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アスタロトの予想は当たっている、そうレイブには思われた。
しかし、ここに来て新たな疑問が浮かんだレイブはそのままアスタロトに質問だ。
「魔力を集めるのは石化とかを防ぐ為なんですよね? 何で一般化しなかったんでしょうか? あれニンゲンや魔獣、それに竜にとって無害だったんなら、それこそハタンガとかに設置して置けば良かったのにね?」
アスタロトは益々悩みを深めた感じで上半身を折り曲げながら答える。
『うーん、そーだなー、やっぱ可笑しくなっていたからなんじゃないか? ハゲ散らかしていたらしいし? まともじゃなくなっていたとかじゃないのかな? 我もやられかけちゃったしなー』
「ああ、やっぱりそうですよね、ハゲ散らかしていたんですもんね、それじゃ仕方が無いかー」
ハゲ、それも散らかしていた場合の免罪符って万能なんだな……
私、観察者がハゲ散らかしパワーに面食らっているとアスタロトが付け加えるように洩らす。
『なんか集めた『命』を場に満たせばどんな願いも思いのままとか何とか? 言っていたなぁー! 願いを叶える力、魔力や『命』の本質は願いを叶えてくれる万能の力だとか何とか、くふふ、笑っちゃうよな? レイブ? どうしたのだレイブよ?』
レイブは表情を真剣そのものに変じさせて、自らの手に乗った可愛らしいサイズの魔神に答える。
「願い叶いましたよ、何度も…… ペトラとギレスラも生きているし、テューポーンさんだって神様だって! 俺、願ったんですもん、死なないでって! これって出来上がってるんじゃないですか? ハゲ散らかし装置? ハゲ散らかし物質? ってぇ!」
『はっ! 本当じゃんっ! やったな光影! ハゲ甲斐があったな!』
人々に背を向けられ孤独の中で研究に勤しみ続け、自らの頭髪をハゲ散らかした結果、光影は己の立てた仮説に辿り着いていたらしい。
感心の嘆息を洩らすレイブに、彼の右掌に乗った魔神、アスタロトが話題を変える言葉を発する。
『ところでレイブ、お前本当に大丈夫なのか?』
「え? ご覧の通り大丈夫ですよ、毛有りますよね?」
『おう毛はあるんだが、その、左手が無いんだが? 本当に大丈夫か? 血、結構流れてるぞ』
「は? うぁっ!」
不穏な言葉を聞いたレイブは咄嗟に自分の左腕に視線を移したが、そこにある筈の腕は肩から失われており、自身の脇腹に掛けてベットリとした鮮血に塗れている事が見て取れたのである。
クラァッ
『気を確り持てっ! そこまでの出血では無いぞっ! と思うぞ多分』
アスタロトの言葉に何とか正気を維持したレイブであったが、語尾の弱さに一抹の不安を抱えたままでそれでも何とか事態の把握に努めるようだ、ナイスガッツ。
「これ、えっといつから…… 気が付かなかったし、ってか今もあんまり痛く無いんだけど?」
アスタロトは小さな胸を張り捲っている、恐らく何か誇る気なのでは無いだろうか。
『それはあれだぞ、テューポーンが消え掛けた位でゴッソリ抉られていたのだ! ヤバイっ、そう思った我が『反射』で出来る限り止血してな、カバーしきれない部分についてはお前に『魅了』を掛けて痛みを麻痺しておいてやったのだぞ♪ えっへん、ってヤツだろう? くはは♪』
「あ、あぅ」
うん…… シラっと聞き流し掛けたけど、レイブがここまで気が付けなかった理由ってその、なんちゃって麻酔のせい以外見当たらないよね?
令和の頃、コユキも事ある毎に気を割いていたが、どうやらホウレンソウの大切さは魔神様には伝わらなかったと見える、残念至極。
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蝶舞(かれん)@常にスランプ
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