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月曜日の午後早く、玲奈がジーンズと長そでTシャツ姿で自宅のリビングのソファに横向きに寝転がってテレビを見ている。
玲奈「フワァー。ヒマだなああ」
玲奈の母が掃除機のホースの先で玲奈のお尻を突っつく。
母「もう! お昼ごはん済んだ途端にごろごろしてばっかりで。平日から」
玲奈「いや、あたしには休日だよ。週末もお店のバイトなんだから」
母「これから掃除するから邪魔なの。手伝う気がないなら、外へでも行きなさい。せっかくいい天気なんだし」
場面転換。
街をあてどもなくぶらぶら歩く玲奈。レンガ色の壁の三階建ての建物の庭の芝生に、智花が息子といるのを見つけてそちらへ近づく。
玲奈「智花さん、拓君とお散歩ですか?」
智花「あら玲奈さん、こんにちわ」
玲奈はしゃがみ込んで拓に言う。
玲奈「拓君、こんにちわ」
拓「こんちわ」
智花、建物を指差しながら
「この子を幼児向けプログラミング教育教室に連れて来たのよ。ウェルウェルプラザでやってたから」
玲奈「え? 5歳でもうプログラミングですか? すごいですね。あたしなんか、掃除の邪魔だって言われてお母さんに家追い出されちゃったんです、あはは」
智花「それがねえ、この子全然興味持ってくれないんですよ。先週のお絵描き教室でも外ながめてばっかりだったし」
玲奈「そんなにいくつも習い事してるんですか? でもまだ5歳なんだから、そんなに焦らなくてもいいんじゃ?」
智花「いいえ! 子育て情報のサイトに書いてあったのよ。子どもの才能とか適性が開花するかどうかは5歳までの早期教育で決まるって。手遅れにならないか心配で、心配で」
玲奈「拓君は何がやりたいの?」
拓「やだ!」
玲奈「え?」
拓「ママがあれやりなさい、それ、やだ。みんなと遊びたい~」
智花「何言ってるの! 拓君のためにお母さんいろいろ探してるんじゃないの。明後日はピアノの体験行くのよ」
拓「ブゥー!」
智花「それじゃね、玲奈さん。これからそろばん教室の下見に行くから」
拓の手を引っ張って去って行く智花の後ろ姿を見ながら、玲奈がウーンと考え込む。
玲奈「そう言えば、あたしもあれぐらいの年の頃、何習っても一週間で投げ出してたなあ。あたしの場合、幼児早期教育は見事に失敗だったわけだ」