プロローグ
この世界には太陽(ヒカリ)がない。
太陽が突然姿を消したからだ。
約100年前─
この世界(星)には太陽という全てを照らすとても眩しいヒカリがあった。暖かさと笑顔で溢れていた。だが、突然太陽が姿を消した。世界は闇に包まれ、花々は枯れ、鳥たちは鳴かなく、人々からは笑顔が消えた。唯一のヒカリは月や星々。
アリクトンは本を読んでいるステラの元へ駆け寄った。
「ステラー!!」
ステラは名前を呼ばれるとパタンっと読んでいた本を閉じ、アリクトンの方を見つめた。
このヒカリの無い世界では月明かりを頼りに生活をしなければならない。
「お前またこの本読んでんのかよ」
「飽きねーの?」
「僕は飽きないかな」
「太陽があったときの世界のことを想像するとワクワクするから」
闇の中ながらステラの目は月の光を写してキラキラと輝いていた。
ステラはこの本を読んだり、語っているときだけとても楽しそうな顔をした。
この街には今、アリクトンとステラ以外住んでいない。先日、アステーリに皆喰われてしまったからだ。
「なあステラ」
「旅に出よう」
アリクトンはステラのキラキラと憧れを抱く表情を見る度に太陽を見つけてヒカリのある世界をステラに見せたいと思っていた。
「…いいよ」
「行こう」
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