戦闘パロ
黒美×アズ
黒美side
「黒美、今ちょっと時間いいか?」
そう言っては部屋に入ってくる人物はアズだった。
タイミングが良い事に今はちょうど手が空いているので 机の上に散らかった資料をひとまとめにしては要件を聞いてみる。
「その…ちょっと特訓?みたいなのしてほしいなって…」
少し苦笑いを浮かべながら話す彼に断るにも断れず快く承諾するものの 特訓と言っても何をすれば良いのか分からず先に一先ず場所を移動する。
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移動した先は少し広めのまるで体育館のような場所であった。
「さ、それじゃあ何したらいいかも分かんないしとりあえずタイマンでもしてみる?」
そんな事を冗談で言ってみるも内心、流石にこの案は却下されるだろうと思っていた。
だが意外な事に返ってきた答えはYESであり、流石に驚いたが本人が言うのであれば喜んで相手をしよう。
「それじゃあ一発でも攻撃を当てられたらそっちの勝ちね?」
制限時間は1時間半であり、よーいスタート!で始められたこの勝負、負ける訳にはいかない。
アズは近距離も遠距離もどちらも得意としており、 それに対してこちらは基本近距離だけだ。
「さぁ⋯どうやって相手をしようか⋯」
よくあるアニメのようにこちらは無限に空を飛べる訳ではない。
⋯正直結構キツイ、いや本当に、冗談抜きで!!
虫のように一秒間に何百回も羽を上下させる訳ではないがそのぐらいの勢いで羽ばたかせないと墜落するし出来ることなら歩いていたいのが本音だ。
持久力がない自分にとっては戦いも飛ぶ事も苦手であった。
そんな中、アズが早速攻撃を仕掛けてくるのを一瞬たりともこちらは見逃さなかった。
きっとアズ自身の血液を飛ばし拘束するつもりなのだろう。
流石にこんな初っ端から捕まる訳には行かない、そう思いながらも体力を温存しつつ攻撃を避けては相手の死角へと隠れる。
あんな小さい体でよくこんだけ動けるものだ。
そう関心しつつもしっかりと反撃をする。
反撃とは言っても魔力を使わずのただの物理攻撃だ。
この攻撃は前回一緒に特訓した時には通用したが今回は通用するか?
そんな事を思ったがアズも自身の体を鍛えてきたんだろう。
見事にあっさりと避けられてしまった
正直内心驚き空いた口が塞がらないがそれでもなんとか表情を整え褒める。
「いいね!しっかり足と胴が連動してるよ!その調子!」
途中途中でそう褒めてやっては相手のモチベを上げてやる。
そんな事を小一時間ほど続けていると流石にこちらの体力が続かなくなってきていた。
だが16歳の子を相手に大人が魔力を使ってトドメを刺しに行くのも流石に大人気がない。
どうしようか…
そう考え巡らされていた思考も突然一気に破壊されたような気がした。
耳を劈くような音が鳴り響いたかと思うと特訓場の天井は見事に割られ夕暮れの赤色の日差しが差し込んでくる。
それに覆い被さるように視界へと見えたのはまるで忍者のような姿をした白髪の奴だった。
手にはクナイやら手裏剣やらを持っており一つひとつの威力は開けられた天井の穴を見れば一目瞭然だった。
相手はこちらを睨んでは一直線へとこちらへ向かってくるつもりだった。
恐らく、狙いは自分だろう。
不味い、アズを連れてどこかへ逃げないと
世界政府に自分の存在がバレたら今まで積み上げてきたものが全て台無しになる。
そう思っていたのもつかの間、目の前へとフードを深く被り現れたのはアズだった
「黒美はどこか隠れるところでも探しておけ、俺が時間稼ぎでもしてやるから」
そう言っては「抑えきれるか分かんねぇけど」なんて小さく呟き目の前の敵へと走り出して行った。
相手は手裏剣やらクナイやらを隙間なく無限に飛ばしてくる。
それをなんとか避けながら隠れる場所を探し、一本の太い柱の後ろへと身を隠した。
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アズside
早朝朝6時、一つの扉の前へと立っては2つノックを鳴らす。
すると数秒もしないうちに「入っていいよ」という承諾が出たので遠慮なく扉を開け放った。
少し辺りを見渡すと大量の紙に、大量の本が乱雑に散りばめられていた。
少し前から聞いてはいたが本当に整理整頓が苦手なようだ…。
「これ、何がどこにあんのか分かんのか?」
そう疑問に思っては聞いてみると当たり前とでも言うような目でこちらを見ては「片付けようと思えばすぐ片付けられるんだからいいでしょ」と、自慢げに話してくる黒美に「良くないだろ…」と少し苦笑いを浮かべるとようやく本題を口に出そうとする。
その内容は特訓してほしいというものだった。
自分自身、4人の中で一番弱いのをしっかりと自覚している。
怜のように自分の身体をものにしているかのように動くことは出来ない。
紗知のように冷静に物事を判断して皆をまとめる力もない。
黒美のように大事な時に大切な人を守る力も何も無い。
だからせめて少しだけでも何か出来ることが欲しい。
その一心で黒美に願ったのだ。
返ってきた返事は嬉しいことにYESだった。
そうと決まればと、すぐに特訓場らしき場所へと移動しては黒美のスタートの合図で始められた。
黒美よりかは確実にこちらの方がスピードが上回っている。
だが攻撃は当たらず、何をしても華麗に避けられこちらの体力だけが無駄に削られる。
黒美は見た目は華奢だがその裏から感じられる気は自分含め2人以上のものであるがそんな黒美は誰とも戦おうとせずいつも裏方のような事ばかりしている。
到底、閻魔とは思えないほど穏やかで優しい。
そんな事を思っていると突然、黒美が姿勢を変えたような気がした。
(何か来る…!)
やはり予想は正しかった、魔力は使わず殴りという単純な物理攻撃。
ギリギリだったが以前は避けれなかったこの攻撃、今は避けれた。
こちらもなにも無策に黒美に特訓を頼んでいる訳ではない。
個人的に特訓をしては駄目なところを治すように自分で意識をしてはいる。
そんなこんなで後30分程というところまで来た。
一発でも攻撃を当てなければこちらの負けだ。
そう思っては戦い方を変えようとしようとその瞬間、まるで銃声のような鈍い音が特訓場に響き渡った。
びくりと身体が跳ねる感覚を覚えては音の正体を確かめようと天井に目をやる。
そこには白髪のクナイを持った人物が天井に空いた穴から覗いていた。
その人物はその穴から音もなくまるで忍者のように降りてくると早々に黒美に目をつけていた。
黒美目掛けて走ってくる奴を自身の血液で絡み、行動を制限する。
その間に黒美に短い指示をする。
「黒美はどこか隠れるところでも探しておけ、俺が時間稼ぎでもしてやるから」
そうかっこつけて言ったものの正直抑えれるか分からない。
だが黒美が短く頷くのを確認しては敵に向かい走り出した。
無限に飛んでくるクナイや手裏剣を器用に隙間を縫うように避けては自身の血液を指先に集中させる。
大きな槍のようなカタチを作っては敵に投げつける動作をするとその槍は外れてしまったが良い威嚇にはなったようだ。
相手は一瞬驚いたような顔をしたかと思えばすぐに体制を立て直しこちらに向かってクナイを突き立ててきた。
顔の目の前に突如として現れたクナイになんとか反応しては次の攻撃をする。
狙いは恐らく俺ではなく黒美だ、黒美が逃げるまでの時間稼ぎだけはしないといけない。
「アンタ、何モンだ?」
そう問うもののこの質問に答える気はないのか無言のままこちらへ攻撃を仕掛けてくる。
恐らく世界政府からの馬鹿みたいに要らない贈り物なんだろう。
そんな事を考えていると相手は大技を繰り出そうとしている。
大きくクナイを構え、こちらをしっかりと狙っている。
どれだけこちらが血液を操りクナイの方向を変えようとしても相手の方が圧倒的な力を持っているからか思うように操れない。
相手のクナイはますます力を増しており、しばらくするとそのクナイはこちらに向かって放たれた。
紗知だったらこんなのは素手で受け止めるんだろうな、怜だったら刀で断ち切ってしまうんだろうな、黒美だったら…
そんな事を思いながらもなにも対応出来ずに目の前まで迫ってくるクナイをただ見ることしか出来なかった。
殺られる、そう思った瞬間だった。
「ごめんね、ちょっと遅れた」
そう言って目の前にヒーローのように現れた黒美は大きく肥大化し、威力を強めたクナイをいとも簡単に不思議な小さな魔法陣のようなもので止めていた。
深いワイン色のマントを靡かせながら守ってくれるその姿はまるで勇者のようだった。
逃げろと言ったのは自分なのに助けられてしまって今、どれだけ自分が非力なのかを思い知らされてしまった。
「コイツは私が相手するからアズは逃げな」
言われるがままにしか出来なかった自分が情けなくて仕方がない。
だが今は黒美の言う通りに行動するしかない。
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黒美side
アズが急いで逃げたその後はこちらが相手をしなければならない。
さっさと終わらせてアズの特訓の続きをして上げよう。
にしても、よくあんな小さい体でこんなやつを相手に出来たものだ。
そんな事を思いながらも小さな魔法陣を手の中にしまう。
「あんまり手間かけさせないでよ?」
そう言っては次の技を繰り出そうと構えると相手が口を少し開いた。
「閻魔様が人の事を助けるなんて珍しいな?」
相手の白髪が揺れ、目元が少し見えた。
「なにが言いたいの?仲間だから助けただけ」
思わずこちらの攻撃をする手が止まってしまった。
相手は構わずこちらにクナイを向けている。
「お前は非情な奴だ、何十年、何百年と生きており、世界政府を変えるという目的のためだけに一体何人を犠牲にしてきた?」
「さっきの奴はまだ使い勝手がいいから残しただけだろ?他の奴もそうだ、使い勝手が悪くなったらすぐに捨てるんだろう」
違う、そんな訳がない、犠牲なんか…
額に汗が滲み、呼吸が浅くなる。
「そもそも、お前は世界政府でもシッポさえ掴めてない、名前も過去も何もかもだ」
「生まれた場所は何処だ?地獄か?だったらそこの部下はどうしたんだ?どんな他人類でも親がいない他人類はいない、親はどうしたんだ?自分の性別ももしかして分からないのか?」
手が震え、足が震える
自分の性別は?親は?生まれた場所は本当に地獄なのか?
唯一覚えているのは部下は自分の手で殺した事だ。
能力暴走のせいなんだ、能力が抑えきれなかった。
⋯そう思いたかった、全部自分の意思で殺したなんて思いたくなかった。
目の前の奴は今もペラペラと喋っている。
「うるさい!黙れ!喋るな!」
珍しく声を荒らげる黒美に目の前の奴は一瞬でその口を閉じた。
もうこんな奴の声を聞きたくない、一発で仕留める。
「大王様よ、彼の者の御体を全て飲み込みたまえよ」
そんな言葉を発し、大きな闇が出てきたかと思うと相手は言葉を発する間もなく塵へと化していった。
相手は最後に何かを言おうとしていたが今となっては分かるはずもない、分かりたくもない事だった。
もう二度と、私の汚い過去を思い出させないでほしい。
これ以上、誰も犠牲にしたくない。
そんな一心でアズの背中を叩き、すべて終わったことを知らせ特訓の続きへと向かった。
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ここまで読んでくださりありがとうございます🫶
本日少し書き方を変えてしまったため投稿に時間がかかってしまいました😭
皆さんは前の書き方と今回の書き方ではどちらの方が読みやすいなどありますかね…?
もし無ければ前回までのやり方でやります😇
そして今回では、黒美の過去らしきものにソフトタッチしてみました。
黒美の技も初公開です( ᐛ )
それではまた次回
コメント
23件
うおおおお!!すげぇっ!! 珍しい組み合わせで書いてくれてありがとうううう!!! 2人ともかっこよすぎ…!! アズが成長してる様子を見れるのはこっちも最高ですね!!✨ 黒美は本気出したら敵なんて一瞬で倒せるのか…恐ろしい…! そして黒美の過去結構重そうだなぁ……1人で抱え込まないでくれよっ 書き方はどっちも良かったから選べませんでしたぁぁ!! また、次の話を楽しみにしてるよ! 投稿お疲れ様ぁぁ!
最後っす!!
く、黒美さんさそイケメンすぎか……??惚れてまうやろ……アズくんっ、いい子だなぁこの子…何回みてもいい子だよ君……🫶🫶🫶おらっ、自信もって前を向いてあるくんだよ😡いい話だったネ、ありがとうございます……