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高校に進学してから、私は以前の自分と決別するように心を入れ替えた。滑り止めで入った私立高校は、特に進学校として有名ではなかったものの、個性的な生徒が多く、自由な校風だった。環境が変わったことで、少しずつ自分を見つめ直し、新たな目標を立てることができるようになった。
その目標は、東京大学への進学だった。ある日、大学進学について考えたとき、東大に入るというアイデアが心に浮かんだ。当時の私は、学問の世界で「なにか」を見つけられるかもしれないという漠然とした希望を抱いていた。それに加え、東大という象徴的な存在が、私にとって挑戦すべき壁として輝いて見えた。
最初に東大を目指すと宣言したとき、周囲の反応は驚きと疑念に満ちていた。中学時代の成績も平凡で、受験にも失敗した過去がある私が、東大に合格するなんて無謀だと感じる人も多かった。しかし、私は自分に対して決意を固めていた。過去の挫折を乗り越えるためには、大きな目標が必要だと思ったのだ。
高校生活は勉強に没頭する日々だった。授業が終わると図書館に向かい、閉館まで勉強を続ける。その後も自宅で夜遅くまで勉強を続けた。周りが遊んでいる時間や休日も、私は机に向かっていた。まるで罰のように、過去の自分を超えるために努力を重ねた。
しかし、それだけでは足りないことに気づいた。量をこなすだけではなく、質の高い学習が必要だった。そこで、独学の中で効率的な学習方法を模索し始めた。各科目の理解を深めるため、さまざまな参考書や問題集に取り組み、教科書には書かれていない背景知識や、時には哲学的な視点も取り入れながら学習を進めていった。この過程で、私の中にある「なにか」を探す感覚が、勉強を通じて強まっていった。
試験の年が迫ると、周囲の友人たちが受験のプレッシャーで不安定になる中、私は冷静さを保つことができた。それまでに積み重ねてきた努力が、私の中に確かな自信を育てていたのだ。失敗を経験したからこそ、今度は失敗しないために何が必要かを理解していた。プレッシャーに押しつぶされるのではなく、それを力に変えていける自分に成長していた。
受験当日、私は予想以上に落ち着いて試験に臨むことができた。試験問題は難しかったが、それまでの努力がしっかりと実を結んだことを感じた。試験が終わったとき、私は手応えを感じていたが、結果が出るまでの数週間は、祈るような気持ちで過ごした。
そして、合格発表の日。東京大学からの通知を手に取った瞬間、私は思わず息を飲んだ。開封する手が震え、心臓の鼓動が耳に響く中、合格の文字が目に飛び込んできた。まるで時間が止まったように感じた。今までの努力が報われた瞬間だった。
家族や友人に報告したときの喜びは言葉では言い表せない。両親は涙を流して喜んでくれ、友人たちも祝福してくれた。だが、それ以上に私自身が感じたのは、達成感と同時に新たな挑戦への期待感だった。
東大に合格したことで、未来が大きく開かれたように感じた。これまで「なにか」を追い求めていた私が、次にどこへ進むのか。その答えはまだ見えていなかったが、私は確かに一歩を踏み出したのだ。