける。
「次誰が入る?」
「俺入ってくるんだぞ!」
「ちょーどアニメが終わったところだしね!」そう彼は元気よくお風呂へ向かっていった。
「あぁ待ってよ!アーサー、僕アル見てくるね。アルったらいつもなんか壊すんだから……、菊の髪の毛よろしく!」
それに続くようにマシューさんはドライヤーをアーサーさんに渡し、アルフレッドさんの後を追いかけた。
「あー、なんだ。髪乾かすか?」
「ん、お願いします」
温かいドライヤーの風と聞き慣れた音。慣れない自分より大きい手に違和感を覚えながら、悪くないなとアーサーさんに身を任せた。
「……アーサーさん、上手ですね」
「?」
「髪を乾かすのがか?」
「はい」
「まぁ、昔は2人の髪乾かしてたしな」
どうりで眠くなるわけです。美容室屋さんに乾かされているような上手さについウトウトしてしまう。
そういえば……アーサーさんもあのアニメ見ていましたよね。アーサーさんも好きなんでしょうか。今度聞いてみましょう。
見ていたらしい体勢に、ついガッツイてしまう。
眠気に襲われながら考え事をしていると、髪はいつの間にか乾き、アーサーさんはドライヤーの電源を切った。
ありがとうございます。ソファから立ち上がろうとした時、いきなり後ろから彼に抱きしめられた。
「!?…あ、アーサーさん、……!?」
突然の事に目が一気に覚めた。
アーサーさんの匂いが鼻につく。いい匂い。バラの香りだ。心拍数が上がる。顔が、体中が熱くなる。熱のせいなのか、はたまた照れているからなのか。後者の方に決まっていたが、恥ずかしくて頑なに認めたくなかった。
「……アーサーさん、ながい…ですから……」
あまりに長いハグに、照れながらアーサーさんに話しかける。しかし、「……もうちょっと……」と顔を私の肩に埋めながら離してくる素振りを一向に見せなかった。
「…やです…………」なんていうが、あまり嫌な訳じゃなかった。恥ずかしいが……なんていうか…居心地が良いというか……、
耀さんにハグされる時とは何かが違う。初めての気持ちに戸惑っていると、アーサーさんが口を開いた。
「菊、こっち向け」
「え、あ、アーサーさ、」
抱きしめていた彼の腕が私の顎に運ばれていた。むにっと頬を指で挟まれ、そのまま運ばれた先で彼と目が合う。
あ、これキスしちゃいます……
あと数センチで唇が重なる時、部屋の扉が勢いよく開いた。
「上がったんだぞおぉぉ……おお!?」
ドアの方に目をやると、そこには開け目を丸くしたアルフレッドさんがこちらを指差していた。
びっくりしたのか、彼はピタリと動きを止めた。
「な、何してるんだよアーサー?!!!」
大きい声をだし、すぐにこちらに駆け寄ってきた彼は、アーサーさんから私を引っぺはがし、自分の方へ寄せた。その行動にも心拍が上がってしまう。
「抜け駆けは許さないんだぞ!」
「もたもたしてるお前が悪い」
赤面し、恥ずかしいやら残念やらの気持ちでいっぱいでショートした私の間を挟んで2人はギャンギャンと何か言い争っていた。何がなんだか分からない私はそれどころではなく、頭に?が湧くだけで。
……ん?残念……?そ、そそそんな訳ないじゃないですか!何を言ってるんですか私、!!
マシューさん早く助けてくださいぃ……
私は、彼らを見ながらため息をつくマシューさんに助けを求めるしかなかった。
コメント
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いやあああああああやばああああああああい まじですきいいいいいいい 続き早くて助かりますううううう!!! いやああああああキスしちゃえよおおおおおおもおおおお 焦らすなーー、、、、いつかもうヤっちゃってください(?)
続ききたー!投稿ありがとうございます🥹🥹🥹🥹
続きキタァァぁぁ←落ち着け マジストぉぉぉwwww っち、アル…邪魔すんなよ←おい もうマシュくんアルドッカに連れてってくれ()